9 / 12
スコットの甘え
好きなのはサラだけ
しおりを挟む
一度行ってしまったら、何度行っても変わらない。
俺はそう思って、同期に誘われる度に娼館に通った。
毎回同じ人を指名した。なんとなく雰囲気がサラに似ていたからだ。
「サラって恋人の名前?私に似てるのかしら?恋人に見立てて抱くなんて、見習い君は可愛いのね」
そう言われてから、サラの名前を呼ばなくなった。
村を出てから一年経って、俺はやっと騎士になれた。
たまたま遠征先が村の先の国境だったから、先輩が気を利かせてくれて、村に数日滞在出来ることになった。
(ようやくサラに会える。胸を張って会いに行こう)
久しぶりに会ったサラは変わっていなかった。
素朴で純粋なままだった。
(変わらないな。王都に行って俺は変わったよ。田舎者なんて呼ばれなくなったよ)
そう思いながら、サラの作ったオムライスを食べた。
食堂も閉店して、静かな部屋でサラと二人。
俺達は結ばれた。幸せだった。
「待ってるから」
そう言ってサラは送り出してくれた。
サラに会えなくても、俺はサラの為に頑張った。
あの村の騎士になる為に…
サラに格好良いって言ってもらえる為に…
村の近くに遠征に行った時は、先輩が気を利かせてくれて、数ヶ月に一回、村に行く休みをくれた。俺はサラに会いに行った。
でも…
サラには滅多に会えなくて、寂しく感じる時間が増えていった。
友達も家族もいない。見知った顔は仲間だけ…
心の隙間を埋めるように、俺は娼館に通っていた。
何処へ行っても同じ。
サラはいない。誰も知っている人もいない。その時に優しくしれくれた人と、一緒に過ごすようになっていた。
サラは大事だ。愛してる。いつか結婚したいと思っている。
でも、暫くは言われるがままに遠征に行かなければいけない。一通り廻ってから配属の希望が聞かれるからだ。
(あと数年だ。頑張ればあの村に駐在できる。そうしたら、サラにプロポーズをしよう)
俺はそう思っていたんだ。
今回の遠征先には娼館がなかった。
酒場で給仕をしている、どこかサラに似たベスに声をかけられて、俺は誘いに乗った。
ベスとは滞在している間だけという約束で付き合っていた。
罪悪感もあったから、ベスに誘われたらそのまま一緒に出かけていた。一緒に過ごすベスに愛着はあった。
でも…
(本当に好きなのはサラだ。ベスとは今だけの関係。俺はサラの元へ戻るんだ)
そう思っていたんだ。
俺はそう思って、同期に誘われる度に娼館に通った。
毎回同じ人を指名した。なんとなく雰囲気がサラに似ていたからだ。
「サラって恋人の名前?私に似てるのかしら?恋人に見立てて抱くなんて、見習い君は可愛いのね」
そう言われてから、サラの名前を呼ばなくなった。
村を出てから一年経って、俺はやっと騎士になれた。
たまたま遠征先が村の先の国境だったから、先輩が気を利かせてくれて、村に数日滞在出来ることになった。
(ようやくサラに会える。胸を張って会いに行こう)
久しぶりに会ったサラは変わっていなかった。
素朴で純粋なままだった。
(変わらないな。王都に行って俺は変わったよ。田舎者なんて呼ばれなくなったよ)
そう思いながら、サラの作ったオムライスを食べた。
食堂も閉店して、静かな部屋でサラと二人。
俺達は結ばれた。幸せだった。
「待ってるから」
そう言ってサラは送り出してくれた。
サラに会えなくても、俺はサラの為に頑張った。
あの村の騎士になる為に…
サラに格好良いって言ってもらえる為に…
村の近くに遠征に行った時は、先輩が気を利かせてくれて、数ヶ月に一回、村に行く休みをくれた。俺はサラに会いに行った。
でも…
サラには滅多に会えなくて、寂しく感じる時間が増えていった。
友達も家族もいない。見知った顔は仲間だけ…
心の隙間を埋めるように、俺は娼館に通っていた。
何処へ行っても同じ。
サラはいない。誰も知っている人もいない。その時に優しくしれくれた人と、一緒に過ごすようになっていた。
サラは大事だ。愛してる。いつか結婚したいと思っている。
でも、暫くは言われるがままに遠征に行かなければいけない。一通り廻ってから配属の希望が聞かれるからだ。
(あと数年だ。頑張ればあの村に駐在できる。そうしたら、サラにプロポーズをしよう)
俺はそう思っていたんだ。
今回の遠征先には娼館がなかった。
酒場で給仕をしている、どこかサラに似たベスに声をかけられて、俺は誘いに乗った。
ベスとは滞在している間だけという約束で付き合っていた。
罪悪感もあったから、ベスに誘われたらそのまま一緒に出かけていた。一緒に過ごすベスに愛着はあった。
でも…
(本当に好きなのはサラだ。ベスとは今だけの関係。俺はサラの元へ戻るんだ)
そう思っていたんだ。
8
全話予約公開にしたので、21日で完結します。
お気に入りに追加
1,500
あなたにおすすめの小説
釣り合わないと言われても、婚約者と別れる予定はありません
しろねこ。
恋愛
幼馴染と婚約を結んでいるラズリーは、学園に入学してから他の令嬢達によく絡まれていた。
曰く、婚約者と釣り合っていない、身分不相応だと。
ラズリーの婚約者であるファルク=トワレ伯爵令息は、第二王子の側近で、将来護衛騎士予定の有望株だ。背も高く、見目も良いと言う事で注目を浴びている。
対してラズリー=コランダム子爵令嬢は薬草学を専攻していて、外に出る事も少なく地味な見た目で華々しさもない。
そんな二人を周囲は好奇の目で見ており、時にはラズリーから婚約者を奪おうとするものも出てくる。
おっとり令嬢ラズリーはそんな周囲の圧力に屈することはない。
「釣り合わない? そうですか。でも彼は私が良いって言ってますし」
時に優しく、時に豪胆なラズリー、平穏な日々はいつ来るやら。
ハッピーエンド、両思い、ご都合主義なストーリーです。
ゆっくり更新予定です(*´ω`*)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】その程度の噂で私たちの関係を壊せると思ったの?
