252 / 512
第三部 異世界建築士と思い出の家
第231話:生まれ
しおりを挟む
一通り作業を終えて汗をぬぐう。
寒い夜だが、仕掛けを作るのはなかなかの労働だった。仕掛けといっても、ノコギリ引きをしただけだが。
腰の革袋から、水を一口。
ステンレスの水筒ならともかく、この革の水筒は水に渋みが付いてしまうため、はっきり言って中の水は、不味い。
だが、贅沢は言えない。水を持ち歩ける、それだけで満足すべき世界なのだから。
そのときだった。
なにか、叫び声が聞こえたような気がして、慌てて手を止めて耳を澄ます。隠れようもないこの部屋だ、せめて先手を取れるように。
――また聞こえた。今度は女のような甲高い声。さっきの女がやって来た通路のほうからだ。
まさか、さっきの連中が言っていた、ボスの『味見』とやらが始まったのだろうか。
それとも、別ルートから侵入したアムティとヴェフタール、あの二人に何かあったとか……!?
通路の方に向かうと、何かが倒れるような音がかすかに聞こえ、また、女の悲鳴のようなものが聞こえた。
アムティとは声が違う気がする。だが、正直、よく分からない。
なんだろう。
しばらく通路で耳を澄ませていると、何か会話をしているような感じの言葉が聞こえてくるようになった。冷静に、何かを、言い合っている、そんな感じだ。
俺は、そっと、そちらに向かってみた。さっきの女が入ってきた出入り口から、通路に出る。
薄暗い通路を、聞こえてくる声を頼りに、足音を立てないように、少しずつ、ゆっくり、歩いていく。
道はすぐ丁字路に突き当り、右の方は階段に、左のほうは通路として続いているようだった。
声が聞こえてくるのは左側だった。
言い争うとまではいかないが、何かを言い合っているらしい。
その声――男の声の方はともかく、女の声がどうにも聞き覚えがあるような気がして、俺は、慎重に歩き続けた。
そっと角の向こうに顔を出すと、通路の奥のドアが開いていて、そこから月の光が伸びてきているような感じだった。その部屋からは、丸太のようなものが床に落ち、部屋から飛び出している。
声も、急にクリアになってきた。もう少し近づけば、翻訳首輪の有効範囲に入れそうだ。等間隔に並ぶ壁際の柱に身を潜めながら、ゆっくり、ゆっくりと近づく。
そして、気づいた。
……むしろ、なぜ、もっと早く気づかなかった。
「……わたしは、あなたのお話をききいれることはできません」
ああ……!
この声を、
耳あたりの良い、柔らかなこの声を、
どんな時でも穏やかなこの言葉遣いを、
誰が、聞き間違えるものか!
「だってわたしはもう、お仕えする人を、自分で決めていますから」
――リトリィ!!
部屋の戸口に立つ男は、月明かりの中で色はよくわからないが、黒っぽいぼさぼさの長い髪をした男だった。話に夢中になっているのだろうか、幸い、こちらに気づく素振りもない。
リトリィのほうは見えないが、部屋の奥にでも囚われているのだろう。
「なるほど? 以前、男のもとを飛び出して道端で泣いていた女が、よく言う」
オレが声をかけなければ、川に身を投げそうな勢いだったくせに、と、あざ笑う男に、リトリィは静かに答える。
「ムラタさんとはけんかもしますけれど、それは、あのかたがちゃんと、わたしの思いを受け止めようとしてくださるからです」
「裏切られたくせにか?」
「ちがいます。あのかたは、優しすぎるだけです」
せせら笑うような、からうような口調の男に、しかしリトリィの声は動じる様子もない。
男は、一瞬息をのんだ様子を見せたあと、ややいらだった様子で続けた。
「……あの男もしょせん人間だ。その証拠に、お前よりも人間の女を選んだだろう?」
「そんなこと、ありません。あのかたは、ちゃんとわたしも、あの子も、愛してくださろうとしています」
「だが、いずれ人間のメスのほうが子供を産むだろう。そうなったらお前はどんな扱いになるか、想像はついているんだろう?」
男の言葉に、リトリィは、答えなかった。
答える必要がないという様子なのか、それとも答えに詰まっているのか。顔が見られないのがもどかしい。
「ふん。よくて子守り女扱い、悪ければ石女として離縁だ」
「そんなこと……!」
「口だけは威勢がいいな。だが目が白状しているぞ、オレの言った末路を、お前自身が考えているということを」
自信たっぷりの男に対して、リトリィの返事が聞こえてこない。
「首を振っても無駄だ。いい加減に理解しろ。お前は人間とは違うんだ。ムラタとかいう男も、そこに転がってる肉塊と同じ、人間だ。オレだけが、お前を理解してやれるんだ」
「あなただって……人間じゃないですか!」
リトリィの叫びに、男は目を丸くしたようだった。
額に指を当てると、肩を震わせ、小さく笑い始める。
「人間……人間か。──オレが、人間か!」
ついにこらえきれなくなったか、男は額を押さえるようにして、背を反らして高らかな笑い声をあげた。まるで、誰かに聞かせようとでもしているかのように。
「ハハハ、これは傑作だ! 面白い、面白いぞお前! だが惜しいな、それを口にするのがお前だということが。お前は、自分が何者か、本当に分かっていないのか?」
「わたしは、刀匠ジルンディールが娘でムラタが妻、犬属人のリトラエイティルです!」
男に対して、リトリィが凛と答える。
揺るぎない、力強い言葉で。
――言った、彼女はたしかに。
『ムラタが妻』と。
不意に、どうしようもなく、涙があふれ、こぼれ落ちてくる。
ああ……
あれほど強く言い切ってくれる彼女を、
俺はあのとき、
どうして、
信じきってやれなかったのだろう。
舌打ちの音が響いた。笑いを引っ込めた男は、相当にいらだっているらしい。
「その前提がすでに間違っているんだ。お前は本当に、産みの親を知らないんだな?」
「産みの親が誰であれ、わたしの親はジルンディールです!」
「お前の親が誰かはオレも知らん。だが、ただ一つ言えることを教えてやる」
男は、やや落ち着きを取り戻した様子だった。リトリィ自身が知らない彼女のことを、奴は握っている――そんな、優越を感じさせるような。
そして奴は、ゆっくりと口を開いた。
「お前は、犬属人じゃない」
一瞬、何を言っているのかが理解できなかった。リトリィも同じだったようで、しばし、言葉が続かないようだった。
「そんなわけ──」
「本当だ。同族のオレが言うんだから間違いない」
「……同族?」
「ああ、見てすぐに分かった。お前は、犬なんかじゃない。そうだな、強いて言うなら狼──狼属人だ」
……リトリィが、狼?
そういえば、以前、どこかで、誰かに、そんなようなことを言われたことが、あったような……?
「驚いたか。まあ、すでに血が絶えて久しいとされる狼属人となれば、驚くのも無理はないだろうな。
だが、驚くのはそこじゃない。
お前は――いや、オレもお前も、厳密には獣人族ですらない。もっと別の――特別な存在だ」
自信たっぷりに言い放つ。
何を言っている?
奴は、どう見ても人間だ。
そしてリトリィは、どこからどう見ても獣人族だろう。
それを一緒くたにして、しかも獣人族とも違うという、言葉の意味が分からない。
第一、彼女ほど「獣人らしさ」にあふれるひとを、俺は知らないぞ?
「じゃ、……じゃあ、わたしは、なんだっていうんですか」
「知りたいか?」
しばしの沈黙のあと、男は大きくうなずき、そしてふたたび高らかな笑い声をあげた。
「そうか。お前は後戻りのできない道を選ぶわけだな」
満足そうに男はうなずくと、組んでいた腕を解き、真っ直ぐ腕を突き出す。
ここからは見えないが、おそらくその先に、リトリィがいるのだろう。
そして続けた男の言葉に、俺は、たとえようもない衝撃を受けた。
「お前はな、獣人族でも、もちろん人間でもない。オレと同じだ、お前は。
――俺を調べた学者曰くの、選ばれた種――『ライカントロプス』だ」
ライカントロプス──ライカンスロープか!?
あの男、確かにそう言った!
ライカントロプスと、確かに!
翻訳を通さずに聞こえた!
ま、間違いなく、地球の言葉だったぞ!?
「らい……かん?」
「その学者によれば、この世界の言葉ではないらしいが『狼人間』とかいう意味らしい。かつてこの地上の主だった、すべてのヒトの祖――『ゾオントロプス』の一種だそうだ」
ゾオントロプス――?
また翻訳されない言葉が出た。
それも地球の言葉なのか?
奴はいったい何者なんだ? それに、奴を研究していたという『学者』こそ、何者なんだ?
――まさか、地球人!?
「まあ、ヤツもオレが殺してしまったからよくは分からん。ぐだぐだ理屈っぽいのは嫌いだからな」
「ひ、ひどいことを……!」
「酷い? オレをとっ捕まえて檻に閉じ込め、愚にもつかない実験をくりかえしていたヤツのほうが、ずっと酷いと思うがな」
絶句するリトリィに、男はこともなげに言う。愚にもつかない実験の中身は何だろうか。いわゆる人体実験みたいなものだったのだとしたら、その学者の自業自得なのかもしれないが。
「……その、あなたが、わたしたちと違うのは分かりました。でもそれが、なんだっていうんですか」
「おいおい、言ったろう? 違うんじゃない、オレとお前は同じだと」
「あなたは、人間じゃないですか!」
「人間……そうだな、今はな」
「……『今は』……?」
「見せてやるよ、オレの本当の姿を、な」
男は上着を脱ぐと床に捨て、右手を額に当てる。
「ゾオントロプス――獣と、人とを行き来できた種族、その末裔たるライカントロプスのありのままを――お前自身の正体を、とくと目に焼き付けるといい」
寒い夜だが、仕掛けを作るのはなかなかの労働だった。仕掛けといっても、ノコギリ引きをしただけだが。
腰の革袋から、水を一口。
ステンレスの水筒ならともかく、この革の水筒は水に渋みが付いてしまうため、はっきり言って中の水は、不味い。
だが、贅沢は言えない。水を持ち歩ける、それだけで満足すべき世界なのだから。
そのときだった。
なにか、叫び声が聞こえたような気がして、慌てて手を止めて耳を澄ます。隠れようもないこの部屋だ、せめて先手を取れるように。
――また聞こえた。今度は女のような甲高い声。さっきの女がやって来た通路のほうからだ。
まさか、さっきの連中が言っていた、ボスの『味見』とやらが始まったのだろうか。
それとも、別ルートから侵入したアムティとヴェフタール、あの二人に何かあったとか……!?
通路の方に向かうと、何かが倒れるような音がかすかに聞こえ、また、女の悲鳴のようなものが聞こえた。
アムティとは声が違う気がする。だが、正直、よく分からない。
なんだろう。
しばらく通路で耳を澄ませていると、何か会話をしているような感じの言葉が聞こえてくるようになった。冷静に、何かを、言い合っている、そんな感じだ。
俺は、そっと、そちらに向かってみた。さっきの女が入ってきた出入り口から、通路に出る。
薄暗い通路を、聞こえてくる声を頼りに、足音を立てないように、少しずつ、ゆっくり、歩いていく。
道はすぐ丁字路に突き当り、右の方は階段に、左のほうは通路として続いているようだった。
声が聞こえてくるのは左側だった。
言い争うとまではいかないが、何かを言い合っているらしい。
その声――男の声の方はともかく、女の声がどうにも聞き覚えがあるような気がして、俺は、慎重に歩き続けた。
そっと角の向こうに顔を出すと、通路の奥のドアが開いていて、そこから月の光が伸びてきているような感じだった。その部屋からは、丸太のようなものが床に落ち、部屋から飛び出している。
声も、急にクリアになってきた。もう少し近づけば、翻訳首輪の有効範囲に入れそうだ。等間隔に並ぶ壁際の柱に身を潜めながら、ゆっくり、ゆっくりと近づく。
そして、気づいた。
……むしろ、なぜ、もっと早く気づかなかった。
「……わたしは、あなたのお話をききいれることはできません」
ああ……!
