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1-11 ご機嫌ななめクレハさん
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あれ以降、何度俺が謝ってもクレハは俺の口を聞いてくれなくなり、そのままお昼ご飯となった。相変わらず部屋に入る時のあらゆる人からの目線は痛いが、俺にとってはそれ以上にクレハの方が気になってしまう。
過去にクレハを怒らせてこのような事態になった事もあったのだが、その度に俺はクレハ好きなスイーツで機嫌取りをしていたのだ。しかし、ここは異世界。そのスイーツがあるなんてことありはしないのだ……。
「な、なぁクレハ殿。レイ殿もこうして謝ってくれているではないか。私からも頼む。どうか許してやってはくれないだろうか」
これを見かねた四季王が助け舟を出してくれた。だがしかし、その程度で鎮まるクレハ様では無いのは俺がいちばんよく知っている。こういう時のクレハはこうした偉い人すらにも容赦がない。
学校とかでも、生徒会に入っているクレハは、集会や大きなイベントの事を先生達に相談することや先生から何か言われることが多いそうなのだが、間違ったことを言われると、先生だろうが容赦無く、それは違いますって言うらしい。
こうやって聞くだけだと、ただの裏が真っ黒な女子って思われそうだが、そういうことでは無い。
先生に対して否定する事があるが、それは他の人が言えなくて困っているようなことを言ってくれるのだ。さらに、その言い返す言葉がとても真っ直ぐで誰もが正しいと思えるようなことを言ってくれるのである。
「じゃあ四季王。その勇者っていう称号やめてくれるかな。せめて他の言い方にするとか、思いつかないならそんなもの要らないからさ」
すまん。前言撤回だ。今回のクレハの意見は完全に私情が混ざっている。あのクレハがここまでなるとは……。一体何があったんだろうか……。あっ、俺が勇者クレハって言ったからか。
「そ、そういう訳にはいかないんだ。勇者というのは魔王を倒すべく力を持つお二人が持つに相応しい称号なのだ」
「でも私たちが本当に魔王を倒せるかなんて、まだ分からないんだよ?それに、もし倒せなくて私たちが死んじゃった時ってさ、私たちが知らないような大勢の人達から、勇者なんて嘘だったのか~とか、あれだけ言っておいて結局この程度か~みたいなこと言われるんでしょう?
私はそんなの嫌だよ?私もレイも別にそんなに有名になりたい訳でもないの。それに、勇者って呼ぶべきなのは魔王を倒したあとなんじゃないのかな。」
「そ、それは……」
今回の言い分はさすがの四季王でも言い返せないようだ。それに、クレハが言ったことは薄々俺も感じていたことでもあった。しかし、俺にはとても言い出せない事だった。やはり、俺はクレハに頼ってばかりだ。俺もちゃんと強くならなきゃいけないんだよな……。
「な、なぁクレハ……」
「レイは黙ってて。今は四季王と話してるの。あと、わたし別に勇者クレハって言われた事にはそんなに怒ってないから。」
「……分かった。すまん」
改めて考えてみると、クレハの話にはさっきから時々俺が出てきていた。勇者の称号だって、俺が昔から言われたくないことだって言うのはクレハも知っていたんだから、もしかしたらクレハは俺のために四季王に意義を申し立ててくれたのかもしれない。
「し、しかし……。確かに民衆はそう言うかもしれない……。ただ、それでも我々には必要なのだ。いつ魔王がこの世界に来るのかもわからぬ不安のなかたった少しの希望でもいい。その少しの光だけが勇者という光が必要なのだ!」
「四季王、クレハ。ありがとう。でも、ごめんなさい。まず、クレハ。今までの全部。俺のためなんだよな。それに気づけなかった。すまん。」
「ううん。レイが勇者って言われたくないのは知ってるもん。」
「そして、四季王。俺をフォローしてくれているのに、こんな答えになってしまって、ごめんなさい。クレハの言う通り、勇者の称号はまだ俺達には相応しくはないと思うんです。
その称号を貰うのは、魔王を倒した後、ではなくても、せめてもう少しこの世界のことを知って、もっと力をつけてからでもいいと思うんです。」
俺は、俺の思いを言った。それと、クレハの意見はクレハだけの事ではなく、俺もそう思っていたということを、ちゃんと伝えたつもりだ。
しかし、とても申し訳ないな。この世界を担う第一人者である四季王にここまで言ってしまった。下手したらこのまま俺達は王に歯向かったとして牢屋行き……なんてこともありえる。
「……すまない。もう少し考えさせてくれ。食事が終わったら、部屋で待っていてくれ」
「はい。すみません……」
四季王はその後無言でどこかへ行ってしまった。食事の場であったのに、こうして暗い雰囲気になってしまって、本当に申し訳ない……。
「レイ。ご飯たべれそう?」
「いや、こんな状況じゃ食べられないな……」
「だよね。部屋に戻ろっか。」
