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再会
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しんしんと雪が降り積もる一月のある日。僕は街を歩いていた。酒屋への呼び込みをする男性。お客を見送るキャバクラ店の女性。手を繋ぎ楽しそうに歩いている男女。その風景は平和そのものだった。僕は今大学四年生。就職も決まり、今はアルバイトをしている。この日、アルバイトの帰りにラーメン店へ寄った。
店内に入ると「いらっしゃいませ」と店員の元気な挨拶が聞こえた。僕は空いている席に座り、メニューを注文した。ラーメンと餃子を食べ終え、お会計をし、店を出た。ラーメンを食べ、身体があたたかくなった。店に入る前よりも寒さは感じなかった。店出たケンタは住んでいるアパートに向かった。
止まない雪の中を歩いていると。
「ケンタ?」
斜め後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。僕はその声に気付き振り返ると黒髪にショートヘアーで、長身の女性がコンビニエンスストアの前に立っていた。
「やっぱりケンタだ!」
女性は僕の元へ駆け寄ってきた。その女性のはユウコだった。中学校まで同じ学校に通っていた僕の友人だ。実に六年ぶりの再会だった。
「ケンタ、久しぶり!偶然だね!」
「気付いてくれてありがとう。よく分かったね」
「分かるよ。だって昔の面影が残ってるんだもん」
僕は気付いてもらえたことがとても嬉しかった。
ユウコも大学四年生。卒業後は地元の会社に就職するそうだ。ユウコはちょっと活発な女の子。クラスの仕切り役でもあった。僕たちは他愛もない話をしながら雪道を歩いた。
「じゃあ、俺こっちだから」
「うん。じゃあね」
僕達は丁字路で別れ、僕は右へ、ユウコは左へ歩いた。十秒ほど歩いたが、別れが惜しかったのか、僕は後ろを振り向いた。そると、ユウコが手を振って見送ってくれていた。ユウコは僕が道を右折するまで見送ってくれた。
翌日、僕は講義を終え、アルバイト先のコンビニエンスストアへ向かった。
勤務中の22時頃、僕が品出しをしていると見たことのある女性が入店した。ユウコだった。ユウコは僕に気付き、笑顔で手を振ってくれた。
一人で来たようだ。
「ケンタ、ここでバイトしてたんだ。知らなかった。私隣にある居酒屋でバイトしてるんだ」
「そうだったの?全然知らなかった」
「昨日はちょっと早く終わってさ。友達と軽く食べた後にコンビニに行ったの。コンビニから出た時、丁度ケンタが歩いてるのが見えて声掛けたの」
「そういうことだったのか」
ユウコに偶然会った理由が分かった。
「じゃあ、バイト頑張ってね」
ユウコはそう言い残し、お茶とおにぎりを買った。その後、お互い用事などがあり、しばらく会うことはなかった。
2月の下旬、勤務を終え、店を出た。すると、路地裏で男女の声が聞こえた。女性の声に聞き覚えがあった。ユウコの声だった。ユウコは付き合っていた男性に別れを告げられたらしい。
「待って」
ユウコは止めたが、男性は聞く耳を持たず、彼女の元から去っていった。ユウコは涙を拭きながら路地裏から出てきた。涙を拭いていたユウコは僕に気付かず、僕の目の前を歩いて行った。
「ユウコ!」
ユウコは涙を拭きながら振り向き「話…聞いてくれる?」涙声でケンタにそう言った。小雪がちらつく深夜11時のことだった。
店内に入ると「いらっしゃいませ」と店員の元気な挨拶が聞こえた。僕は空いている席に座り、メニューを注文した。ラーメンと餃子を食べ終え、お会計をし、店を出た。ラーメンを食べ、身体があたたかくなった。店に入る前よりも寒さは感じなかった。店出たケンタは住んでいるアパートに向かった。
止まない雪の中を歩いていると。
「ケンタ?」
斜め後ろから僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。僕はその声に気付き振り返ると黒髪にショートヘアーで、長身の女性がコンビニエンスストアの前に立っていた。
「やっぱりケンタだ!」
女性は僕の元へ駆け寄ってきた。その女性のはユウコだった。中学校まで同じ学校に通っていた僕の友人だ。実に六年ぶりの再会だった。
「ケンタ、久しぶり!偶然だね!」
「気付いてくれてありがとう。よく分かったね」
「分かるよ。だって昔の面影が残ってるんだもん」
僕は気付いてもらえたことがとても嬉しかった。
ユウコも大学四年生。卒業後は地元の会社に就職するそうだ。ユウコはちょっと活発な女の子。クラスの仕切り役でもあった。僕たちは他愛もない話をしながら雪道を歩いた。
「じゃあ、俺こっちだから」
「うん。じゃあね」
僕達は丁字路で別れ、僕は右へ、ユウコは左へ歩いた。十秒ほど歩いたが、別れが惜しかったのか、僕は後ろを振り向いた。そると、ユウコが手を振って見送ってくれていた。ユウコは僕が道を右折するまで見送ってくれた。
翌日、僕は講義を終え、アルバイト先のコンビニエンスストアへ向かった。
勤務中の22時頃、僕が品出しをしていると見たことのある女性が入店した。ユウコだった。ユウコは僕に気付き、笑顔で手を振ってくれた。
一人で来たようだ。
「ケンタ、ここでバイトしてたんだ。知らなかった。私隣にある居酒屋でバイトしてるんだ」
「そうだったの?全然知らなかった」
「昨日はちょっと早く終わってさ。友達と軽く食べた後にコンビニに行ったの。コンビニから出た時、丁度ケンタが歩いてるのが見えて声掛けたの」
「そういうことだったのか」
ユウコに偶然会った理由が分かった。
「じゃあ、バイト頑張ってね」
ユウコはそう言い残し、お茶とおにぎりを買った。その後、お互い用事などがあり、しばらく会うことはなかった。
2月の下旬、勤務を終え、店を出た。すると、路地裏で男女の声が聞こえた。女性の声に聞き覚えがあった。ユウコの声だった。ユウコは付き合っていた男性に別れを告げられたらしい。
「待って」
ユウコは止めたが、男性は聞く耳を持たず、彼女の元から去っていった。ユウコは涙を拭きながら路地裏から出てきた。涙を拭いていたユウコは僕に気付かず、僕の目の前を歩いて行った。
「ユウコ!」
ユウコは涙を拭きながら振り向き「話…聞いてくれる?」涙声でケンタにそう言った。小雪がちらつく深夜11時のことだった。
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