醒め遣らぬ

のらねこメルト

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三人目-かぐや姫-

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わたしは黦色に侵食された。





噎せ返るような花の香りでハッとした。
どうやらわたしは庭園にいるようだった。
(…何時の間に、こんなところへ)

コツコツコツコツ
誰かがこっちへ来る。
耳馴染みのある、
美しい音色と共に現れたのは。

全身黒い服に身を包んだ、少女。





「今宵の花は、アナタ。」





「圧倒的な美貌ね」
少女はそう言って、無慈悲にもその黄色い花を剪定鋏で残酷に切り取ってゆく。

「黄色いバラの花言葉は"嫉妬"が代表的です。
黄色いバラに限らず、黄色い花には不吉な意味合いが多いので、プレゼントには不向きでしょうね」
いつものように淡々と、男は言った。

「どんな美しいものにも醜い一面がある。このバラの棘のように」


少女は感情の見えない表情で
「痛っ…」
と、小さく溢した。細くて白い指先には赤が滲んでいた。

男は言った。
「今宵の夢も違いましたか」





次ハ、貴殿ノ夢デオ会イシマショウ
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感想 3

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みんなの感想(3件)

関谷俊博
2016.08.16 関谷俊博

シビトバナが鍵なのでしょうか。優れた幻想文学でありるように感じます。私は泉鏡花を連想しました。

解除
関谷俊博
2016.08.16 関谷俊博

やっぱり面白いです。ストーリーはないのに、感情の揺蕩いといいますか、心の揺れといいますか。そうしたものが、確かに伝わってきます。不思議な文章です。計算しているにしても、無意識のうちに書いているにしても、どちらでも凄いです。

解除
関谷俊博
2016.08.16 関谷俊博

不思議なプロローグです。独特の雰囲気が好きです。面白くなりそうな気がします。

解除

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