1 / 13
第1章
ルノウ・ティスケル(1)
しおりを挟む
「聞いていらっしゃいますか? キョウカさま」
室内に響く、幼い少年の声。
それは、あたしへと向けられたものだ。
この部屋にいるのは、大きな机に横並びで座る、あたしと彼のふたりだけ。
右隣。触れ合うような距離からかけられた、10さいになったばかりの彼……ルノウくんの声に、
「ちょっと疲れたー」
あたしは机に突っ伏した。
授業ってのは、「どこの世界でも」大変で退屈だ。
『どこの世界でも』
あたしがそう思うのには理由があって、あたしがいわゆる「異世界転移」を経験しているからである。
はい、はい。そうです。
あたしは今、「異世界」にいます。
最近の流行(はや)りだよね? 異世界に行くの。
ちなみにあたし、「もとの世界」には帰れないみたい。
高校3年生のあたしは、「もとの世界」に家族や友だちや目標……いろいろなものを「そのまま」にしてきちゃったけど、不思議と後悔はないかな。
だってこの世界はこの世界で、あたし、すっごく充実してるから。
◇
高校3年生の1学期末試験初日。
塾のテスト予想問題は適度に当たり、そこそこ外れていた。
要するにあたしは「これはヤバい……」という状況で、このままだと部活(陸上部。もうすぐ高校生活最後の大会)にも影響がでるし、お小遣いも減らされちゃうっ! 夏には欲しい本やグッズがたくさん出るのにっ!
と、まぁ……そんな、せっぱつまった中での帰宅途中、あたしは「異世界」へと「召喚」された。
剣と魔法のファンタジーな世界観のそこで、あたしに与えられたお仕事は、
『慈愛の聖女』
というもの。
その世界は、「五聖玉」? よくわからないけど、なんでも「聖なる守護の力が込められた、5つの宝玉」で守られていて、その力による「結界」で「邪悪なる存在」の侵入を防いでいる……らしい。
納得できるとか、理解できるとか、そういうのは置いておいての話だけど。
で、よ?
その「5つの宝玉」は、それぞれ「守護者」という「選ばれた者」と対になっていて、「5人の守護者」と「5つの宝玉」を「繋げる存在」が、「慈愛の聖女」というわけ……みたいなの。
そして「守護者」と「宝玉」がきちんと繋がっていないと、「結界」が弱くなって、最悪「邪悪なる存在」が「この世界」に侵入してきちゃうって話なのよ。
……はい。なにいってるかわかりませんよね?
だいじょーぶ。当事者のあたしにもわかってないから。
でも……わからないなりに、「守護者」と「宝玉」を繋げるためには「慈愛の聖女」が必要で、簡単にいっちゃうと、あたしがこの世界の「平和のため」に呼ばれたってのは理解できた。
そしてもうひとつ。
「守護者たちは慈愛の聖女と、精神的にも肉体的にも繋がりを持つ必要がある」
というのも、重要ポイントなの。
精神的にも肉体的にも繋がりを……って、いわゆる「そういう」こと。
わ、わかるでしょ? アレよ、アレ。
アレなことも含んでというか、アレなことがメインなのっ!
……で、ここで問題になってくるのが、守護者たちの性別と年齢だった。
だってあたし、同性愛はムリ(精神的にはイケるかもだけど、肉体的にはエンリョしたいかな)だし、異性でも年上は絶対ムリ。
というかあたし「ショタ好き」だから、「小学生のおとこの子」しか……ね?
しょっ、しょうがないでしょっ!?
小学生、可愛すぎなんだもんっ!
あたしにとっては「小学生の美男児」が至高の存在なんだから、それ以外と「する」なんて基本的にムリっ!
でも、あたしが「慈愛の聖女適正者」として召喚されたのにも「そのあたり」が関係していて、「守護者」の資格があるのは、「6さいから12さいくらいまでの、幼いおとこの子」だけ……だったの!
室内に響く、幼い少年の声。
それは、あたしへと向けられたものだ。
この部屋にいるのは、大きな机に横並びで座る、あたしと彼のふたりだけ。
右隣。触れ合うような距離からかけられた、10さいになったばかりの彼……ルノウくんの声に、
「ちょっと疲れたー」
あたしは机に突っ伏した。
授業ってのは、「どこの世界でも」大変で退屈だ。
『どこの世界でも』
あたしがそう思うのには理由があって、あたしがいわゆる「異世界転移」を経験しているからである。
はい、はい。そうです。
あたしは今、「異世界」にいます。
最近の流行(はや)りだよね? 異世界に行くの。
ちなみにあたし、「もとの世界」には帰れないみたい。
高校3年生のあたしは、「もとの世界」に家族や友だちや目標……いろいろなものを「そのまま」にしてきちゃったけど、不思議と後悔はないかな。
だってこの世界はこの世界で、あたし、すっごく充実してるから。
◇
高校3年生の1学期末試験初日。
塾のテスト予想問題は適度に当たり、そこそこ外れていた。
要するにあたしは「これはヤバい……」という状況で、このままだと部活(陸上部。もうすぐ高校生活最後の大会)にも影響がでるし、お小遣いも減らされちゃうっ! 夏には欲しい本やグッズがたくさん出るのにっ!
と、まぁ……そんな、せっぱつまった中での帰宅途中、あたしは「異世界」へと「召喚」された。
剣と魔法のファンタジーな世界観のそこで、あたしに与えられたお仕事は、
『慈愛の聖女』
というもの。
その世界は、「五聖玉」? よくわからないけど、なんでも「聖なる守護の力が込められた、5つの宝玉」で守られていて、その力による「結界」で「邪悪なる存在」の侵入を防いでいる……らしい。
納得できるとか、理解できるとか、そういうのは置いておいての話だけど。
で、よ?
その「5つの宝玉」は、それぞれ「守護者」という「選ばれた者」と対になっていて、「5人の守護者」と「5つの宝玉」を「繋げる存在」が、「慈愛の聖女」というわけ……みたいなの。
そして「守護者」と「宝玉」がきちんと繋がっていないと、「結界」が弱くなって、最悪「邪悪なる存在」が「この世界」に侵入してきちゃうって話なのよ。
……はい。なにいってるかわかりませんよね?
だいじょーぶ。当事者のあたしにもわかってないから。
でも……わからないなりに、「守護者」と「宝玉」を繋げるためには「慈愛の聖女」が必要で、簡単にいっちゃうと、あたしがこの世界の「平和のため」に呼ばれたってのは理解できた。
そしてもうひとつ。
「守護者たちは慈愛の聖女と、精神的にも肉体的にも繋がりを持つ必要がある」
というのも、重要ポイントなの。
精神的にも肉体的にも繋がりを……って、いわゆる「そういう」こと。
わ、わかるでしょ? アレよ、アレ。
アレなことも含んでというか、アレなことがメインなのっ!
……で、ここで問題になってくるのが、守護者たちの性別と年齢だった。
だってあたし、同性愛はムリ(精神的にはイケるかもだけど、肉体的にはエンリョしたいかな)だし、異性でも年上は絶対ムリ。
というかあたし「ショタ好き」だから、「小学生のおとこの子」しか……ね?
しょっ、しょうがないでしょっ!?
小学生、可愛すぎなんだもんっ!
あたしにとっては「小学生の美男児」が至高の存在なんだから、それ以外と「する」なんて基本的にムリっ!
でも、あたしが「慈愛の聖女適正者」として召喚されたのにも「そのあたり」が関係していて、「守護者」の資格があるのは、「6さいから12さいくらいまでの、幼いおとこの子」だけ……だったの!
1
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説



どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる