261 / 438
第三部 異世界建築士と思い出の家
第240話:帰還
しおりを挟む
ガルフは、姿を消していた。
冒険者たちにとって「ガルフ」とは、褐色――枯草色の髪をした、額に×の字の傷跡をもつ、「人間」の傭兵だ。
冒険者ギルドの人間は、まだ、ガルフの正体を知らない。
「結局、あの犬属人の男は、何だったんでしょうかねえ?」
「……分からない」
「リトリィさんに執着していたみたいですが、知り合いなのですか?」
「……分からない」
「恋人さんが捕らわれていた部屋に転がっていた男の死体は、人相書きで見たことがあります。最近行方をくらませた奴隷商人ですね。たちの悪い輩だったそうですよ?」
「……そうか、じゃあ、悪が一つ、滅びたな」
「僕としては、あの犬野郎をなんとかできなかったのが心残りですが」
「あの場、あの条件では、勝ち目がなかったんだろ? 今回はしょうがないんじゃないか?」
ヴェフタールが、目を丸くする。
「……まあ、たしかに、あの場で勝つのは難しかったと思われますが……。どこか、また頭でも打ちましたか? そんな合理的なことを言うなんて」
――ブッコロスぞ、ほんとに。
「ただ、あの犬野郎はリトリィさんに執着していたようですから。取り逃がしてしまったことはかなり頭の痛い問題です。今後、またどこかで、彼女を狙ってやってくるかもしれませんよ?」
……冗談、だよな?
笑い飛ばそうとしたが、ヴェフタールは真剣な表情を崩さない。
そうだ、冗談もクソもない。奴は、リトリィに自分の子供を産ませることに、ものすごく執着していた。また襲ってくるおそれは十分にある。
「今回は君のお手伝いをすることができましたが、それもナリクァン夫人が動いたからです。君の恋人さんが再びさらわれたとしても、その時は、お手伝いできないかもしれません。せいぜい、気を付けることですね」
ヴェフタールは、アムティと共に騎鳥に飛び乗ると、右手を挙げた。
「ではごきげんよう、壊し屋さん」
「建築士だっ!」
「おっと、そうでした。あらためて、ごきげんよう建て壊し屋さん」
ヴェフタールの隣でアムティが笑い、そのまま二人は、冒険者たちの一団と共に駆けて行った。
くっそ! 本当にイイ性格をしているな、あいつらは!
ごとごとと揺れる馬車の隅で、俺とリトリィは揺られるままに座っていた。
さすがナリクァンさんだ。この街で一般的に使われる荷運び用の車は、毛長牛が曳くと相場が決まっている。馬は、毛長牛よりも数段高価なのだそうだ。
にもかかわらず、馬車。
ひどい目に遭ったであろう女性たちをおもんぱかったチョイスなのであろうし、また、そんな彼女たちの救助に関わったナリクァン商会の力を誇示するにも都合がいいのだろう。
その馬車の中は、重苦しい感じだった。
助かったのだから、もっと和気あいあい、にぎやかに、助かった者同士が明日への希望を口にする明るい雰囲気になるかと思っていたのだが。
やはり、みな、疲れ切っているようで、ほとんどの女性はうつむいたままだった。眠っている女性も多い。例の垂れ耳うさぎ風の耳の母娘も、互いに寄り添うように眠っている。
護衛として入ってくれている女性の冒険者も、夜通しの作戦の疲れが出たためか、船を漕いでいる。おいおい、いいのかそれで。まあ、責める気も無いけどな。
そんな中で、男が一人。
……たいへん、居づらい。
リトリィがとなりにぴったりとくっついて座ってくれているのが幸いだ。
もっとも、俺がここにいる理由も、彼女が腕から離れようとしないから、なのだが。彼女が離れないから、俺は彼女と共に馬車に乗り込む羽目になっている、ただそれだけである。
だから、たとえ居づらくとも、それを嫌だというつもりはない。それだけ、俺を信頼してくれている証だと思うから。
そうだ。
ガルフがリトリィに執着したように、リトリィは俺に執着してくれている。
二十七年間童貞で、彼女のかの字の気配もなかった俺にとっては、まさに天からの恵みの如くありがたい女性だ。ありがたすぎてその恩恵を素直に受け取れなくて、山では随分と時間を無駄にしてしまったけれど。
そっと、彼女が俺の肩に頭をのせてくる。
毛布とも呼べぬ掛け布を二人でまとっているだけだが、このリトリィがことのほかあたたかくて、寒さなど感じない。
「……寒くないか? その、俺はあったかいけど、リトリィは――」
俺が彼女の肩に掛けたマント以外、彼女は何も身に付けていない。なのにこうして温かいのは、彼女のふかふかな毛並みと、そして高い体温のためだ。
逆に言えば、彼女は自分の体温よりも低い物体に寄りかかっているわけで、彼女こそ寒くないのか。
するとリトリィは、ふふ、と微笑んだ。
「ムラタさんには、ムラタさんなりのぬくもりがあります。それが感じられるなら、わたしはそれで十分です。ううん、むしろわたしであなたがあたたまってくれるなら、それがうれしいです」
そういって、肩に頬をこすりつけてくる。それとともに、ぴこぴこ揺れる耳が顔に触れるたびに、くすぐったくなる。だが、それが可愛らしい。
ふわりと掛け布がずれたので、肩口まで引っ張る。
マントの下にある、彼女の大きな胸のふくらみが――その桜色の尖端が、マントの隙間から見えて、思わず目をそらした。
リトリィは、そんな俺の反応から気づいたようで、そっと掛け布の下で俺の手を取ると、そのままそっと引っ張って、自分の胸に、俺の手を押し当てる。
「……あたたかい、ですか?」
「いや、えっと……あ、あったかいよ?」
「ふふ……」
少し首をかしげるようにして俺を見たリトリィは、また、俺に体重を預けてきた。
「あなたのリトリィは、ここにいますよ……。どこでもない、あなたの、おそばに」
……そういう意味か。
つい、下世話な想像が頭の中を駆け巡って、他のひとも乗っているのに、と、見当違いなことを考えてしまった自分を恥じる。
……仕方ないじゃないか!
彼女、丈の短いマント以外、何も身に付けていないのだ。気を利かせて、丈の長いマントをくれようとした冒険者もいたが、彼女は、このマントがあるから十分です、などと言って断ってしまった。
……いや、そのマント、その……丈が短くて腰までしかないから、動くとすぐ、君の大切な場所が、見えちゃうんだよ!
だから、こうして掛け布の下で密着されてると、ほんと色々、俺が困ったことになってですね……!
「……ふふ。お元気ですね、おやんちゃさんたら。……おつらいなら、なでなで、してあげましょうか?」
やめて! 今なでなでされたら、速攻で果てる自信があるから!
君は自分の技がいかに俺を悦ばせるか、自覚がなさすぎだから!
同乗してる獣人さんたちが、ニオイで感づくに決まってるから!
いくら掛け布の下だからって、ちょ、やめ……、……、あふん。
ひと仕事を終えたとばかりに、手のなかのものをていねいに舐め取ったあと、実に満足そうに目を閉じたリトリィ。
俺も、彼女に肩を寄せ、街につくまでにひと眠りしておこうと、目を閉じる。
だが、なかなか眠れなかった。やはり、体勢もそうだが、ゴトゴトと不規則に揺れる馬車というのは、どうにも体が落ち着かないのだろう。
リトリィはというと、可愛らしい、かすかな寝息を立てている。やはり、相当に疲れていたに違いない。
小柄な彼女だが、しかし彼女はもうすぐ二十歳になる、立派なレディーだ。可愛らしいという形容はふさわしいのだろうかと苦笑し、そして、ふと、その年齢について考えてしまった。
一般的に、獣人族の女性が妊娠できるのは、二十歳すぎまで、と言われているらしい。そして彼女は、もうじき、その二十歳になる。
つまり、彼女自身もやたら執着している、子供をつくる瀬戸際の歳になるのだ。
もしリトリィが――ライカントロプスが、一般的な獣人族と同じ特性を持っているとしたら、ガルフは近いうちに、また彼女に接触を試みるのではないだろうか。
リトリィに、時間がないからこそ。
そう、だからこそ俺は、冒険者ギルドの人間に、「ガルフ」の正体を言わなかった。
言いそびれた、ではなく、保身のために。
あの、馬鹿馬鹿しいほどにリトリィに執着した男。
問答無用でさらってしまえばよかったのに、その場に俺がいると気づくと、俺たちに目的と意志をきちんと伝え、納得させようとした、ズレてはいるが筋を通そうとした男。
だから、もしほかに伝えなかったら――もしかしたら、奴はリトリィを、俺を殺してでも奪い取るような真似など、しないかもしれないと思ったのだ。
たとえそうでなくとも、彼女のぬくもりを奪われるなど、二度と考えたくもない。
どうせ、奴が本気を出して来たら、俺では絶対に勝てないのだから。護衛を雇うなんて金が続くわけもないし、四六時中守ってもらうのも、現実的ではない。
だったら、それなりに義理を感じてもらって、遠ざけることはできないか。
もちろん、そう簡単にうまくいくとも思えないのだが、だからと言って他に有効な対策が思いつくわけでもない。
いつかやってくる「災害」をいかにしてやりすごすか、ただそれだけだ。
情報を流して大金を投入し、あまたの冒険者を雇って討ち取ってしまうのもありかもしれない。
しかしそうなったら、追い詰められたガルフが、かえって襲ってくることにもなりかねない。潜伏されて長期戦をやられたら、間違いなく俺の方が不利だ。
こう言っては何だが、いっそ、リトリィよりさらに若いライカントロプスの女性が見つかるかもしれなくて、でもってガルフといい仲に――
と、考えて、あまりにも都合の良すぎる妄想にため息がでる。
ガルフがリトリィを口説きに来ることの方が、ずっと現実的だ。
「ムラタさん? おひとりで悩まれる悪いくせが、また出ていますよ?」
冒険者たちにとって「ガルフ」とは、褐色――枯草色の髪をした、額に×の字の傷跡をもつ、「人間」の傭兵だ。
冒険者ギルドの人間は、まだ、ガルフの正体を知らない。
「結局、あの犬属人の男は、何だったんでしょうかねえ?」
「……分からない」
「リトリィさんに執着していたみたいですが、知り合いなのですか?」
「……分からない」
「恋人さんが捕らわれていた部屋に転がっていた男の死体は、人相書きで見たことがあります。最近行方をくらませた奴隷商人ですね。たちの悪い輩だったそうですよ?」
「……そうか、じゃあ、悪が一つ、滅びたな」
「僕としては、あの犬野郎をなんとかできなかったのが心残りですが」
「あの場、あの条件では、勝ち目がなかったんだろ? 今回はしょうがないんじゃないか?」
ヴェフタールが、目を丸くする。
「……まあ、たしかに、あの場で勝つのは難しかったと思われますが……。どこか、また頭でも打ちましたか? そんな合理的なことを言うなんて」
――ブッコロスぞ、ほんとに。
「ただ、あの犬野郎はリトリィさんに執着していたようですから。取り逃がしてしまったことはかなり頭の痛い問題です。今後、またどこかで、彼女を狙ってやってくるかもしれませんよ?」
……冗談、だよな?
笑い飛ばそうとしたが、ヴェフタールは真剣な表情を崩さない。
そうだ、冗談もクソもない。奴は、リトリィに自分の子供を産ませることに、ものすごく執着していた。また襲ってくるおそれは十分にある。
「今回は君のお手伝いをすることができましたが、それもナリクァン夫人が動いたからです。君の恋人さんが再びさらわれたとしても、その時は、お手伝いできないかもしれません。せいぜい、気を付けることですね」
ヴェフタールは、アムティと共に騎鳥に飛び乗ると、右手を挙げた。
「ではごきげんよう、壊し屋さん」
「建築士だっ!」
「おっと、そうでした。あらためて、ごきげんよう建て壊し屋さん」
ヴェフタールの隣でアムティが笑い、そのまま二人は、冒険者たちの一団と共に駆けて行った。
くっそ! 本当にイイ性格をしているな、あいつらは!
ごとごとと揺れる馬車の隅で、俺とリトリィは揺られるままに座っていた。
さすがナリクァンさんだ。この街で一般的に使われる荷運び用の車は、毛長牛が曳くと相場が決まっている。馬は、毛長牛よりも数段高価なのだそうだ。
にもかかわらず、馬車。
ひどい目に遭ったであろう女性たちをおもんぱかったチョイスなのであろうし、また、そんな彼女たちの救助に関わったナリクァン商会の力を誇示するにも都合がいいのだろう。
その馬車の中は、重苦しい感じだった。
助かったのだから、もっと和気あいあい、にぎやかに、助かった者同士が明日への希望を口にする明るい雰囲気になるかと思っていたのだが。
やはり、みな、疲れ切っているようで、ほとんどの女性はうつむいたままだった。眠っている女性も多い。例の垂れ耳うさぎ風の耳の母娘も、互いに寄り添うように眠っている。
護衛として入ってくれている女性の冒険者も、夜通しの作戦の疲れが出たためか、船を漕いでいる。おいおい、いいのかそれで。まあ、責める気も無いけどな。
そんな中で、男が一人。
……たいへん、居づらい。
リトリィがとなりにぴったりとくっついて座ってくれているのが幸いだ。
もっとも、俺がここにいる理由も、彼女が腕から離れようとしないから、なのだが。彼女が離れないから、俺は彼女と共に馬車に乗り込む羽目になっている、ただそれだけである。
だから、たとえ居づらくとも、それを嫌だというつもりはない。それだけ、俺を信頼してくれている証だと思うから。
そうだ。
ガルフがリトリィに執着したように、リトリィは俺に執着してくれている。
二十七年間童貞で、彼女のかの字の気配もなかった俺にとっては、まさに天からの恵みの如くありがたい女性だ。ありがたすぎてその恩恵を素直に受け取れなくて、山では随分と時間を無駄にしてしまったけれど。
そっと、彼女が俺の肩に頭をのせてくる。
毛布とも呼べぬ掛け布を二人でまとっているだけだが、このリトリィがことのほかあたたかくて、寒さなど感じない。
「……寒くないか? その、俺はあったかいけど、リトリィは――」
俺が彼女の肩に掛けたマント以外、彼女は何も身に付けていない。なのにこうして温かいのは、彼女のふかふかな毛並みと、そして高い体温のためだ。
逆に言えば、彼女は自分の体温よりも低い物体に寄りかかっているわけで、彼女こそ寒くないのか。
するとリトリィは、ふふ、と微笑んだ。
「ムラタさんには、ムラタさんなりのぬくもりがあります。それが感じられるなら、わたしはそれで十分です。ううん、むしろわたしであなたがあたたまってくれるなら、それがうれしいです」
そういって、肩に頬をこすりつけてくる。それとともに、ぴこぴこ揺れる耳が顔に触れるたびに、くすぐったくなる。だが、それが可愛らしい。
ふわりと掛け布がずれたので、肩口まで引っ張る。
マントの下にある、彼女の大きな胸のふくらみが――その桜色の尖端が、マントの隙間から見えて、思わず目をそらした。
リトリィは、そんな俺の反応から気づいたようで、そっと掛け布の下で俺の手を取ると、そのままそっと引っ張って、自分の胸に、俺の手を押し当てる。
「……あたたかい、ですか?」
「いや、えっと……あ、あったかいよ?」
「ふふ……」
少し首をかしげるようにして俺を見たリトリィは、また、俺に体重を預けてきた。
「あなたのリトリィは、ここにいますよ……。どこでもない、あなたの、おそばに」
……そういう意味か。
つい、下世話な想像が頭の中を駆け巡って、他のひとも乗っているのに、と、見当違いなことを考えてしまった自分を恥じる。
……仕方ないじゃないか!
彼女、丈の短いマント以外、何も身に付けていないのだ。気を利かせて、丈の長いマントをくれようとした冒険者もいたが、彼女は、このマントがあるから十分です、などと言って断ってしまった。
……いや、そのマント、その……丈が短くて腰までしかないから、動くとすぐ、君の大切な場所が、見えちゃうんだよ!
だから、こうして掛け布の下で密着されてると、ほんと色々、俺が困ったことになってですね……!
「……ふふ。お元気ですね、おやんちゃさんたら。……おつらいなら、なでなで、してあげましょうか?」
やめて! 今なでなでされたら、速攻で果てる自信があるから!
君は自分の技がいかに俺を悦ばせるか、自覚がなさすぎだから!
同乗してる獣人さんたちが、ニオイで感づくに決まってるから!
いくら掛け布の下だからって、ちょ、やめ……、……、あふん。
ひと仕事を終えたとばかりに、手のなかのものをていねいに舐め取ったあと、実に満足そうに目を閉じたリトリィ。
俺も、彼女に肩を寄せ、街につくまでにひと眠りしておこうと、目を閉じる。
だが、なかなか眠れなかった。やはり、体勢もそうだが、ゴトゴトと不規則に揺れる馬車というのは、どうにも体が落ち着かないのだろう。
リトリィはというと、可愛らしい、かすかな寝息を立てている。やはり、相当に疲れていたに違いない。
小柄な彼女だが、しかし彼女はもうすぐ二十歳になる、立派なレディーだ。可愛らしいという形容はふさわしいのだろうかと苦笑し、そして、ふと、その年齢について考えてしまった。
一般的に、獣人族の女性が妊娠できるのは、二十歳すぎまで、と言われているらしい。そして彼女は、もうじき、その二十歳になる。
つまり、彼女自身もやたら執着している、子供をつくる瀬戸際の歳になるのだ。
もしリトリィが――ライカントロプスが、一般的な獣人族と同じ特性を持っているとしたら、ガルフは近いうちに、また彼女に接触を試みるのではないだろうか。
リトリィに、時間がないからこそ。
そう、だからこそ俺は、冒険者ギルドの人間に、「ガルフ」の正体を言わなかった。
言いそびれた、ではなく、保身のために。
あの、馬鹿馬鹿しいほどにリトリィに執着した男。
問答無用でさらってしまえばよかったのに、その場に俺がいると気づくと、俺たちに目的と意志をきちんと伝え、納得させようとした、ズレてはいるが筋を通そうとした男。
だから、もしほかに伝えなかったら――もしかしたら、奴はリトリィを、俺を殺してでも奪い取るような真似など、しないかもしれないと思ったのだ。
たとえそうでなくとも、彼女のぬくもりを奪われるなど、二度と考えたくもない。
どうせ、奴が本気を出して来たら、俺では絶対に勝てないのだから。護衛を雇うなんて金が続くわけもないし、四六時中守ってもらうのも、現実的ではない。
だったら、それなりに義理を感じてもらって、遠ざけることはできないか。
もちろん、そう簡単にうまくいくとも思えないのだが、だからと言って他に有効な対策が思いつくわけでもない。
いつかやってくる「災害」をいかにしてやりすごすか、ただそれだけだ。
情報を流して大金を投入し、あまたの冒険者を雇って討ち取ってしまうのもありかもしれない。
しかしそうなったら、追い詰められたガルフが、かえって襲ってくることにもなりかねない。潜伏されて長期戦をやられたら、間違いなく俺の方が不利だ。
こう言っては何だが、いっそ、リトリィよりさらに若いライカントロプスの女性が見つかるかもしれなくて、でもってガルフといい仲に――
と、考えて、あまりにも都合の良すぎる妄想にため息がでる。
ガルフがリトリィを口説きに来ることの方が、ずっと現実的だ。
「ムラタさん? おひとりで悩まれる悪いくせが、また出ていますよ?」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる