季節をめぐって魔王討伐!~無能力者から最強魔導師に!

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1-12 俺たちの答え

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部屋に戻り、そして待った。

俺とクレハは、それ以外の何もしていない。もちろん、何も考えなかった訳ではない。四季王にとって、いや。この世界にとって、希望の光というものが必要なのはよく分かった。俺だって、その魔王本人ではなくとも、魔王の息のかかった者に殺されかけたんだ。今さら魔王なんて幻だ、なんて言うつもりは無い。

ただ、やはりだからといって、俺達が勇者としていきなり戦う訳にもいかない。何よりも、この世界のことをほとんど知らない。今改めて考えてみると、この日本語が通じたことすら奇跡と言えるのだ。同じ言葉を交わし、理解し合えたことすら奇跡なのだ。それに、先程の四季王の反応を見た限り、俺たちの扱えるであろう魔法は、本当にこの世界を救う希望の光になり得るほどのものなのだろう…。

もちろんクレハだって何も考えてないわけじゃない。ソファーに座っているのに、背中は持たれず、前のめりでじっと自分の手を凝視している。また、目にはいつものクレハの明るさはなく、表情からも、考え事をしているのが見て取れる。

クレハのその姿を見て、俺も無意識に自分の手に目を向ける。そうだ。俺は、この手から魔法を発したんだ。今まで生きてきたあの世界では、絶対にありえない存在の、魔法を使ったんだ。
自分の魔法を調べる時、狂った兵士に怒った時、四季王の前で、虹色の光を見せた時。それぞれの時のことを、目をつぶって思い返しながら、手の形を変えてみる。機械に手をかざした時、兵士の額に銃の形で突きつけた時、空中で光をつかんだ時…

「ち、ちょっレイ!魔法でてるよ!部屋だと危ないからストップストップ!!」

クレハに言われてふと目を開く、すると目の前にはあの時の虹色の光。クレハに手伝ってもらわなければ出せなかったはずの、あの魔法が出ていた。クレハに言われた通りに魔法を止めようと思ったが、思うようにおさまらない。
立ち上がってその光を振り払うように手を振るうと、光はその場で消えていった。

「なんだったんだ今のは…」
「れ、レイは無意識だったんだよね。ってことはもしかしたら、魔法のほうにも意識があるのかな…。」

魔法に意識がある…。そんなことがあるんだろうか…。どちらにしても、俺が気を抜いたから間違って魔法が暴発してしまったことには変わりない。この虹色の光は全ての属性を合わせた魔法だと、四季王は言っていた。ヘタなことをしたらここら1帯がなくなってしまう…。なんてことも有り得るかもしれない。注意しなければ。 

「魔法に意識があるのかは分からないが…。 本当にこれからどうしようか。勇者の称号のことももちろんだが、俺達が勇者になってもならなくても、この世界が魔王に脅かされているのは変わらないんだよな…。」
「うん。本当に勇者になったとしても、私達はもっとこの世界のことを知って、魔法も扱えるようにしないと、この世界を救うことは出来ないんだよね…。」

クレハの言う通りだ。勇者として力をつけることは大事だろう。ただ、今の俺たちでは、この世界で今まで生きて、戦ってきた人には、能力的にも体力的にも及ばないのだろう。

「はぁ…勇者って難しいんだな。俺たちが今までゲームでプレイしてきた彼らも、今の俺たちと同じような境遇の末、勇者として生きることを決めたとでもいうのか……」

そう俺が愚痴をこぼすと、先程振り払って消えたはずの光が、俺とクレハの前に再び現れた。俺もクレハもそれに驚き再び立ち上がって、光を中心に集まる。すると、光は何かを形作るように俺たちの前で広がった。

「ねぇレイ。これってもしかしたら桜?そしてこれは紅葉?」

クレハの指さす方には、桜に囲まれた街、紅葉に囲まれた街があった。また、ほかの場所を探すと、海のような街も、雪山のような場所もみつかり、その4つの街は1つの国を囲んでいた。

「なぁクレハ。もしかしたらこれが…」

そう言いかけた瞬間に、部屋のドアが開き、聞き覚えのある声がした。ただ、その聞き覚えのある声は少し今までよりも元気の無い声だった。

「レイ殿。クレハ殿。すこし、話があるんだが」
「四季王ですか。すみません。その前に俺から話いいですか。」

俺はこの虹色の光が見せたそれぞれの季節を示す街、その4つの街に囲まれた大きな国を見て確信した。今俺とクレハが見たのはそれぞれ 、春の国、夏の国、秋の国、冬の国、そして。四季の国なのだろう、と。

そして、もしもさっきクレハが言ったように、魔法をに意思があるのなら、この光は俺に何を伝えたかったのかも分かった。

「四季王。俺は。いや、俺達は。勇者としての力をつけるために、旅に出ようと思います。」
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