横居花琉
恋愛
マーガレットの悪評が広まっていた。
放置すれば自分だけでなく婚約者や家族へも迷惑がかかってしまう。
マーガレットは婚約者のガードナーと協力し、真実を明らかにすることにした。
始まりはよくある婚約破棄のように
メカ喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄~さようなら、私の愛した旦那様~
星ふくろう
恋愛
レオン・ウィンダミア子爵は若くして、友人であるイゼア・スローン卿と共に財産を築いた資産家だ。
そんな彼にまだ若い没落貴族、ギース侯爵令嬢マキナ嬢との婚約の話が持ち上がる。
しかし、新聞社を経営するイゼア・スローン卿はレオンに警告する。
彼女には秘密がある、気を付けろ、と。
小説家になろう、ノベリズムでも掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】転生?いいえ違うわ……なぜなら…
紫宛
恋愛
※全5話※
転生?
わたし空は、車に轢かれて死にました。
でも、気がつくと銀色の綺麗な髪をした女性の体に入っていました。
ゲームの世界?
小説の世界?
ラノベ的な展開?
……と期待していた部分は確かにありました。
けれど、そんな甘いものは無かったのです。
※素人作品、ご都合主義、ゆるふわ設定※
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
あなたへの愛は枯れ果てました
しまうま弁当
恋愛
ルイホルム公爵家に嫁いだレイラは当初は幸せな結婚生活を夢見ていた。
だがレイラを待っていたのは理不尽な毎日だった。
結婚相手のルイホルム公爵であるユーゲルスは善良な人間などとはほど遠い性格で、事あるごとにレイラに魔道具で電撃を浴びせるようなひどい男であった。
次の日お茶会に参加したレイラは友人達からすぐにユーゲルスから逃げるように説得されたのだった。
ユーゲルスへの愛が枯れ果てている事に気がついたレイラはユーゲルスより逃げる事を決意した。
そしてレイラは置手紙を残しルイホルム公爵家から逃げたのだった。
次の日ルイホルム公爵邸ではレイラが屋敷から出ていった事で騒ぎとなっていた。
だが当のユーゲルスはレイラが自分の元から逃げ出した事を受け入れられるような素直な人間ではなかった。
彼はレイラが逃げ出した事を直視せずに、レイラが誘拐されたと騒ぎ出すのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】前代未聞の婚約破棄~なぜあなたが言うの?~
暖夢 由
恋愛
「サリー・ナシェルカ伯爵令嬢、あなたの婚約は破棄いたします!」
高らかに宣言された婚約破棄の言葉。
ドルマン侯爵主催のガーデンパーティーの庭にその声は響き渡った。
でもその婚約破棄、どうしてあなたが言うのですか?
2021/7/18
HOTランキング1位 ありがとうございます。
2021/7/20
総合ランキング1位 ありがとうございます
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄された令嬢は、隣国の皇女になりました。
瑞紀
恋愛
婚約破棄された主人公アイリスが、復興した帝国の皇女として、そして皇帝の婚約者として奮闘する物語です。
前作「婚約破棄された令嬢は、それでも幸せな未来を描く」( https://www.alphapolis.co.jp/novel/737101674/537555585 )の続編にあたりますが、本作だけでもある程度お楽しみいただけます。
※本作には婚約破棄の場面は含まれません。
※毎日7:10、21:10に更新します。
※ホトラン6位、24hポイント100000↑お気に入り1000↑、たくさんの感想等、ありがとうございます!
※12/28 21:10完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる