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さる作家志望との会話

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 創作道場みたいなところにも関わっているので
 なんかこう、俺のとこに急に教えてくれって作家志望が急に来る時があります。

 そりゃ、言われたら一応基本は教えるけど。

「どうやって書いたらいいですか」
「(書いた短編を見て)うーん、短編で練習しようというのはいいよね。でもまあ、これは起承転結でまとまってない。漫才でいうと、落ちがないね」

 面白いとか、気持ちいいとか。
 読み終わったときに、何らかの感情を読者に起こさないといけないわけだ。

 そのための機能があるのがオチがある話で、まずそれを作るための意図がなければいけない。
 意図があったうえで、文章を通してそれが読者に伝わっているかという話になる。

「オチがないと思いつつ、無理やりやったけどそれがダメでしたか」
「まあ、ダメだねえ。まず書きよりも読みですよ。自分がこういうの書きたいってモデルになるような作品を最低でも2冊読みましょう」

「同じ作家でもいい?」
「同じ作家はダメ、同じようなジャンルで2作以上。なぜ2作以上かというと、1作だけを真似すると単なるパクリにしかならないから。商業的に売れてる作品は、正しいことをやってるんだからそれ真似してたら、とりあえず正解をやれることになる」

「でも、西尾維新とか難しいし、独特じゃない」
「あー(こういう時、西尾維新上げる人めっちゃ多いよなあ)例えばね、西尾維新でもちゃんと冒頭で盛り上がるように大きな事件起こしてるでしょ」

「(独特な)言い回しに気を取られて、気にならない」
「読者はそうだろうね。でも例えば西尾維新先生の物語シリーズでも、あれは落語みたいな心地よい言い回ししか印象に残らないけど

冒頭はなんかとんでもない事件が起きるし、クライマックスは盛り上がるし、ラストの引きも凄いことが起きるでしょう。

タイトルで読みたいって気にさせて、冒頭で読者を引き込んで、クライマックスで満足させて、ラストで次の巻も読みたいって引っ張る。
そういう物語の曲線があったうえで、中間を埋める言葉遊びなんだよ」

「そういえば、そうですね。毎回事件起きてた」
「単なる読者であれば、読んで気持ちいいってなって満足して忘れたらいいんだよ。でも、作家は読者に奉仕するサービス業なんだから、きちんと構造を気にして読んで、なんでこの小説が気持ちいいってなるのかなって原因からしっかり考えて自分のものとして取り入れていかないといけないよ」
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