この声を、
耳あたりの良い、柔らかなこの声を、
どんな時でも穏やかなこの言葉遣いを、
誰が、聞き間違えるものか!
「だってわたしはもう、お仕えする人を、自分で決めていますから」
――リトリィ!!
部屋の戸口に立つ男は、月明かりの中で色はよくわからないが、黒っぽいぼさぼさの長い髪をした男だった。話に夢中になっているのだろうか、幸い、こちらに気づく素振りもない。
リトリィのほうは見えないが、部屋の奥にでも囚われているのだろう。
「なるほど? 以前、男のもとを飛び出して道端で泣いていた女が、よく言う」
オレが声をかけなければ、川に身を投げそうな勢いだったくせに、と、あざ笑う男に、リトリィは静かに答える。
「ムラタさんとはけんかもしますけれど、それは、あのかたがちゃんと、わたしの思いを受け止めようとしてくださるからです」
「裏切られたくせにか?」
「ちがいます。あのかたは、優しすぎるだけです」
せせら笑うような、からうような口調の男に、しかしリトリィの声は動じる様子もない。
男は、一瞬息をのんだ様子を見せたあと、ややいらだった様子で続けた。
「……あの男もしょせん人間だ。その証拠に、お前よりも人間の女を選んだだろう?」
「そんなこと、ありません。あのかたは、ちゃんとわたしも、あの子も、愛してくださろうとしています」
「だが、いずれ人間のメスのほうが子供を産むだろう。そうなったらお前はどんな扱いになるか、想像はついているんだろう?」
男の言葉に、リトリィは、答えなかった。
答える必要がないという様子なのか、それとも答えに詰まっているのか。顔が見られないのがもどかしい。
「ふん。よくて子守り女扱い、悪ければ石女として離縁だ」
「そんなこと……!」
「口だけは威勢がいいな。だが目が白状しているぞ、オレの言った末路を、お前自身が考えているということを」
自信たっぷりの男に対して、リトリィの返事が聞こえてこない。
「首を振っても無駄だ。いい加減に理解しろ。お前は人間とは違うんだ。ムラタとかいう男も、そこに転がってる肉塊と同じ、人間だ。オレだけが、お前を理解してやれるんだ」
「あなただって……人間じゃないですか!」
リトリィの叫びに、男は目を丸くしたようだった。
額に指を当てると、肩を震わせ、小さく笑い始める。
「人間……人間か。──オレが、人間か!」
ついにこらえきれなくなったか、男は額を押さえるようにして、背を反らして高らかな笑い声をあげた。まるで、誰かに聞かせようとでもしているかのように。
「ハハハ、これは傑作だ! 面白い、面白いぞお前! だが惜しいな、それを口にするのがお前だということが。お前は、自分が何者か、本当に分かっていないのか?」
「わたしは、刀匠ジルンディールが娘でムラタが妻、犬属人のリトラエイティルです!」
男に対して、リトリィが凛と答える。
揺るぎない、力強い言葉で。
――言った、彼女はたしかに。
『ムラタが妻』と。
不意に、どうしようもなく、涙があふれ、こぼれ落ちてくる。
ああ……
あれほど強く言い切ってくれる彼女を、
俺はあのとき、
どうして、
信じきってやれなかったのだろう。
舌打ちの音が響いた。笑いを引っ込めた男は、相当にいらだっているらしい。
「その前提がすでに間違っているんだ。お前は本当に、産みの親を知らないんだな?」
「産みの親が誰であれ、わたしの親はジルンディールです!」
「お前の親が誰かはオレも知らん。だが、ただ一つ言えることを教えてやる」
男は、やや落ち着きを取り戻した様子だった。リトリィ自身が知らない彼女のことを、奴は握っている――そんな、優越を感じさせるような。
そして奴は、ゆっくりと口を開いた。
「お前は、犬属人じゃない」
一瞬、何を言っているのかが理解できなかった。リトリィも同じだったようで、しばし、言葉が続かないようだった。
「そんなわけ──」
「本当だ。同族のオレが言うんだから間違いない」
「……同族?」
「ああ、見てすぐに分かった。お前は、犬なんかじゃない。そうだな、強いて言うなら狼──狼属人だ」
……リトリィが、狼?