俺達はそのまま部屋に戻る事にした。他の人からしたら、四季王と俺たち2人が同時に入ってきて、その後すぐに四季王だけがほかの方向へ出ていき、俺達もその反対の方向へ向かい部屋を出るという、訳の分からない状況だろう。
本当に申し訳のないことをしてしまったと反省をしている
過去にクレハを怒らせてこのような事態になった事もあったのだが、その度に俺はクレハ好きなスイーツで機嫌取りをしていたのだ。しかし、ここは異世界。そのスイーツがあるなんてことありはしないのだ……。
「な、なぁクレハ殿。レイ殿もこうして謝ってくれているではないか。私からも頼む。どうか許してやってはくれないだろうか」
これを見かねた四季王が助け舟を出してくれた。だがしかし、その程度で鎮まるクレハ様では無いのは俺がいちばんよく知っている。こういう時のクレハはこうした偉い人すらにも容赦がない。
学校とかでも、生徒会に入っているクレハは、集会や大きなイベントの事を先生達に相談することや先生から何か言われることが多いそうなのだが、間違ったことを言われると、先生だろうが容赦無く、それは違いますって言うらしい。
こうやって聞くだけだと、ただの裏が真っ黒な女子って思われそうだが、そういうことでは無い。
先生に対して否定する事があるが、それは他の人が言えなくて困っているようなことを言ってくれるのだ。さらに、その言い返す言葉がとても真っ直ぐで誰もが正しいと思えるようなことを言ってくれるのである。
「じゃあ四季王。その勇者っていう称号やめてくれるかな。せめて他の言い方にするとか、思いつかないならそんなもの要らないからさ」
すまん。前言撤回だ。今回のクレハの意見は完全に私情が混ざっている。あのクレハがここまでなるとは……。一体何があったんだろうか……。あっ、俺が勇者クレハって言ったからか。
「そ、そういう訳にはいかないんだ。勇者というのは魔王を倒すべく力を持つお二人が持つに相応しい称号なのだ」
「でも私たちが本当に魔王を倒せるかなんて、まだ分からないんだよ?それに、もし倒せなくて私たちが死んじゃった時ってさ、私たちが知らないような大勢の人達から、勇者なんて嘘だったのか~とか、あれだけ言っておいて結局この程度か~みたいなこと言われるんでしょう?
私はそんなの嫌だよ?私もレイも別にそんなに有名になりたい訳でもないの。それに、勇者って呼ぶべきなのは魔王を倒したあとなんじゃないのかな。」
「そ、それは……」
今回の言い分はさすがの四季王でも言い返せないようだ。それに、クレハが言ったことは薄々俺も感じていたことでもあった。しかし、俺にはとても言い出せない事だった。やはり、俺はクレハに頼ってばかりだ。俺もちゃんと強くならなきゃいけないんだよな……。
「な、なぁクレハ……」
「レイは黙ってて。今は四季王と話してるの。あと、わたし別に勇者クレハって言われた事にはそんなに怒ってないから。」
「……分かった。すまん」
改めて考えてみると、クレハの話にはさっきから時々俺が出てきていた。勇者の称号だって、俺が昔から言われたくないことだって言うのはクレハも知っていたんだから、もしかしたらクレハは俺のために四季王に意義を申し立ててくれたのかもしれない。
「し、しかし……。確かに民衆はそう言うかもしれない……。ただ、それでも我々には必要なのだ。いつ魔王がこの世界に来るのかもわからぬ不安のなかたった少しの希望でもいい。その少しの光だけが勇者という光が必要なのだ!」
「四季王、クレハ。ありがとう。でも、ごめんなさい。まず、クレハ。今までの全部。俺のためなんだよな。それに気づけなかった。すまん。」
「ううん。レイが勇者って言われたくないのは知ってるもん。」
「そして、四季王。俺をフォローしてくれているのに、こんな答えになってしまって、ごめんなさい。クレハの言う通り、勇者の称号はまだ俺達には相応しくはないと思うんです。
その称号を貰うのは、魔王を倒した後、ではなくても、せめてもう少しこの世界のことを知って、もっと力をつけてからでもいいと思うんです。」
俺は、俺の思いを言った。それと、クレハの意見はクレハだけの事ではなく、俺もそう思っていたということを、ちゃんと伝えたつもりだ。
しかし、とても申し訳ないな。この世界を担う第一人者である四季王にここまで言ってしまった。下手したらこのまま俺達は王に歯向かったとして牢屋行き……なんてこともありえる。
「……すまない。もう少し考えさせてくれ。食事が終わったら、部屋で待っていてくれ」
「はい。すみません……」
四季王はその後無言でどこかへ行ってしまった。食事の場であったのに、こうして暗い雰囲気になってしまって、本当に申し訳ない……。
「レイ。ご飯たべれそう?」
「いや、こんな状況じゃ食べられないな……」
「だよね。部屋に戻ろっか。」
俺達はそのまま部屋に戻る事にした。他の人からしたら、四季王と俺たち2人が同時に入ってきて、その後すぐに四季王だけがほかの方向へ出ていき、俺達もその反対の方向へ向かい部屋を出るという、訳の分からない状況だろう。
本当に申し訳のないことをしてしまったと反省をしている
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