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第二話
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小太りの30代くらいの先生は、彼女の姿を目にするとフィリックスに問いただした。
「ノルダール君、誰だねこの子は」
「俺も分かりません。授業を終えて、いったん部屋に戻ろうとしたら廊下に倒れていたのでこの部屋に運んだのです。言葉は通じるし、武器を所有している様子もありませんでした」
フィリックスは少女を庇うように答える。
先生は彼女を舐め回すように凝視した。
「ふむ……で、性検は? 済んだのか?」
「はい、一通りは。諸外国からの流入者であれば、挿入するのはもうすぐ奴隷落ちの自分が適任かと思いましてね」
「ハッハッハ、たまには役に立つじゃないか」
先生はフィリックスの肩を軽く叩いた。
「良い、戻れ。この女はこのままにしておけぬ。審議にかけるから暫く同行してもらわねばならない。どれ、一緒に来て貰おう。悪いことはせん、見たところ繁殖可能年齢のようだからクラスの振り分けをするだけだ」
先生は手を差しだした。
少女はビクッとして思わずフィリックスに目配せをした。
レイプしていたとは言え、それ以外は傷つけるようなことを一切言わない落ち着いた青年だ。
全くの未知の世界へ来てしまったような彼女にとって、彼は唯一の顔と名前が一致する人物だ。
悔しいが、彼に頼らざるを得ない。
彼女の視線に気づき、彼はその場に立ち上がるよう促した。
足に力を込めると、下着をつけていない足の間から先ほど彼が出した白い精液と彼女の赤い破瓜の血が混ざりあって滴り落ちた。
「ご覧の様に貫通したばかりですのでお手柔らかに」
「ハッ……美味しいところ持っていったって訳か。録に子を成せない出来損ないが」
「やだなぁ、冥土の土産ですよ。俺内定入ってるんですからね、資産家の男性から。卒業したら死ぬまで毎日掘られるんですからちょっとは優しくしてくださいよ」
「黙れ種無し。おい、こっちだ女。何ぼーっとしてんだ。性検が済んでんなら直で本部だ。さっさと行くぞ」
「あ、は、はい……」
シャツとワンピースに急いで袖を通した。
フィリックスも似たデザインの服を着ており、恐らくこれが制服なのだろう。
ワンピースは肩紐が細くキャミソール型になっていて、調節できるようにアジャスターがついている。
ウエストをマークするものは無く、制服にしては随分とゆったりした着心地である。
先生が扉を開けると、やはりホテルのような廊下が広がっていた。
先生がいるということは彼の言う通り学校の一部で間違いないのだろう。
だからこそ恐ろしいのだが。
生徒が真っ昼間から女の子を犯しておいて何のお咎めもなく、むしろ役に立つなどと認めているなど、どう考えてもあり得ない。
ミナミの心に薄気味悪い嫌な気持ちが広がった。
しかし、今はいう通りにするしか生きる道はない。
フェリックスに目を向けると、にっこり微笑んで手を振っていた。
先生や他の男子生徒皆ネクタイをつけていたが、彼にはなかった。
代わりに、第二ボタンまで開けたシャツから鎖骨が綺麗に浮き上がって見えた。
「またな、えーと……名前は」
「南。みなみです」
「ミナミちゃんか。ありがとう、凄く気持ち良かった」
「えっ……!?」
面と向かってそんなことを言われたのは初めてで、いや、向かわなくても初めてでミナミは閉口した。
少しも照れず、真っ直ぐに性行為の感想を伝えてくるとは想像しておらず、彼女も何か褒めなければと思った。
「それは良かったです、お役に立てて……! ミナミも光栄です! あなたみたいなかっこいい人とできて……! ミナミは良くわからないけど、絶対上手な人だと思います! 全然痛くなくてとても気持ち良かったです!!」
それは事実で、心から感じた気持ちだった。
もっと乱暴に、否応なしに抱かれるものだと思っていたからレイプだと気づくのに時間がかかったくらいだ。
何より性欲にまみれた獣のような目付きでは全くなく、現に心を許してしまいそうになっている。
しかしそんなことは、何度も経験がありそうな彼に取ってみれば試行錯誤を重ねた末の当然の結果なのだろう。
気持ちいいなんて言われ慣れているに違いない。
ミナミは自嘲しながらそう思った。
けれど、フェリックスの態度は予想を裏切るものだった。
「そんなこと言ってくれるのは……おまえだけだ……」
「フェリックスさん?」
彼は先生に見えないよう、手で顔を覆って静かに涙を流していた。
(あれ? 変なこと言ったかな? 実はまだ経験が浅い人なのかも知れないしい、身体の相性もあるって言うしね)
ミナミは大して気に止めず、先生の後に付いていった。
その涙の理由を知るのはもう少し後になる。
「ノルダール君、誰だねこの子は」
「俺も分かりません。授業を終えて、いったん部屋に戻ろうとしたら廊下に倒れていたのでこの部屋に運んだのです。言葉は通じるし、武器を所有している様子もありませんでした」
フィリックスは少女を庇うように答える。
先生は彼女を舐め回すように凝視した。
「ふむ……で、性検は? 済んだのか?」
「はい、一通りは。諸外国からの流入者であれば、挿入するのはもうすぐ奴隷落ちの自分が適任かと思いましてね」
「ハッハッハ、たまには役に立つじゃないか」
先生はフィリックスの肩を軽く叩いた。
「良い、戻れ。この女はこのままにしておけぬ。審議にかけるから暫く同行してもらわねばならない。どれ、一緒に来て貰おう。悪いことはせん、見たところ繁殖可能年齢のようだからクラスの振り分けをするだけだ」
先生は手を差しだした。
少女はビクッとして思わずフィリックスに目配せをした。
レイプしていたとは言え、それ以外は傷つけるようなことを一切言わない落ち着いた青年だ。
全くの未知の世界へ来てしまったような彼女にとって、彼は唯一の顔と名前が一致する人物だ。
悔しいが、彼に頼らざるを得ない。
彼女の視線に気づき、彼はその場に立ち上がるよう促した。
足に力を込めると、下着をつけていない足の間から先ほど彼が出した白い精液と彼女の赤い破瓜の血が混ざりあって滴り落ちた。
「ご覧の様に貫通したばかりですのでお手柔らかに」
「ハッ……美味しいところ持っていったって訳か。録に子を成せない出来損ないが」
「やだなぁ、冥土の土産ですよ。俺内定入ってるんですからね、資産家の男性から。卒業したら死ぬまで毎日掘られるんですからちょっとは優しくしてくださいよ」
「黙れ種無し。おい、こっちだ女。何ぼーっとしてんだ。性検が済んでんなら直で本部だ。さっさと行くぞ」
「あ、は、はい……」
シャツとワンピースに急いで袖を通した。
フィリックスも似たデザインの服を着ており、恐らくこれが制服なのだろう。
ワンピースは肩紐が細くキャミソール型になっていて、調節できるようにアジャスターがついている。
ウエストをマークするものは無く、制服にしては随分とゆったりした着心地である。
先生が扉を開けると、やはりホテルのような廊下が広がっていた。
先生がいるということは彼の言う通り学校の一部で間違いないのだろう。
だからこそ恐ろしいのだが。
生徒が真っ昼間から女の子を犯しておいて何のお咎めもなく、むしろ役に立つなどと認めているなど、どう考えてもあり得ない。
ミナミの心に薄気味悪い嫌な気持ちが広がった。
しかし、今はいう通りにするしか生きる道はない。
フェリックスに目を向けると、にっこり微笑んで手を振っていた。
先生や他の男子生徒皆ネクタイをつけていたが、彼にはなかった。
代わりに、第二ボタンまで開けたシャツから鎖骨が綺麗に浮き上がって見えた。
「またな、えーと……名前は」
「南。みなみです」
「ミナミちゃんか。ありがとう、凄く気持ち良かった」
「えっ……!?」
面と向かってそんなことを言われたのは初めてで、いや、向かわなくても初めてでミナミは閉口した。
少しも照れず、真っ直ぐに性行為の感想を伝えてくるとは想像しておらず、彼女も何か褒めなければと思った。
「それは良かったです、お役に立てて……! ミナミも光栄です! あなたみたいなかっこいい人とできて……! ミナミは良くわからないけど、絶対上手な人だと思います! 全然痛くなくてとても気持ち良かったです!!」
それは事実で、心から感じた気持ちだった。
もっと乱暴に、否応なしに抱かれるものだと思っていたからレイプだと気づくのに時間がかかったくらいだ。
何より性欲にまみれた獣のような目付きでは全くなく、現に心を許してしまいそうになっている。
しかしそんなことは、何度も経験がありそうな彼に取ってみれば試行錯誤を重ねた末の当然の結果なのだろう。
気持ちいいなんて言われ慣れているに違いない。
ミナミは自嘲しながらそう思った。
けれど、フェリックスの態度は予想を裏切るものだった。
「そんなこと言ってくれるのは……おまえだけだ……」
「フェリックスさん?」
彼は先生に見えないよう、手で顔を覆って静かに涙を流していた。
(あれ? 変なこと言ったかな? 実はまだ経験が浅い人なのかも知れないしい、身体の相性もあるって言うしね)
ミナミは大して気に止めず、先生の後に付いていった。
その涙の理由を知るのはもう少し後になる。
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