そういえば、以前、どこかで、誰かに、そんなようなことを言われたことが、あったような……?
「驚いたか。まあ、すでに血が絶えて久しいとされる狼属人となれば、驚くのも無理はないだろうな。
だが、驚くのはそこじゃない。
お前は――いや、オレもお前も、厳密には獣人族ですらない。もっと別の――特別な存在だ」
自信たっぷりに言い放つ。
何を言っている?
奴は、どう見ても人間だ。
そしてリトリィは、どこからどう見ても獣人族だろう。
それを一緒くたにして、しかも獣人族とも違うという、言葉の意味が分からない。
第一、彼女ほど「獣人らしさ」にあふれるひとを、俺は知らないぞ?
「じゃ、……じゃあ、わたしは、なんだっていうんですか」
「知りたいか?」
しばしの沈黙のあと、男は大きくうなずき、そしてふたたび高らかな笑い声をあげた。
「そうか。お前は後戻りのできない道を選ぶわけだな」
満足そうに男はうなずくと、組んでいた腕を解き、真っ直ぐ腕を突き出す。
ここからは見えないが、おそらくその先に、リトリィがいるのだろう。
そして続けた男の言葉に、俺は、たとえようもない衝撃を受けた。
「お前はな、獣人族でも、もちろん人間でもない。オレと同じだ、お前は。
――俺を調べた学者曰くの、選ばれた種――『ライカントロプス』だ」
ライカントロプス──ライカンスロープか!?
あの男、確かにそう言った!
ライカントロプスと、確かに!
翻訳を通さずに聞こえた!
ま、間違いなく、地球の言葉だったぞ!?
「らい……かん?」
「その学者によれば、この世界の言葉ではないらしいが『狼人間』とかいう意味らしい。かつてこの地上の主だった、すべてのヒトの祖――『ゾオントロプス』の一種だそうだ」
ゾオントロプス――?
また翻訳されない言葉が出た。
それも地球の言葉なのか?
奴はいったい何者なんだ? それに、奴を研究していたという『学者』こそ、何者なんだ?
――まさか、地球人!?
「まあ、ヤツもオレが殺してしまったからよくは分からん。ぐだぐだ理屈っぽいのは嫌いだからな」
「ひ、ひどいことを……!」
「酷い? オレをとっ捕まえて檻に閉じ込め、愚にもつかない実験をくりかえしていたヤツのほうが、ずっと酷いと思うがな」
絶句するリトリィに、男はこともなげに言う。愚にもつかない実験の中身は何だろうか。いわゆる人体実験みたいなものだったのだとしたら、その学者の自業自得なのかもしれないが。
「……その、あなたが、わたしたちと違うのは分かりました。でもそれが、なんだっていうんですか」
「おいおい、言ったろう? 違うんじゃない、オレとお前は同じだと」
「あなたは、人間じゃないですか!」
「人間……そうだな、今はな」
「……『今は』……?」
「見せてやるよ、オレの本当の姿を、な」
男は上着を脱ぐと床に捨て、右手を額に当てる。
「ゾオントロプス――獣と、人とを行き来できた種族、その末裔たるライカントロプスのありのままを――お前自身の正体を、とくと目に焼き付けるといい」
0
お気に入りに追加
35
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

幼馴染は何故か俺の顔を隠したがる
れおん
恋愛
世間一般に陰キャと呼ばれる主人公、齋藤晴翔こと高校2年生。幼馴染の西城香織とは十数年来の付き合いである。
そんな幼馴染は、昔から俺の顔をやたらと隠したがる。髪の毛は基本伸ばしたままにされ、四六時中一緒に居るせいで、友達もろくに居なかった。
一夫多妻が許されるこの世界で、徐々に晴翔の魅力に気づき始める周囲と、なんとか隠し通そうとする幼馴染の攻防が続いていく。

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる