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第二部 異世界建築士と大工の娘
第156話:約束は甘い果実を実らせて
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「あ、ありがとうございます、それで――」
「――あ、ごめんごめん! いくら? このあさりと歯を研ぐ加工、結構面倒な工程だったんだろう?」
この仕事が終わったら、ナリクァンさんからいくばくかの謝礼がいただけることになっている。
俺の発注による、リトリィの、初仕事。今はまだ払えないが、謝礼が出たらきちんと報いなければ。
しかし、リトリィは、俺が代金を払う、と言ったことに対して面食らったようだった。
「ふえっ? あ、いえ、私たちの工房も勉強になりましたし、この経験を生かして新しい品を売ることができれば、私たちも利益になりますし――」
「そう? そう言ってもらえるならまあ、案を出したかいがあるってもんだけど。それで、いくらになる?」
俺の注文が、工房の製品のバリエーションを増やすことに繋がり、結果として利益になるのなら、俺としても嬉しい。親父殿に、恩を少しでも返せるというものだ。
だが、それとこれとは別だ。俺がリトリィに注文したのだから、その対価を払いたいのだ。
しかしリトリィは、首を振り続けた。
「あ、あの、お代はその、今後もごひいきにしてもらえればって親方様はおっしゃってて、それで、私を――」
ごひいきというか、そもそもリトリィの実家が繁栄することは、俺にとっても願ったりかなったりだ。これからも、ジルンディール工房には世話になるだろうし、協力できることは協力していきたい。なんといっても、俺とリトリィを結び付けてくれた工房なのだ。
――だが、それはあくまでも将来の話。今回の話ではない。
いい仕事には対価があってしかるべき。世話になった人に報いる、これは人として当然のことだ。労働に対する報酬は支払わなれなければならない。
無料で利益を得るなど、相手の人格を無視した最低な行為だ。
しかし、リトリィは頑として代金の話をしようとしなかった。
「で、ですから、わ、私が今後、住み込みで身の回りのお世話をさせていただきますので、それで――」
……ええと、住み込みで、お世話……
「――それって、つまr――」
言いかけて、ゴスッ、と、俺のふくらはぎに、靴の爪先が突き刺さる!
思わず悲鳴を上げかけて、顔を向けると、――いつのまにいたのだろう。
ナリクァンさんが、俺の背後に立っていた。
視界の端に映る顔――微笑んでいるはずの顔は、妙に造り物めいて見えて、ものすごく、怖い。
ええと、つまり、嫁に取るんだから、カネがどうとかいってるんじゃありませんよ! とか、そういうことを言いたいんですね、もうひとりのリトリィ様。
「それは、親方様がムラタさんからお知恵を盗んでこいって――」
「――は?」
間抜けな返事に、再び誰かさんの爪先が俺のふくらはぎに突き刺さる。
一瞬顔が歪んだのを自覚し、しかし必死で顔を真顔に固定して、必死で歯を食いしばる。
そんな俺の状況が分かっているのかいないのか、小さくなるリトリィ。
「……あ、いえ……その……」
「……あー、つまりだ」
びくりと体が震える。そこまでおびえなくてもいいだろうに。
――ていうかごめん、リトリィ、俺の顔が多分怖いのは、そして声が震えているのは、痛みに耐えつつ顔の変形を押さえて真顔にならざるを得ない状況を作り出したナリクァンさんのせいで、断じてリトリィのせいじゃない――!
「要は、俺から情報を引き出すための、人身御供――という体裁で、親方は、俺に預けようって言うんだな。あの親方らしいよ」
おもわず笑いがこみあげてくる。
「……怒らないんですか?」
「怒ってどうするんだ。むしろ感謝しかないのに」
俺は、あらためて彼女に笑顔を向けた。
そうだ。
やっと再会でき|たのだ。
こんな素晴らしいお土産まで持ってきてくれて。
「――俺、一度親方に、君をもらう資格はまだないって言われたはずなんだけどな。あれから認められたってこともないはずなんだが。
……あの親方でも娘には甘いってことなのかなあ。ていうか、『くれてやる』って、本気だったのか」
なんとかして笑顔で絞り出した俺の軽口に、リトリィが頬を染めてうつむく。
――よかった、とりあえず、喜んでくれた。俺の脂汗には、気づいていないらしい。そのまま気づかないでお願い。スネの痛みに耐えてやせ我慢してる俺の努力が無駄にならないためにも。
「……これでも、ご存じの通り家事は得意です。工房の親方や兄弟子のお食事からお洗濯から、ずっとやってきましたから。ムラタさんが秘密にしたいことがありましたら、絶対に守ります。親方にも言いません。
だから……だから、おそばに置いてください!」
かつて、日本に帰ることが俺にとっての絶対だったとき、彼女を置いて工房を出ることは、俺にとって当然のことだった。
だから、彼女が俺についてきてしまうというのは、俺が工房を出る意味がなくなってしまうことを意味した。
――だが、いまは、もう、違う。
いまの俺は、もう、彼女を手放すことなど、欠片も考えられない。
彼女の居場所こそ、俺の居場所なのだ。
俺と彼女の居場所、それをこの世界に作るのだ。
「女で獣人でも、やっていけるってことを、兄――兄弟子たちに証明したいんです」
彼女の言葉に、俺は微笑んでうなずく。
――ああ、一緒に、頑張っていこう。
ずっと、俺のために頑張った小柄な体。
その肩を、そっと抱く。
彼女の方も、そっと俺に体を寄せる。
彼女の金の髪、その香り。
香水などでない、懐かしい、彼女自身の香り。
その頬に、顔を近づけてみる。
彼女の柔らかな毛並みが、くすぐったいが心地よい。
「……ムラタさん……」
そっと、聞こえるか聞こえないかのちいさな声で、彼女がささやく。
「わたし、上手にできていましたか……?」
うつむいたままの彼女の声からは、かすかに、震えが感じられる。
「――親方様みたいに……ムラタさんのお役に立つものを、作ることができましたか……?」
ここまで素晴らしいものを作ってなお、彼女は自信がないのか。
――それとも、俺に認められたいのか。
なんと謙虚なのだろう。
なんといじらしいのだろう。
肩を抱く腕に、力が入る。
「――あの朝以来、ずっと俺のために頑張ってくれたんだな。
俺がノコギリなんか頼んだばっかりに、苦労かけたね……ごめん」
俺の言葉に、リトリィはそっと身体を離すと、俺の目を真っ直ぐに見て、首をそっと横に振った。
「いいえ……」
じわりと涙を浮かべ、しかし微笑み、俺の胸に体を預けるように、再び、そっと体を寄せる。
「いいえ……あなたの、お役に立てるなら――」
何度も首を振りながら。
「わたし、これからも、あなたのために、がんばります。あなたのために、わたしはずっと、おそばにいます。
――ずっと、あなたの、リトリィです」
こつん。
額に軽い衝撃。
目の端のほうで、何かが放物線を描いて落ちていく。
――胡桃……らしきもの?
思わず目を上げると、今度はいつのまにかリトリィの背後に回り込んだナリクァンさんが、黒いオーラをまとった怖い笑顔で、腕を広げてはそれを縮める仕草を繰り返していた。
――ちゃんと両腕で抱きしめろ、というジェスチャーらしかった。
……いや、右手にノコギリを持ったままのこの状況で、無茶言わないでください。
「――あ、ごめんごめん! いくら? このあさりと歯を研ぐ加工、結構面倒な工程だったんだろう?」
この仕事が終わったら、ナリクァンさんからいくばくかの謝礼がいただけることになっている。
俺の発注による、リトリィの、初仕事。今はまだ払えないが、謝礼が出たらきちんと報いなければ。
しかし、リトリィは、俺が代金を払う、と言ったことに対して面食らったようだった。
「ふえっ? あ、いえ、私たちの工房も勉強になりましたし、この経験を生かして新しい品を売ることができれば、私たちも利益になりますし――」
「そう? そう言ってもらえるならまあ、案を出したかいがあるってもんだけど。それで、いくらになる?」
俺の注文が、工房の製品のバリエーションを増やすことに繋がり、結果として利益になるのなら、俺としても嬉しい。親父殿に、恩を少しでも返せるというものだ。
だが、それとこれとは別だ。俺がリトリィに注文したのだから、その対価を払いたいのだ。
しかしリトリィは、首を振り続けた。
「あ、あの、お代はその、今後もごひいきにしてもらえればって親方様はおっしゃってて、それで、私を――」
ごひいきというか、そもそもリトリィの実家が繁栄することは、俺にとっても願ったりかなったりだ。これからも、ジルンディール工房には世話になるだろうし、協力できることは協力していきたい。なんといっても、俺とリトリィを結び付けてくれた工房なのだ。
――だが、それはあくまでも将来の話。今回の話ではない。
いい仕事には対価があってしかるべき。世話になった人に報いる、これは人として当然のことだ。労働に対する報酬は支払わなれなければならない。
無料で利益を得るなど、相手の人格を無視した最低な行為だ。
しかし、リトリィは頑として代金の話をしようとしなかった。
「で、ですから、わ、私が今後、住み込みで身の回りのお世話をさせていただきますので、それで――」
……ええと、住み込みで、お世話……
「――それって、つまr――」
言いかけて、ゴスッ、と、俺のふくらはぎに、靴の爪先が突き刺さる!
