お母さん、私のなまえ覚えてる?

LIN

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それぞれの思い

二度目のトモキ

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「私みたいなブスは止めたほうがいいよ」

俺の告白に、彼女はそう言った。


(誰がそんな酷いことを言ったんだ?だから彼女はいつも怯えた様にしているのか…?)

「ごめんなさい」

そう言って教室を出て行った彼女に、俺は何も言えなかったんだ。


確かに美人ではないと思う。でも、笑った顔はすごく可愛いと思うし、優しい子なんだろうなって彼女の纏う空気がそう思わせる。

一緒にいたら癒やされると思ったし、何よりも、彼女に笑っていて欲しい。俺が彼女を笑顔にさせる存在になりたいと思ったんだ。


俺は諦めきれずに彼女に会いに行った。戸惑いながらも俺と話をしてくれる彼女は、やっぱり優しい子なんだと思った。


ある日の昼休み、自分で作った弁当を食べている彼女に言ったんだ。

「杉下さんって家庭的なんだね?俺なんて母さんの手抜きの弁当なんだよ。料理上手って良いよな。どれも美味しそう」

俺はおかずを一つ分けてくれないかな?なんて単純な思いで言ったのに、彼女の顔は酷く寂しそうだった。

俺はきっと何かに失敗してしまったんだろう。何も言えなくなった。


俺が話しかければ話してくれるけど、それ以上は何の進展もないまま高校を卒業してしまった。


でも、大学で彼女を見つけた時、俺は嬉しかったんだ。まだ俺にはチャンスがあると思った。

友達を大事にする彼女の事だから、みんなでBBQに行こうと誘えば来てくれると思った。俺はみんなに頼んで、帰りは彼女と二人になれるようにしたんだ。


家に送った時、彼女にもう一度告白したけど、返事を聞くのが怖くて、彼女が何か言う前に車を出してしまった。

大学生になったのに、臆病なままの自分が情けない。


でも、彼女はクッキーを作って俺の気持ちを受け入れてくれた。最初は信じられなかったけど、恥ずかしそうに頷いた彼女を見て、本当なんだと実感した。

どんどん明るくなって、自分の感情を出せるようになった彼女とは、偶に喧嘩もした。でも、そんな彼女を見ることも嬉しく思っていた。


彼女が家を出ると言った時、不動産に一人で行くと言っていたのが気になって、一緒に見に行った。

引っ越しも一人ですると言っていたから、親に頼んで車も貸してもらったんだ。

彼女は家には入れてくれなくて、外で彼女が運んだ荷物を車に乗せただけだったけど、少しだけ見えた彼女の両親を見て、俺は過去の自分を殴りたくなったんだ。


彼女は好きで弁当を作っていたわけじゃなかったんだ。

作って貰えないから、自分で作るしかなかったんだ。それなのに、彼女の弁当が食べたいと思ってあんなことを言ってしまったことに後悔した。

彼女がいつも怯えている理由が、わかった気がした。


麗華、俺は絶対に君を悲しませない。

いつも笑顔でいられるように、俺が君を守るよ。高校生の時は何も知らない子供だったんだ。

俺はこれからの、未来の麗華を幸せにしてあげる。

だから、ずっと一緒に笑いあえる関係でいよう。
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