17 / 75
第二章 勝負の三年間 一年生編
第九話 背番号七、一ノ瀬綾乃。
しおりを挟む
午前九時五十七分、両校の選手が整列。両校の選手が握手を交わし、代表者がセンターサークル内へ。
山取東高校からは綾乃が。主審がコイントスし、エンドとボールが決定。前半は岩浜西高校ボールでのキックオフとなった。
試合時間は前半と後半合わせて四十分。この練習試合では延長戦は行なわない。
綾乃は岩浜西高校の主将と握手を交わす。
綾乃の目に映るのは決して余裕を見せない相手主将の姿。それこそが本来あるべき姿。
「よろしくお願いします!」
二人が声を揃え、足を上げると同時に、両校の選手がポジションへ散る。綾乃は中盤左サイドの位置に立つ。
センターサークル内には握手を交わした相手主将の姿。綾乃は彼女を見つめ、囁くように言う。
「簡単に勝たせてくれないことは百も承知です…。ですけど、こちらが勝つ可能性は十分あります…!」
それからすぐに、一人の選手がセンターサークル内へ。そして、ボールを右足で収め、主将と言葉を交わす。
すると次の瞬間、主将の視線が綾乃へと向けられる。綾乃は主将の視線から目を逸らすことなく、じっと彼女を見つめる。
主将の視線が何を意味するのかは綾乃には分からない。しかし、握手を交わした時と同様に、表情には「余裕」の文字はない。
しばらく主将を見つめた綾乃の視線は校舎へ。彼女の目に映るのは一階の一つの窓。その左にはあの人物。
綾乃の表情は一瞬だけ緩みかけたが、すぐに気を引き締め直す。
「勝利に貢献できるプレーを…!」
綾乃はその人物に会釈し、視線をセンターサークルへ。
同時に、綾乃が着用する背番号七のビブスを太陽が照らす。そして、練習場に彼女の影をはっきりと映す。
すると。
「頑張れ、綾乃ちゃん!」
綾乃の耳に男子生徒の声が届く。
「綾乃ちゃん!」
続けて、女子生徒の声が。
彼らの声は校舎の三階にある音楽室から。
綾乃は彼らを見つめ、小さく頷く。
「ありがとうございます…!力になります…!」
お礼を伝えると、校舎の一階の窓へ視線を移す。
潤と目が合った綾乃。
綾乃を見つめる潤は微笑み、小さく頷く。
彼の表情を見て、綾乃も微笑む。
「ありがとうございます…!絶対に勝利を掴み取ります…!」
そして、十時三分。
ピーッ!
ホイッスルが鳴り、前半の二十分が始まった。岩浜西高校の主将へボールが渡ったと同時に、背番号七、一ノ瀬綾乃は勢いよく駆け出す。
主将がパスを出すと、綾乃はスピードを上げる。
その姿にお嬢様の面影はない。
まさに、サッカー選手そのもの。
「おお!」
しばらしく、校舎から歓声が練習場に届く。彼らの歓声は背番号七へ向けられた。
彼らの視線の先に映る綾乃はピッチの練習場でボールを右足で収める。
監督の宮城が思わず声を上げるほどの鮮やかなボール奪取だった。
山取東高校からは綾乃が。主審がコイントスし、エンドとボールが決定。前半は岩浜西高校ボールでのキックオフとなった。
試合時間は前半と後半合わせて四十分。この練習試合では延長戦は行なわない。
綾乃は岩浜西高校の主将と握手を交わす。
綾乃の目に映るのは決して余裕を見せない相手主将の姿。それこそが本来あるべき姿。
「よろしくお願いします!」
二人が声を揃え、足を上げると同時に、両校の選手がポジションへ散る。綾乃は中盤左サイドの位置に立つ。
センターサークル内には握手を交わした相手主将の姿。綾乃は彼女を見つめ、囁くように言う。
「簡単に勝たせてくれないことは百も承知です…。ですけど、こちらが勝つ可能性は十分あります…!」
それからすぐに、一人の選手がセンターサークル内へ。そして、ボールを右足で収め、主将と言葉を交わす。
すると次の瞬間、主将の視線が綾乃へと向けられる。綾乃は主将の視線から目を逸らすことなく、じっと彼女を見つめる。
主将の視線が何を意味するのかは綾乃には分からない。しかし、握手を交わした時と同様に、表情には「余裕」の文字はない。
しばらく主将を見つめた綾乃の視線は校舎へ。彼女の目に映るのは一階の一つの窓。その左にはあの人物。
綾乃の表情は一瞬だけ緩みかけたが、すぐに気を引き締め直す。
「勝利に貢献できるプレーを…!」
綾乃はその人物に会釈し、視線をセンターサークルへ。
同時に、綾乃が着用する背番号七のビブスを太陽が照らす。そして、練習場に彼女の影をはっきりと映す。
すると。
「頑張れ、綾乃ちゃん!」
綾乃の耳に男子生徒の声が届く。
「綾乃ちゃん!」
続けて、女子生徒の声が。
彼らの声は校舎の三階にある音楽室から。
綾乃は彼らを見つめ、小さく頷く。
「ありがとうございます…!力になります…!」
お礼を伝えると、校舎の一階の窓へ視線を移す。
潤と目が合った綾乃。
綾乃を見つめる潤は微笑み、小さく頷く。
彼の表情を見て、綾乃も微笑む。
「ありがとうございます…!絶対に勝利を掴み取ります…!」
そして、十時三分。
ピーッ!
ホイッスルが鳴り、前半の二十分が始まった。岩浜西高校の主将へボールが渡ったと同時に、背番号七、一ノ瀬綾乃は勢いよく駆け出す。
主将がパスを出すと、綾乃はスピードを上げる。
その姿にお嬢様の面影はない。
まさに、サッカー選手そのもの。
「おお!」
しばらしく、校舎から歓声が練習場に届く。彼らの歓声は背番号七へ向けられた。
彼らの視線の先に映る綾乃はピッチの練習場でボールを右足で収める。
監督の宮城が思わず声を上げるほどの鮮やかなボール奪取だった。
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる