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それぞれの思い

お姉さんの思い

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私はいつものようにお店で仕事をしていた。

ある日、女の子が化粧品コーナーで俯いたままずっと立っているのに気が付いた。

(何か探しているのかな?)

私は暫くその子を観察していた。ニキビだらけの女の子を見て昔の自分を思い出して、他人事のように思えなかったんだ。

帰ろうとしたその子に話しかけたら、メイクに興味があるみたいだった。まずはニキビを治してからの方がいいと思って、私が昔使っていた化粧水を勧めた。


その子が帰ったあと、私は考えていた。

(あれくらいの歳の子だと、普通お母さんと一緒に来るよね…?それか友達と一緒に来ると思うんだけど…)

寂しそうに俯いて、話しかけた私に嬉しそうに笑ったあの子が気になっていたんだ。


力になってあげたいと思って読み終えた雑誌をあげたら、あの子は雑誌を抱きしめて帰って行った。それがなんだか可愛く思えた。


私のあげた雑誌を持って、あの子は同じ様にメイクがしたいと恥ずかしそうに言っていた。

子供のお小遣いでも買える値段のアイシャドウを選んだ。


次に来たあの子はアイメイクをしていた。少しだけ歪だったけど、きっと何回も練習したんだろう。その日は化粧水と、同じアイシャドウを買って帰っていた。

どんどん痩せて肌も綺麗になっていくのに、あの子はいつも寂しそうに一人で来ていた。気になるけど、私にはお店に来たあの子に話しかけてあげることしか出来ない。


そんなある日、あの子が友達を連れてお店まで来てくれた。

高校の友達だと言ったあの子は、初めて見るすごく嬉しそうな笑顔だった。

それから毎回その友達とお店に来るようになって、アイシャドウだけじゃなくて他の化粧品も買うようになっていった。

(友達が出来て良かったね)

最初の頃とは比べ物にならない位に明るくなったあの子を見て、私は嬉しかった。
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