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ムーンライズ 7
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とにかく、ここに長居するのは良く無い気がする。毛布を畳んで、ストーブを切る。
ダウンジャケットを着込むと、メモをポケットに突っ込んで立ち上がった。
重い金属製の扉を押して開くと、外からびゅうっと北風が吹きつけて。あまりの風の冷たさに首を縮こめた。寒気でぶるっと体が震える。
もし毛布を掛けてくれたりストーブを点けていていてくれなかったら、凍死してたんじゃ無いかと真剣に思った。
白シャツを着こなして背筋のピンと伸びたかっこいいお兄さんを思い出す。
初対面で酔っ払っていた上に、寝顔まで晒して、迷惑をかけて色々と世話までさせて。恥ずかしいにも程がある。
まじで、俺ってほんと、何してんだって落ち込む。
2年前に死んだばあちゃんが昔からいつも言ってた。
「人様に迷惑さえかけなければ、乙都が健康で幸せなら何をしてもいい」って。
現状、人様に迷惑も掛けてしまったし、幸せだなんて感じることはほとんど無い。かろうじて健康だけは保てている気はするけど。
なんとも、不甲斐なさ過ぎて、空を仰いだ。
淡い水色と灰色の混じった空に、白い小さな三日月が浮かんでいる。
ばあちゃん、なんかごめん。
妙にセンチメンタルな気分になって、空に向かって心の中で唱えた。
メモの通りに、鍵を閉めると、郵便受けの中に鍵を入れて、背中を向けて歩き出した。
寮までの道すがら、住宅街の中で何度も行き止まりにぶち当たって、大きな通りに出るまでまた迷いそうになった。この街に住んで何年にもなるのに、こんな所、来た事がなかった。
昨日、相当酔ってたんだなと思う。
知った道に出てホッとすると、一気に頭の中をまとまらない考えに埋め尽くされる。
ポケットに手を入れて、指先で紙に触れる。
恥ずかしすぎるけれど。それでも書かれている電話番号に電話するのか、そして本当に荷物を運んだり、あそこに住み込んで働いたりするのか。いきなり過ぎて、頭が着いて行けていない。
それどころか、電話してまずは寝てしまった事を謝って、それからお礼を言って、記憶がない事もまた謝って。会計をした記憶もないから、さらにお金を持って謝りに行く所からスタートなんじゃないかと気がつく……まじで、最悪だ。
いっそのこと、メモを丸めて捨てて、なにもかも忘れてしまえば……なんて事は、俺には出来ない。ちらりと頭に浮かべただけで罪悪感でいっぱいになる。
それでは、いくらなんでも本気でばあちゃんに顔向け出来ない。
それに、ストーブを点けて毛布まで掛けてくれたお兄さんにも申し訳なさ過ぎる。心から。
歩いている間も、失くしたくなくて、ポケットに手を入れては何度もメモの存在を確かめた。
ダウンジャケットを着込むと、メモをポケットに突っ込んで立ち上がった。
重い金属製の扉を押して開くと、外からびゅうっと北風が吹きつけて。あまりの風の冷たさに首を縮こめた。寒気でぶるっと体が震える。
もし毛布を掛けてくれたりストーブを点けていていてくれなかったら、凍死してたんじゃ無いかと真剣に思った。
白シャツを着こなして背筋のピンと伸びたかっこいいお兄さんを思い出す。
初対面で酔っ払っていた上に、寝顔まで晒して、迷惑をかけて色々と世話までさせて。恥ずかしいにも程がある。
まじで、俺ってほんと、何してんだって落ち込む。
2年前に死んだばあちゃんが昔からいつも言ってた。
「人様に迷惑さえかけなければ、乙都が健康で幸せなら何をしてもいい」って。
現状、人様に迷惑も掛けてしまったし、幸せだなんて感じることはほとんど無い。かろうじて健康だけは保てている気はするけど。
なんとも、不甲斐なさ過ぎて、空を仰いだ。
淡い水色と灰色の混じった空に、白い小さな三日月が浮かんでいる。
ばあちゃん、なんかごめん。
妙にセンチメンタルな気分になって、空に向かって心の中で唱えた。
メモの通りに、鍵を閉めると、郵便受けの中に鍵を入れて、背中を向けて歩き出した。
寮までの道すがら、住宅街の中で何度も行き止まりにぶち当たって、大きな通りに出るまでまた迷いそうになった。この街に住んで何年にもなるのに、こんな所、来た事がなかった。
昨日、相当酔ってたんだなと思う。
知った道に出てホッとすると、一気に頭の中をまとまらない考えに埋め尽くされる。
ポケットに手を入れて、指先で紙に触れる。
恥ずかしすぎるけれど。それでも書かれている電話番号に電話するのか、そして本当に荷物を運んだり、あそこに住み込んで働いたりするのか。いきなり過ぎて、頭が着いて行けていない。
それどころか、電話してまずは寝てしまった事を謝って、それからお礼を言って、記憶がない事もまた謝って。会計をした記憶もないから、さらにお金を持って謝りに行く所からスタートなんじゃないかと気がつく……まじで、最悪だ。
いっそのこと、メモを丸めて捨てて、なにもかも忘れてしまえば……なんて事は、俺には出来ない。ちらりと頭に浮かべただけで罪悪感でいっぱいになる。
それでは、いくらなんでも本気でばあちゃんに顔向け出来ない。
それに、ストーブを点けて毛布まで掛けてくれたお兄さんにも申し訳なさ過ぎる。心から。
歩いている間も、失くしたくなくて、ポケットに手を入れては何度もメモの存在を確かめた。
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