美人な姉と『じゃない方』の私

LIN

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美人な姉

自分勝手な人達

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大学を卒業して就職して、社会に出ても変わらない環境。

みんな私を褒めて讃える。

いつも私を見てくる。

本当に鬱陶しい。

みんなが私の周りに集まってくるけど、誰も本当の私を見ようとしない。


ある日、会社の先輩に誘われてお洒落なバーに行った。

みんなが「お似合いだ」って言うから、好きでもないのに付き合った人だった。

バーにはサキがいた。優しそうな人と一緒だった。

「もしかしてサキ?サキもこんなところ来るんだ?」

もしかして恋人なの…?サキが幸せそうな顔をしていた。

サキは不幸でないと駄目なのに。

私が幸せになれないじゃない。


喜ばしい事の筈なのに、私はそう思ってしまったんだ。

「サキのお友達?サキがいつもお世話になってます。姉のエリです。じゃぁ、サキまたね」

私は優しく見えるような笑顔でそう言って、お店の奥に移動した。


「今のエリの妹?全然似てないね。なんか地味っていうか…ちょっとびっくりしたよ」

彼が笑いながら言った。


サキのこと何も知らないのに…

本当の私も知らないのに、勝手なこと言わないでよ。

イライラする。


きっと、サキが幸せそうにしているからいけないんだ。

私がサキは可哀想な妹なんだって思い出させてあげないと…


「ちょっと妹のお友達に挨拶してくるね。妹が遊ばれてないか心配だし…」

「優しいお姉ちゃんなんだね」

彼の言葉にどこか苛つきながら、サキが席を立った時を見計らってサキの恋人のところに行った。

「サキは迷惑かけてませんか?あの子暗いし口下手でしょう?つい心配しちゃって…」

私はそう言ってサキの恋人に話しかけた。サキから離れて行けばいい、そう思いながら…

「サキさんはとても良い人ですよ。いくらお姉さんでもサキさんの事を悪く言う人とはあまり話したくないです」

サキの恋人は冷たい声でそう言って、私に背を向けた。


なんなの?せっかく忠告してあげたのに…

まぁ、いいわ。

家に帰ってからサキに思い出させてあげればいい。

あの子は『じゃない方』の妹なんだから…


数日経って、サキは家に帰って来なくなった。

(まさか、あの私を冷たあしらった恋人のところに行ってるの…?)

私はサキが気になって、イライラした。


仕事にも集中できなくてミスばかりするようになった。

そして、気付けば私の周りの人は、誰も近寄って来なくなっていた。

(あんなに鬱陶しい位に群がっていたのに…本当に自分勝手な人達ね…)
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