隣に住んでいた年上のお姉さん

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しばらくお別れ

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 車はバイパスを走る。交通量が多く、少し渋滞していた。しかしそれは一時的で、すぐに解消され、スムーズに車が動いた。どこへ向かうのだろうか。

 「どこまで行くの?」「特に決めずにドライブしない?途中でご飯食べたりして」「そういうのもいいね!」「そうでしょ?」

 僕は窓の外を眺めていた。夫婦が乗車している乗用車、配送トラック、乗客を乗せた観光バス。多くの車が行き交っていた。ユキは流れる音楽を口ずさみながら楽しそうに運転している。すると、ユキは何かを思い出したように口を開いた。

 「そういえばケイスケくんは今年から就職活動か」「もう来ちゃったか…」「職種は決めてるの?」「バスケのクラブチームを運営している会社があるんだよ。その会社に入りたくて」「指導者になるんだ」「うん!」

 小学生からバスケットボールをしており、将来はバスケットボールに携わる仕事に就きたいと考えていた。部活動で後輩を指導する中で指導者を志すようになった。

 「そうか…。バスケしてるんだよね。私も応援に行ったなあ…。懐かしいな、ケイスケくんのお父さん、お母さんと一緒に応援して…」「応援のおかげでベストエイトに入れたよ。ほんとにありがとう!」「ケイスケくん達の練習の成果だよ」

 ユキは微笑みながらそう話した。

 お昼になり、僕達はステーキショップに入った。食事を終え、ユキが呟いた。

 「就職活動始まったらしばらく会えなくなっちゃうな…」

 寂しそうな表情で少し俯いた。

 「就職決まったら会いに行くから待っててよ」「絶対来てよ?」

 就職活動終了後に会う約束をした。

 再び車に乗り、ドライブをした。買い物などをし、楽しい時間を過ごした。

 夜7時前。僕の自宅に到着した。僕とユキは車から降り、石団の前に立った。

 「今日はありがとう、ユキちゃん。ドライブに連れてってくれて。楽しかったよ!」「こちらこそ、ありがとう!私の突然の誘いに付き合ってくれて」

 これから本格的に就職活動が始まり、しばらくユキとは会えなくなる。僕はその寂しさもあってか、なかなか家に入らなかった。

 「じゃあ、就職活動頑張るんだよ?決まったら教えてね。そして…、ちゃんと迎えに来てね…」

 少し照れた様子でユキが話した。だが、どこか寂しそうでもあった。僕はなおさら家に入れなかった。

 だが、いつまでもこうしているわけにはいかない。僕は寂しい気持ちを抑え、ユキを見送ることを決めた。

 「うん」と返すと、ユキは車に乗った。そして、エンジンをかけ助手席の窓を開けた。

 「約束だよ!」

 そう言い、アクセルを踏んだ。

 ユキの運転する車が見えなくなるまで見送り、家に入った。

 (約束するよ!)

 ユキとはしばらくお別れだが、また会える。その日を楽しみに就職活動を頑張ることを決意した。
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