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あたしは、スリの銀娘。

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 あたしは、スリの銀娘(イェン・ニャン)。
 綺麗な銀髪をしているので、銀娘と呼ばれているが、本名は誰も知らない。

 そもそも本名などないのだ。
 銀娘は、路上で生まれて路上で育った捨て子だった。

 それが今ではアジトを構えて、毎日美味しいものを食べて風呂に入れるほど豪勢な暮らしができるようになったのは、手先が器用でスリの技術があったからだ。

「おや、またカモが見つかったねえ」

 ボサッとした感じで、小さい路地を歩いているおっさんだ。
 あまり金を持ってそうにも見えないが、あたりに人気もないようだし、状況はおあつらえむき。

「さっさと済ませてしまおうかねえ」

 あたしは、わざとおっさんに前からぶつかった。
 サービスに、最近大きくなってきたおっぱいまでポニョンとぶつけてやる。

「おっと」

 そうつぶやくおじさんはスケベそうな顔で、わざと開けてある私の胸元を覗いている。
 これは、カモ過ぎてあくびがでそうだ。

 あたしは慣れた手付きで、男のポケットの財布に手を滑り込ませて……。
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