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力の証明 1
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今私は大ホールの横の控え室で出番を待っている。
教皇聖下が私を聖女に任命することになった経緯を話した後私が入場し、聖下が用意したパーフェクトヒールを使用しなければ治らない状態の患者を治療した後任命式、そしてすぐに国中に新しい聖女の誕生を発表し、3日後簡単なパレードを行うという。
超過密ぶっ飛ばしスケジュール!!
しかもなにを話しているのかまでは聞こえないが、今も大ホールからはザワザワとした声が聞こえる。
本来ならば回復魔法の才能がありそうな子は幼い時から神殿で回復魔法を学んで、そんな才能があるら回復魔法の使い手のなかから選ばれた者が聖女となるので、こんな急に聖女レベルの回復魔法の使い手が現れました! ということはないらしい。
たまに例外もあるけれど、その場合もどこどこの国でこんな素晴らしい回復魔法の使い手がいるらしい。聖女候補として我が国に招待したらどうか、というところから始まるらしい。
私は例外中の例外。反発も多そうだ。今も騒めきが聞こえてくる大ホールの中がどうなっているのかも想像がつく。
正直言って回復魔法で黙らせる自信はある。
というか、回復魔法じゃなくても魔法なら自信がある。
かつて魔法で公爵家を興した伝説の魔法使いアデライトの知識と、制御ができず無意識に抑え込んでいたほどの魔力量。
負けるはずがない。
けど、けど……! どうしてここ最近の私はこんなに色々なことに巻き込まれるの……!?
王国からでたから!? 王国以外はこういうのが普通なのかしら……。
「オレリア、大丈夫だよ。オレリアほどの回復魔法使い、認められないはずがない。現に皇帝と私が使える限りの力を使って探しても、母上を治せる回復魔法の使い手はオレリア以外いなかったのだから」
うんうんと唸りながら考えている私を心配したのか、ウィルフレッド様が声をかけてくる。
「あ、ありがとうございます。少し緊張してしまって」
ウィルフレッド様には入場する際のエスコートをお願いしているのだ。
「そろそろみたいだ。行こう」
ウィルフレッド様に手を引かれ、重く豪華な扉が開かれ中へと進み、教皇聖下の横へと並ぶ。
「彼女が新たな聖女候補、オレリア・アールグレーン嬢だ」
新たに任命される聖女に向けた歓喜。
急に現れた聖女に向ける疑惑。不満。
様々な視線を感じるが、一際嫌な視線を感じそちらに目を向けると50代くらいの脂ぎった肉の塊とでも言えるような男がいた。とても聖職者とは思えない見てくれをしているが、教皇の近くにいるということはそれなりに階級も高いのだろう。
その男は目が合うとニヤリと笑い口を開いた。
「聖下、私はまだ納得していませんよ。皆だってそうです。そんなに強い回復魔法の使い手ならば噂くらい聞きていてもよいもの。セサル卿が手柄欲しさにそこそこ使える回復魔法の使い手を連れてきたのでしょう。帝国の皇妃様を治したというのも無理がある話です」
それにうんうんと頷き賛同する者も多い。
というかセサルさんで枢機卿だったのね。
ナンバー2だとは聞いていたけれどあの性格なので全然しっくりこない。
「ここで私が何を言っても力を証明することは難しいでしょう。手っ取り早く、力の証明を始めましょう」
教皇聖下が私を聖女に任命することになった経緯を話した後私が入場し、聖下が用意したパーフェクトヒールを使用しなければ治らない状態の患者を治療した後任命式、そしてすぐに国中に新しい聖女の誕生を発表し、3日後簡単なパレードを行うという。
超過密ぶっ飛ばしスケジュール!!
しかもなにを話しているのかまでは聞こえないが、今も大ホールからはザワザワとした声が聞こえる。
本来ならば回復魔法の才能がありそうな子は幼い時から神殿で回復魔法を学んで、そんな才能があるら回復魔法の使い手のなかから選ばれた者が聖女となるので、こんな急に聖女レベルの回復魔法の使い手が現れました! ということはないらしい。
たまに例外もあるけれど、その場合もどこどこの国でこんな素晴らしい回復魔法の使い手がいるらしい。聖女候補として我が国に招待したらどうか、というところから始まるらしい。
私は例外中の例外。反発も多そうだ。今も騒めきが聞こえてくる大ホールの中がどうなっているのかも想像がつく。
正直言って回復魔法で黙らせる自信はある。
というか、回復魔法じゃなくても魔法なら自信がある。
かつて魔法で公爵家を興した伝説の魔法使いアデライトの知識と、制御ができず無意識に抑え込んでいたほどの魔力量。
負けるはずがない。
けど、けど……! どうしてここ最近の私はこんなに色々なことに巻き込まれるの……!?
王国からでたから!? 王国以外はこういうのが普通なのかしら……。
「オレリア、大丈夫だよ。オレリアほどの回復魔法使い、認められないはずがない。現に皇帝と私が使える限りの力を使って探しても、母上を治せる回復魔法の使い手はオレリア以外いなかったのだから」
うんうんと唸りながら考えている私を心配したのか、ウィルフレッド様が声をかけてくる。
「あ、ありがとうございます。少し緊張してしまって」
ウィルフレッド様には入場する際のエスコートをお願いしているのだ。
「そろそろみたいだ。行こう」
ウィルフレッド様に手を引かれ、重く豪華な扉が開かれ中へと進み、教皇聖下の横へと並ぶ。
「彼女が新たな聖女候補、オレリア・アールグレーン嬢だ」
新たに任命される聖女に向けた歓喜。
急に現れた聖女に向ける疑惑。不満。
様々な視線を感じるが、一際嫌な視線を感じそちらに目を向けると50代くらいの脂ぎった肉の塊とでも言えるような男がいた。とても聖職者とは思えない見てくれをしているが、教皇の近くにいるということはそれなりに階級も高いのだろう。
その男は目が合うとニヤリと笑い口を開いた。
「聖下、私はまだ納得していませんよ。皆だってそうです。そんなに強い回復魔法の使い手ならば噂くらい聞きていてもよいもの。セサル卿が手柄欲しさにそこそこ使える回復魔法の使い手を連れてきたのでしょう。帝国の皇妃様を治したというのも無理がある話です」
それにうんうんと頷き賛同する者も多い。
というかセサルさんで枢機卿だったのね。
ナンバー2だとは聞いていたけれどあの性格なので全然しっくりこない。
「ここで私が何を言っても力を証明することは難しいでしょう。手っ取り早く、力の証明を始めましょう」
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