226 / 438
第三部 異世界建築士と思い出の家
第207話:マイセルのお披露目
しおりを挟む 虎高が言葉を区切りこちらを見て来たので俺が言葉を引き継ぐ。
「まあ、申し訳ないがここで発言して万が一にでも敵に知られると面倒な為詳細は起誓文に記してからみんなに伝えようと思う。しかし、みながこのように自分たちで考えて行動してくれるのはとても嬉しい。ただ与えられる命令を愚直にこなす。
それも立派だが自分たちで考えて判断してその場の上官に提案するのもまた大切なことだ。言ったから行動に移されるかどうかは別だが言わなければ指揮官はその提案に気づいていないかもしれない。もしかしたら、より良い提案が君たちから出て戦況を変えるかもしれない。恐れずに行動に移してほしい。
また、これから君たちには指揮官として働くことを期待されている。指揮官という立場は兵を指揮して戦場で有利になるように動く者だ。兵を指揮するために統制を恐怖や威圧感で取るのではなく、人格や人柄で是非統制を取ってほしい。そうすることで下のものは意見が言いやすくなる。それは自分達がその立場になった今ならわかるはずだ。それに加えて、彼らの提案を受け入れ実行に移す場合失敗しても責めてはいけない。君たちが実行に移すと指揮官として判断したなら、上のものとして責任は自分にもあると考えよ。反省点を受け入れてより良くすることは大事だがな。
俺が伝えたいのはこんなところだ。これからもよろしく頼むぞ。」
皆の顔が引き締まり応!という声が部屋に響いた。俺は皆の顔を見て頷くとサッとその場を立ち去る。話が終わった後にいつまでもいると彼らが中々その場を立ち去り辛いのを理解しているからだ。
立ち去った後、俺に用意された部屋へと向かい小太郎を呼び出し話を聞く。
「小太郎、今川の別働隊と本隊の様子について聞かせてくれ。」
「はっ、まずは別働隊に御座いますが確実に岡部親綱を工藤政豊殿が討ち取り朝比奈泰能殿に交渉で遺体を渡した後、そのままこちらへと向かっているそうでございます。その後、朝比奈泰能殿本人は護衛を30人ほどつけ、こちらに向かっているそうです。残った軍は副官に任せているようです。
今川本隊では雑兵が絶望しています。彼らに戦意は全くなく、いつ我らの大砲から攻撃を受けるか、後ろから襲われないかなど恐怖しています。また、将官ですが太原雪斎と今川義元は何度も話をしているそうです。話の内容までは探れませんでしたが他の将兵から漏れ出ている話だと交渉で時間を引き伸ばし少しでも関東での動きを援助するか、さっさとこちら側での交渉を少しでも有利にまとめて今川に利があるようにしようという考えが二つ流れております。
これは多分ですが太原雪斎の手によるものだと考えられます。」
「なるほどな、よくわかった助かる。朝比奈泰能が到着して更に話し合いを明日すると思う。無理はせずに情報を探ってくれ。」
「はっ!」
「それと、千葉利胤に羽鮒城を任せて残りの将は先に港へ向かうように指示を出せ、兵はそのままだ。加えて武田との交渉も開始したいから武田信繁の方に使者を送ってくれ、こちらに特に賠償や責任問題にするつもりはない武田とはこれまでとは変わらない取引を約束するからさっさと軍を引けとな。なんなら古米を渡してやってもいいな、古米を羽鮒城に集めて敵の兵に食わせてやれ。」
「は?、はっ、わかりました。」
これで、相手の雑兵が今川 武田に戻った時に北条の振る舞いの良さを広めてくれるはずだ。これから同盟を組んだ後はどんどんと人が流れてくるはずだ。笑いが止まらないね。武田にお咎めなしで帰してやれば今川と武田の間では不信感が生まれ、他国からは武田と北条は手を取り合っているように見えるはずだ。
~side今川義元~
「くそッ!親綱を亡くしてしまったというのか… 元信、お主が岡部家をこれから盛り立てるのだ。我は親綱に恥じぬように生きる。ついてこい。」
古参の重臣の死に今川将官は動揺が隠せない様子だが我の言葉に対して涙腺を緩ませ、はっ!と声を震わせる。これで敵討ちという流れよりも我の判断についていくという形になった。
「悔しい事だが、我らが準備した策よりも相手が用意していた備えの方が一枚も二枚も上手だったのだ。今は耐え忍ぶのだ。我らは河東を手に入れることはできないだろうが何としてでも敵対関係を解決して京を目指す!我らが天下を取るのだ!前を向け今川の将よ!我らが京を取れば此度の敗戦が無駄にはならない!えい!えい!」
「「「「応!!!!」」」」
「まあ、申し訳ないがここで発言して万が一にでも敵に知られると面倒な為詳細は起誓文に記してからみんなに伝えようと思う。しかし、みながこのように自分たちで考えて行動してくれるのはとても嬉しい。ただ与えられる命令を愚直にこなす。
それも立派だが自分たちで考えて判断してその場の上官に提案するのもまた大切なことだ。言ったから行動に移されるかどうかは別だが言わなければ指揮官はその提案に気づいていないかもしれない。もしかしたら、より良い提案が君たちから出て戦況を変えるかもしれない。恐れずに行動に移してほしい。
また、これから君たちには指揮官として働くことを期待されている。指揮官という立場は兵を指揮して戦場で有利になるように動く者だ。兵を指揮するために統制を恐怖や威圧感で取るのではなく、人格や人柄で是非統制を取ってほしい。そうすることで下のものは意見が言いやすくなる。それは自分達がその立場になった今ならわかるはずだ。それに加えて、彼らの提案を受け入れ実行に移す場合失敗しても責めてはいけない。君たちが実行に移すと指揮官として判断したなら、上のものとして責任は自分にもあると考えよ。反省点を受け入れてより良くすることは大事だがな。
俺が伝えたいのはこんなところだ。これからもよろしく頼むぞ。」
皆の顔が引き締まり応!という声が部屋に響いた。俺は皆の顔を見て頷くとサッとその場を立ち去る。話が終わった後にいつまでもいると彼らが中々その場を立ち去り辛いのを理解しているからだ。
立ち去った後、俺に用意された部屋へと向かい小太郎を呼び出し話を聞く。
「小太郎、今川の別働隊と本隊の様子について聞かせてくれ。」
「はっ、まずは別働隊に御座いますが確実に岡部親綱を工藤政豊殿が討ち取り朝比奈泰能殿に交渉で遺体を渡した後、そのままこちらへと向かっているそうでございます。その後、朝比奈泰能殿本人は護衛を30人ほどつけ、こちらに向かっているそうです。残った軍は副官に任せているようです。
今川本隊では雑兵が絶望しています。彼らに戦意は全くなく、いつ我らの大砲から攻撃を受けるか、後ろから襲われないかなど恐怖しています。また、将官ですが太原雪斎と今川義元は何度も話をしているそうです。話の内容までは探れませんでしたが他の将兵から漏れ出ている話だと交渉で時間を引き伸ばし少しでも関東での動きを援助するか、さっさとこちら側での交渉を少しでも有利にまとめて今川に利があるようにしようという考えが二つ流れております。
これは多分ですが太原雪斎の手によるものだと考えられます。」
「なるほどな、よくわかった助かる。朝比奈泰能が到着して更に話し合いを明日すると思う。無理はせずに情報を探ってくれ。」
「はっ!」
「それと、千葉利胤に羽鮒城を任せて残りの将は先に港へ向かうように指示を出せ、兵はそのままだ。加えて武田との交渉も開始したいから武田信繁の方に使者を送ってくれ、こちらに特に賠償や責任問題にするつもりはない武田とはこれまでとは変わらない取引を約束するからさっさと軍を引けとな。なんなら古米を渡してやってもいいな、古米を羽鮒城に集めて敵の兵に食わせてやれ。」
「は?、はっ、わかりました。」
これで、相手の雑兵が今川 武田に戻った時に北条の振る舞いの良さを広めてくれるはずだ。これから同盟を組んだ後はどんどんと人が流れてくるはずだ。笑いが止まらないね。武田にお咎めなしで帰してやれば今川と武田の間では不信感が生まれ、他国からは武田と北条は手を取り合っているように見えるはずだ。
~side今川義元~
「くそッ!親綱を亡くしてしまったというのか… 元信、お主が岡部家をこれから盛り立てるのだ。我は親綱に恥じぬように生きる。ついてこい。」
古参の重臣の死に今川将官は動揺が隠せない様子だが我の言葉に対して涙腺を緩ませ、はっ!と声を震わせる。これで敵討ちという流れよりも我の判断についていくという形になった。
「悔しい事だが、我らが準備した策よりも相手が用意していた備えの方が一枚も二枚も上手だったのだ。今は耐え忍ぶのだ。我らは河東を手に入れることはできないだろうが何としてでも敵対関係を解決して京を目指す!我らが天下を取るのだ!前を向け今川の将よ!我らが京を取れば此度の敗戦が無駄にはならない!えい!えい!」
「「「「応!!!!」」」」
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。
新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~
tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。
番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。
ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。
そして安定のヤンデレさん☆
ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。
別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
我が家に子犬がやって来た!
もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。
アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。
だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。
この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。
※全102話で完結済。
★『小説家になろう』でも読めます★
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる