慈愛の聖女と聖玉の守護者【R18】

人面石発見器

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第2章

ファイス・ガリュウ・アークウェル(1)

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 フィアスくんは「五聖玉イクサの守護者」の中で最年少の、6さい半のおとこの子。

 「大地ガリアードの聖玉の守護者」である彼は、金髪碧眼の、なんというか「愛らしい王子さま」って感じの子だ。

 まぁ、彼はガリュウ国王の孫で王族の一員だから、「王子さま」っていえなくもないかな?
 お父さん、王太子らしいし。

 そんな、「王子さま」なファイスくん。身長は120cmもないけど、年齢的に平均値だろうから、そこまで小さいって感じはしない。

 6さい半という年齢で、ちゃんと「1年生」って感じに見えるから、年相応の成長をしてる思う。

 今はとっても愛らしいお姿の彼だけど、めっちゃ美形に育ちそうな雰囲気を醸し出している、まさに「正統派王子さま」なの。
 といっても、まだまだ幼いから、

「ステキっ♡」

 というより、

「かわい~♡」

 って感じだけどね。

 そんな「かわい~♡」6さい半のおとこの子、ファイスくんの出身国のガリュウ王国は、300年くらい前に「聖剣の勇者」が建国した国らしくて、それに関係して、建国王の血を受け継ぐ王族は、性別に関わらず厳しい剣術の修行をしないといけないんだって。

 というわけで、「聖玉の守護者」としての「責任」を果たしたあと(守護者の任期は6さいから12さいくらいまでで、それ以上に成長すると「次の子」が聖玉によって守護者に選ばれる)は、ファイスくんも自国に帰ることになるから、彼は剣術の稽古を欠かさない。

 毎日がんばってるんだよ? 一生懸命で、かっわい~の♡

 あたしたちが暮らしている聖翼レーラ神殿には、神官騎士という「剣術に優れた神官」がいて、ファイスくんはその中でも、「特に強い人」の指導を受けてるんだって。

 ファイスくんの指導をしている人は、元は聖騎士団に所属していた「上級聖騎士」。上級がついてるんだから強いんだろう。よくわかんないけど。

 あたしは小さなころから、陸上……短距離を中心にやってきたけど、あたしみたいな県大会レベルのアスリートでは、騎士さんたちの動きの凄さは理解できない。

 よく身体が動いているのはわかるし、強いんだろうなとは思うけど、そのくらいだ。

 今は、昼食をとってから2時間ほどが経過した時刻。
 予定では、もうすぐファイスくんと「イチャる時間」だから、あたし、彼を迎えにきたの。

 中庭の広場。木劍を手に、剣術の指導をうけるファイスくん。
 真剣なお顔で、それはもうカッコかわいいっ!

 もうちょっと、カッコかわいい彼を見ていたかったけど……剣術の稽古、おわったみたい。

 ファイスくんは指導してくれた神官騎士に頭をさげると、

「おまたせいたしました」

 木劍を抱えて、あたしへとかけよってきた。

 ファイスくん、汗に濡れた前髪がおでこにはりついている。

「お疲れさま」

 あたしの言葉に、

「つかれていません」

 と、ちょっとずれたこたえ。

「うん。じゃあつぎは、おねえちゃんと遊んでね」

 あたしはファイスくんに、自分のことを「おねえちゃん」といっている。

「はいっ! せいじょさま」

 元気よく返事をくれるファイスくん。彼はあたしを、「聖女さま」とよぶ。
 あたしとしては、「おねえちゃん」でもいいんだけどな~。

 ファイスくんは近づいてきた神官さんに、

「おねがいします」

 抱えていた木劍を預ける。

 そしてあたしの前に片膝をついて、お顔を上げると、

「おてを、どうぞ」

 左手を差し出してきた。

 あたしはその小さな手を取り、彼が立ち上がるのを待つ。

 こういう礼儀作法みたいなの、最初のころはどうしていいかわからなかったけど、今はなんとかできるようになってきた。

 彼はあたしをエスコートするように、手をつないだまま少し前を歩く。
 行き先、わかってるのかな?

「あたしの部屋にいきましょ?」

 ファイスくんは一度立ち止まり、振り返ってあたしを見上げると軽く片膝を折って頭を下げる。
 そして、なにごともなかったかのように、ふたたび前をむいて足を進めた。

 そんな「大人ぶった」かわいらしい姿に、あたしは笑っちゃいそうになったけど、こっそりとニヤけるだけでがまんした。
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