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他のキャラクターにも自分の要素を入れるとリアリティーが増す

最近ちょっと嬉しかった話なんですが、昔WEBで書いた「エレベーターガール」という作品がよくて続きを見たいってメッセージをもらったんですよ。
あれは、自分でもよくできていると思いました。

今で言う寝取り物なのですが、寝取られるヒロインの彼氏がとても良くできてたんですね。
まああれはR18作品なので読んでくださいとは言わないんだけど

その彼氏が、優しいけども弱々しく、ヒロインに踏み込めないことで助けられない感じです。
そのキャラクターが、救われないヒロインの悲惨さを際立たせるのに役立ったわけですが。

なんでこんな良い彼氏が作れたのかなと思うと、やはり優しく弱々しいというキャラクターに作者の性格が入ってるからなんですね。
人間は、やはり自分を一番よく表現できます。

だから、自分の一部を主人公だけでなく他のキャラクターに入れてみるというのも良い手法であると思います。
とりあえず自然な人間の感じは、工夫しなくても出ると思います。

これが、全くの他者を取り込んだキャラクターを作るとなると、難易度は増していきます。
前に書いたけど、人間ってパッとみただけでも１６面から２０面くらいあるんですよ。

よくよく知れば知るほど、この人は悪い人だとか良い人だとか決めつけられないじゃないですか。
自分に置き換えたらわかるけど、いろんな自分がいるじゃないですか。

例えばよくあるキャラクターって２面なんですよ。
一番わかりやすいのはツンデレですよね。

ツンツンしてるけど、その人のことがほんとは好きとかね。
だいたいのキャラは、こういう２面性を強調してるはずです。

小さい少女が使う武器は、大きな鎌とかハンマーと大斧とかね。
なぜなら、キャラクターの可愛さはギャップにあるというのが本質だからです。

だから２面で、とりあえず大きく極端なギャップをつけるという手法が多用される。
でももう少し面数が増えていくと、複雑になっていく。

優柔不断に見えるけど、あるところでは決断力があるとか。
優しく善良に見えるけど、それは弱さで場合によっては悪になびいてしまうこともあるとか。

人間というのは２面性なんかで済まず、もっと複雑なバロメーターをもっているわけです。
だから、いわゆるツンデレみたいな極端にはならないんですよ。

でも強烈なギャップは欲しいとなると、これは人間関係によって発生させることになります。
例えば先程あげた拙作の「エレベーターガール」の優しく弱々しい彼氏、あれは強烈に寝取ってくる主人公との対比によって始めて激しいギャップが出るわけです。

そのギャップが面白さになる。
つまり、キャラクターの面白さ、可愛さは単体ではなく敵対する２人とか、仲良し３人組とか対人関係によっても評価が変わってくるわけですね。

そうやってどんどん複雑な変数の処理をやっていかなければならないので、キャラクターを操るというのは難しい技術になっていくわけです。
そして、複雑な処理をする人は話をわかりにくくしてしまうという悪癖もあります。

そこがちょっと前に話した、その人のタイプとも関係してくるので、何が正解というわけではなく自分が得意なタイプは何なのかを考えてやる必要があるでしょう。
複雑な技術は、とりあえずふーんと聞いておいて、やれたらやるでいいんだと思います。

だいたいそれが得意な人は、もう複雑なキャラクター造形をやってますからね。
そして、それでプロになれないとすると、造形の深さはあるがわかりにくくなっちゃっているという問題を抱えているのだと思います。