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黒幕と選んだ道
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「それに…」
マーカスが途中で口を閉じた。
「他にもあるのか?」
「いや、これは私が言うべき事ではない…」
「そうか…」
エドは気になったが、それよりもリックとデニーの事で頭が一杯だった。
「何故二人は俺に罪を被せたんだろう…」
「理由は幾つかあるが…金を横領するのに良い隠れ蓑だったんだろう」
「父上は…正義感の強い父上が何故あの二人に騙されたんだ?」
「アーロン国王は正義感の強いお方だ。しかし、一度懐に入れた者を信じてしまう嫌いがある。人情に熱いと言えば聞こえは良いけどね…」
「そんな…母上…母上は?」
エドは縋る様な目でマーカスを見た。
マーカスは深いため息を吐いた。
「人々に癒やしを与える聖女様…フローラ妃が何かを考えているように見えたかい?」
「それは…でも、母上は聖女で…」
「そう、聖女様だ。でもね、百年に一度現れるという話だけど、いつからあるのかな?私はあの時まで聞いた事は無かったんだよ」
「ま、まさか…」
「大方あの二人が作ったんだろうね」
マーカスは呆れた様に言った。
「古い文献に書かれていたと…俺もその文献を読んだけど、新しく書かれていたようには見えなかった」
「悪知恵の働く彼らのことだ。細工でもしたんだろう」
「前国王や他の者達も騙されるのか…?」
エドには信じられなかった。
「人は良い事が書かれていれば信じてしまうんだよ。ましてや聖女だなんて神聖な存在だからね」
「そんな馬鹿げた事が起こる筈が無い!どれも嘘なんだろう?」
エドはマーカスに嘘だと言って欲しかった。冗談だよと笑って欲しかった。
「そんな馬鹿げた事で追放され、世の中から存在を消されたのがエド、君だろう?君が一番理解している筈だよ」
エドは崩れ落ちてしまった。身体のどこにも力など入らなかった。
「そんな…」
「君はこの話を聞いてどうする?復讐でもするのかい?」
マーカスがエドに尋ねた。
「俺は…」
(俺はどうすれば良いんだ?もう王子ではない…でも、父上や母上、妹達もあの二人に騙されているんだ…それに、国民達だって…あの二人はいつかまた誰かを犠牲にして富を得ようとするに違いない)
そう考えたエドだったが、ベラの顔が頭に浮かんだ。
(ベラ…俺が城に戻ったら、ベラには二度と会えないかも知れない)
エドは決めた。
「俺は復讐はしない。俺はエイドリアンではなく、唯のエドだ。俺はベラとこの家で過ごす道を選ぶよ」
「それが君の選ぶ道なんだね」
そう言ってマーカスは自分の部屋に戻って行った。
(これで良かったんだ。俺はエドだ。もう第一王子じゃない)
エドは自分に言い聞かせ、部屋に戻って行ったのだった。
エドはマーカスに聞いた話を忘れようとした。
(追放された俺には関係のない事だ)
だが、ふとした瞬間に考えてしまう家族のこと。楽しい思い出は、忘れることが出来なかった。
ある日、ベラがエドを釣りに誘った。
二人並んで釣りをしていると、ベラがエドに話しかけた。
「ねぇ、エドは何を悩んでいるの?」
「なんだよ急に…何も悩んでないよ」
「嘘つき…」
ベラが立ち上がった。
「何を迷っているの?エドは家族が心配なんでしょう?助けに行きたいんでしょう?何でいつまでもここに居るの?」
「ベラ…聞いていたのか…」
「ごめん。盗み聞きするつもりは無かったんだけど…でも、聞いちゃったら放って置けないよ!」
「その事はもう良いんだ。俺は追放されたんだよ。父とも呼べないんだ」
エドは川を見て言った。だが、ベラが釣り竿を奪った。
「行こう?私も一緒に行く。悪い奴らを懲らしめて、エドが無実なんだって、みんなに知らせよう?」
「ベラ…」
「それに…私の伯母さんも無実なんだって、悪いのはあいつらなんだって、王様に教えてあげよう?」
エドはベラを見つめた。
「そうだよな…本当に悪い奴が誰なのか、知らせる必要があるよな」
二人は急いで家に戻った。
「決心したんだね」
家の前でマーカスが待っていた。
「あぁ、俺はあの二人をこのままにして置けない」
「ベラも行くのかい?」
「うん、私もエドについて行きたい!」
「そうか…それならもう少し待って欲しい。私の仲間と連絡を取るよ」
マーカスは家に入って行った。
「仲間…?」
「伝手があると言っただろう?」
エドの問いに答えたマーカスは、手紙を書き始めた。
数日後…
手紙を持ったマーカスが、エド達に伝えた。
「この手紙を持ってサラという女性を尋ねなさい。後は言われた通りにすれば良い。気を付けるんだよ」
こうしてエドとベラの二人は、手紙を持って王都に向かった。
王都に着いたエド達は、手紙に書かれている住所に向かい、サラに会うことにした。
「あなたがエドとベラね。いらっしゃい」
室内に招かれた二人は、そのまま椅子に座った。
「それで…二人は城に潜り込みたいのよね?ベラ、あなたもなの?とても危険な事よ?」
「はい。私はエドとイザベラ伯母さんの為に、あの二人を許せない!」
「そう…わかったわ…」
サラは二人に二通の手紙を差し出した。
「ここには二人の紹介状が入っているわ。これを持って城に行けば雇ってくれる筈よ」
「サラさん、ありがとうございます!でも、エドは王子だって気付かれちゃうかな…?」
「病死した事になっているし、顔付きも違うもの。髪を短くすれば大丈夫よ」
そう言ってサラはハサミを持って来て、エドの髪を短く切った。
「サラさん、ありがとう」
さっぱりとしたエドはサラにお礼を言った。
「良いのよ。でも、ベラを絶対に護ってね」
「俺の命に変えても必ず」
「頼んだわよ」
サラに見送られ、エドとベラは城の使用人用の門まで向かったのだった。
マーカスが途中で口を閉じた。
「他にもあるのか?」
「いや、これは私が言うべき事ではない…」
「そうか…」
エドは気になったが、それよりもリックとデニーの事で頭が一杯だった。
「何故二人は俺に罪を被せたんだろう…」
「理由は幾つかあるが…金を横領するのに良い隠れ蓑だったんだろう」
「父上は…正義感の強い父上が何故あの二人に騙されたんだ?」
「アーロン国王は正義感の強いお方だ。しかし、一度懐に入れた者を信じてしまう嫌いがある。人情に熱いと言えば聞こえは良いけどね…」
「そんな…母上…母上は?」
エドは縋る様な目でマーカスを見た。
マーカスは深いため息を吐いた。
「人々に癒やしを与える聖女様…フローラ妃が何かを考えているように見えたかい?」
「それは…でも、母上は聖女で…」
「そう、聖女様だ。でもね、百年に一度現れるという話だけど、いつからあるのかな?私はあの時まで聞いた事は無かったんだよ」
「ま、まさか…」
「大方あの二人が作ったんだろうね」
マーカスは呆れた様に言った。
「古い文献に書かれていたと…俺もその文献を読んだけど、新しく書かれていたようには見えなかった」
「悪知恵の働く彼らのことだ。細工でもしたんだろう」
「前国王や他の者達も騙されるのか…?」
エドには信じられなかった。
「人は良い事が書かれていれば信じてしまうんだよ。ましてや聖女だなんて神聖な存在だからね」
「そんな馬鹿げた事が起こる筈が無い!どれも嘘なんだろう?」
エドはマーカスに嘘だと言って欲しかった。冗談だよと笑って欲しかった。
「そんな馬鹿げた事で追放され、世の中から存在を消されたのがエド、君だろう?君が一番理解している筈だよ」
エドは崩れ落ちてしまった。身体のどこにも力など入らなかった。
「そんな…」
「君はこの話を聞いてどうする?復讐でもするのかい?」
マーカスがエドに尋ねた。
「俺は…」
(俺はどうすれば良いんだ?もう王子ではない…でも、父上や母上、妹達もあの二人に騙されているんだ…それに、国民達だって…あの二人はいつかまた誰かを犠牲にして富を得ようとするに違いない)
そう考えたエドだったが、ベラの顔が頭に浮かんだ。
(ベラ…俺が城に戻ったら、ベラには二度と会えないかも知れない)
エドは決めた。
「俺は復讐はしない。俺はエイドリアンではなく、唯のエドだ。俺はベラとこの家で過ごす道を選ぶよ」
「それが君の選ぶ道なんだね」
そう言ってマーカスは自分の部屋に戻って行った。
(これで良かったんだ。俺はエドだ。もう第一王子じゃない)
エドは自分に言い聞かせ、部屋に戻って行ったのだった。
エドはマーカスに聞いた話を忘れようとした。
(追放された俺には関係のない事だ)
だが、ふとした瞬間に考えてしまう家族のこと。楽しい思い出は、忘れることが出来なかった。
ある日、ベラがエドを釣りに誘った。
二人並んで釣りをしていると、ベラがエドに話しかけた。
「ねぇ、エドは何を悩んでいるの?」
「なんだよ急に…何も悩んでないよ」
「嘘つき…」
ベラが立ち上がった。
「何を迷っているの?エドは家族が心配なんでしょう?助けに行きたいんでしょう?何でいつまでもここに居るの?」
「ベラ…聞いていたのか…」
「ごめん。盗み聞きするつもりは無かったんだけど…でも、聞いちゃったら放って置けないよ!」
「その事はもう良いんだ。俺は追放されたんだよ。父とも呼べないんだ」
エドは川を見て言った。だが、ベラが釣り竿を奪った。
「行こう?私も一緒に行く。悪い奴らを懲らしめて、エドが無実なんだって、みんなに知らせよう?」
「ベラ…」
「それに…私の伯母さんも無実なんだって、悪いのはあいつらなんだって、王様に教えてあげよう?」
エドはベラを見つめた。
「そうだよな…本当に悪い奴が誰なのか、知らせる必要があるよな」
二人は急いで家に戻った。
「決心したんだね」
家の前でマーカスが待っていた。
「あぁ、俺はあの二人をこのままにして置けない」
「ベラも行くのかい?」
「うん、私もエドについて行きたい!」
「そうか…それならもう少し待って欲しい。私の仲間と連絡を取るよ」
マーカスは家に入って行った。
「仲間…?」
「伝手があると言っただろう?」
エドの問いに答えたマーカスは、手紙を書き始めた。
数日後…
手紙を持ったマーカスが、エド達に伝えた。
「この手紙を持ってサラという女性を尋ねなさい。後は言われた通りにすれば良い。気を付けるんだよ」
こうしてエドとベラの二人は、手紙を持って王都に向かった。
王都に着いたエド達は、手紙に書かれている住所に向かい、サラに会うことにした。
「あなたがエドとベラね。いらっしゃい」
室内に招かれた二人は、そのまま椅子に座った。
「それで…二人は城に潜り込みたいのよね?ベラ、あなたもなの?とても危険な事よ?」
「はい。私はエドとイザベラ伯母さんの為に、あの二人を許せない!」
「そう…わかったわ…」
サラは二人に二通の手紙を差し出した。
「ここには二人の紹介状が入っているわ。これを持って城に行けば雇ってくれる筈よ」
「サラさん、ありがとうございます!でも、エドは王子だって気付かれちゃうかな…?」
「病死した事になっているし、顔付きも違うもの。髪を短くすれば大丈夫よ」
そう言ってサラはハサミを持って来て、エドの髪を短く切った。
「サラさん、ありがとう」
さっぱりとしたエドはサラにお礼を言った。
「良いのよ。でも、ベラを絶対に護ってね」
「俺の命に変えても必ず」
「頼んだわよ」
サラに見送られ、エドとベラは城の使用人用の門まで向かったのだった。
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