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第二章 勝負の三年間 一年生編
第三十三話 強豪を引っ掻き回してるよ
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「十八番!」
後半十七分、北東学園高校の選手の声がピッチに響くと同時に、ボールは綾乃の右足に収まる。
北東学園高校の選手が綾乃をマーク。その選手は朝、綾乃が列車で見かけた…。
一瞬だけ彼女へ視線を向ける綾乃。すると、無意識のうちに眼光が鋭くなる。お嬢様とはかけ離れた表情。
しかし、ピッチに立てばそこは戦場。
綾乃はその戦場で戦っているのだ。
綾乃は周囲を見渡す。視線の先には手を上げる舞子の姿。しかし、彼女の前にはディフェンスが。
舞子はパスコースを作ろうと右へ左へ動くが、ディフェンスが作らせない。
綾乃は舞子へのパスを諦め、更に周囲を見渡す。
すると今度は、瑞穂の姿。彼女にはマークがついていない。綾乃は迷うことなく瑞穂へボールを繋ぐ。
ボールは瑞穂の右足に収まる。それから少し遅れて、北東学園高校の選手がボールを奪いに右足を出す。
次の瞬間、瑞穂は仰向けに倒れこむ。
「ピーッ!」
ホイッスルが鳴り、主審が瑞穂の元へ。瑞穂は少し痛そうな表情を浮かべるが、すぐに起き上がる。
ファウルとなり、山取東高校がフリーキックを獲得。舞子がボールの前に立つ。
綾乃は舞子へ視線を向ける。舞子は綾乃からの無言のサインに小さく頷き、助走距離をとる。
同時に、北東学園高校の一人の選手が綾乃につく。綾乃が途中出場してすぐに彼女をマークした選手が。彼女は右へ左へ動く綾乃に惑わされることなく、コースを塞ぐ。
しばらくしてホイッスルが鳴り、舞子はゆっくりと助走をつける。そして、右足を振り抜く。
その瞬間、綾乃はゴール前へと走る。
ボールは枠を捉え、ゴール左上。GKが飛び、右手でボールを弾き出す。
ボールはまだ生きている。そのボールを瑞穂が拾う。すると、北東学園高校の選手が瑞穂につく。
ファウルを警戒し、じりじりと瑞穂との距離を詰める。瑞穂は目前の選手を見つめ、タイミングを探る。
しかし、そのタイミングをなかなか掴めない。
すると次の瞬間。
「十八番!」
北東学園高校の監督の声。瑞穂の視線の先には北東学園高校のディフェンスをかいくぐる山取東高校の背番号十八。
そして、瑞穂をマークする選手の隣へ。
思わず驚いたようにぽかんと口を開けた瑞穂。しかし、すぐに我に返ったように背番号十八の味方へパスを出す。
瑞穂をマークしていた選手が追うが、既に背番号十八の右足にボールは収まる。そして、相手選手の股の下を通るボールを供給。
そのボールを。
次の瞬間、山取東高校のフィールドプレーヤーが一人の選手の元へ駆け寄る。
少し遅れて瑞穂も。
「さすが舞子!」
瑞穂は舞子とハイタッチを交わすと、綾乃の元へ。
「強豪を引っ掻き回してるよ、綾乃ちゃん」
瑞穂が笑顔でそう言葉を掛けると、綾乃は。
「先輩方いてこその私です」
照れた表情でそう応えていた。
後半十七分、北東学園高校の選手の声がピッチに響くと同時に、ボールは綾乃の右足に収まる。
北東学園高校の選手が綾乃をマーク。その選手は朝、綾乃が列車で見かけた…。
一瞬だけ彼女へ視線を向ける綾乃。すると、無意識のうちに眼光が鋭くなる。お嬢様とはかけ離れた表情。
しかし、ピッチに立てばそこは戦場。
綾乃はその戦場で戦っているのだ。
綾乃は周囲を見渡す。視線の先には手を上げる舞子の姿。しかし、彼女の前にはディフェンスが。
舞子はパスコースを作ろうと右へ左へ動くが、ディフェンスが作らせない。
綾乃は舞子へのパスを諦め、更に周囲を見渡す。
すると今度は、瑞穂の姿。彼女にはマークがついていない。綾乃は迷うことなく瑞穂へボールを繋ぐ。
ボールは瑞穂の右足に収まる。それから少し遅れて、北東学園高校の選手がボールを奪いに右足を出す。
次の瞬間、瑞穂は仰向けに倒れこむ。
「ピーッ!」
ホイッスルが鳴り、主審が瑞穂の元へ。瑞穂は少し痛そうな表情を浮かべるが、すぐに起き上がる。
ファウルとなり、山取東高校がフリーキックを獲得。舞子がボールの前に立つ。
綾乃は舞子へ視線を向ける。舞子は綾乃からの無言のサインに小さく頷き、助走距離をとる。
同時に、北東学園高校の一人の選手が綾乃につく。綾乃が途中出場してすぐに彼女をマークした選手が。彼女は右へ左へ動く綾乃に惑わされることなく、コースを塞ぐ。
しばらくしてホイッスルが鳴り、舞子はゆっくりと助走をつける。そして、右足を振り抜く。
その瞬間、綾乃はゴール前へと走る。
ボールは枠を捉え、ゴール左上。GKが飛び、右手でボールを弾き出す。
ボールはまだ生きている。そのボールを瑞穂が拾う。すると、北東学園高校の選手が瑞穂につく。
ファウルを警戒し、じりじりと瑞穂との距離を詰める。瑞穂は目前の選手を見つめ、タイミングを探る。
しかし、そのタイミングをなかなか掴めない。
すると次の瞬間。
「十八番!」
北東学園高校の監督の声。瑞穂の視線の先には北東学園高校のディフェンスをかいくぐる山取東高校の背番号十八。
そして、瑞穂をマークする選手の隣へ。
思わず驚いたようにぽかんと口を開けた瑞穂。しかし、すぐに我に返ったように背番号十八の味方へパスを出す。
瑞穂をマークしていた選手が追うが、既に背番号十八の右足にボールは収まる。そして、相手選手の股の下を通るボールを供給。
そのボールを。
次の瞬間、山取東高校のフィールドプレーヤーが一人の選手の元へ駆け寄る。
少し遅れて瑞穂も。
「さすが舞子!」
瑞穂は舞子とハイタッチを交わすと、綾乃の元へ。
「強豪を引っ掻き回してるよ、綾乃ちゃん」
瑞穂が笑顔でそう言葉を掛けると、綾乃は。
「先輩方いてこその私です」
照れた表情でそう応えていた。
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