思わず悲鳴を上げかけて、顔を向けると、――いつのまにいたのだろう。
ナリクァンさんが、俺の背後に立っていた。
視界の端に映る顔――微笑んでいるはずの顔は、妙に造り物めいて見えて、ものすごく、怖い。
ええと、つまり、嫁に取るんだから、カネがどうとかいってるんじゃありませんよ! とか、そういうことを言いたいんですね、もうひとりのリトリィ様。
「それは、親方様がムラタさんからお知恵を盗んでこいって――」
「――は?」
間抜けな返事に、再び誰かさんの爪先が俺のふくらはぎに突き刺さる。
一瞬顔が歪んだのを自覚し、しかし必死で顔を真顔に固定して、必死で歯を食いしばる。
そんな俺の状況が分かっているのかいないのか、小さくなるリトリィ。
「……あ、いえ……その……」
「……あー、つまりだ」
びくりと体が震える。そこまでおびえなくてもいいだろうに。
――ていうかごめん、リトリィ、俺の顔が多分怖いのは、そして声が震えているのは、痛みに耐えつつ顔の変形を押さえて真顔にならざるを得ない状況を作り出したナリクァンさんのせいで、断じてリトリィのせいじゃない――!
「要は、俺から情報を引き出すための、人身御供――という体裁で、親方は、俺に預けようって言うんだな。あの親方らしいよ」
おもわず笑いがこみあげてくる。
「……怒らないんですか?」
「怒ってどうするんだ。むしろ感謝しかないのに」
俺は、あらためて彼女に笑顔を向けた。
そうだ。
やっと再会でき|たのだ。
こんな素晴らしいお土産まで持ってきてくれて。
「――俺、一度親方に、君をもらう資格はまだないって言われたはずなんだけどな。あれから認められたってこともないはずなんだが。
……あの親方でも娘には甘いってことなのかなあ。ていうか、『くれてやる』って、本気だったのか」
なんとかして笑顔で絞り出した俺の軽口に、リトリィが頬を染めてうつむく。
――よかった、とりあえず、喜んでくれた。俺の脂汗には、気づいていないらしい。そのまま気づかないでお願い。スネの痛みに耐えてやせ我慢してる俺の努力が無駄にならないためにも。
「……これでも、ご存じの通り家事は得意です。工房の親方や兄弟子のお食事からお洗濯から、ずっとやってきましたから。ムラタさんが秘密にしたいことがありましたら、絶対に守ります。親方にも言いません。
だから……だから、おそばに置いてください!」
かつて、日本に帰ることが俺にとっての絶対だったとき、彼女を置いて工房を出ることは、俺にとって当然のことだった。
だから、彼女が俺についてきてしまうというのは、俺が工房を出る意味がなくなってしまうことを意味した。
――だが、いまは、もう、違う。
いまの俺は、もう、彼女を手放すことなど、欠片も考えられない。
彼女の居場所こそ、俺の居場所なのだ。
俺と彼女の居場所、それをこの世界に作るのだ。
「女で獣人でも、やっていけるってことを、兄――兄弟子たちに証明したいんです」
彼女の言葉に、俺は微笑んでうなずく。
――ああ、一緒に、頑張っていこう。
ずっと、俺のために頑張った小柄な体。
その肩を、そっと抱く。
彼女の方も、そっと俺に体を寄せる。
彼女の金の髪、その香り。
香水などでない、懐かしい、彼女自身の香り。
その頬に、顔を近づけてみる。
彼女の柔らかな毛並みが、くすぐったいが心地よい。
「……ムラタさん……」
そっと、聞こえるか聞こえないかのちいさな声で、彼女がささやく。
「わたし、上手にできていましたか……?」
うつむいたままの彼女の声からは、かすかに、震えが感じられる。
「――親方様みたいに……ムラタさんのお役に立つものを、作ることができましたか……?」
ここまで素晴らしいものを作ってなお、彼女は自信がないのか。
――それとも、俺に認められたいのか。
なんと謙虚なのだろう。
なんといじらしいのだろう。
肩を抱く腕に、力が入る。
「――あの朝以来、ずっと俺のために頑張ってくれたんだな。
俺がノコギリなんか頼んだばっかりに、苦労かけたね……ごめん」
俺の言葉に、リトリィはそっと身体を離すと、俺の目を真っ直ぐに見て、首をそっと横に振った。
「いいえ……」
じわりと涙を浮かべ、しかし微笑み、俺の胸に体を預けるように、再び、そっと体を寄せる。
「いいえ……あなたの、お役に立てるなら――」
何度も首を振りながら。
「わたし、これからも、あなたのために、がんばります。あなたのために、わたしはずっと、おそばにいます。
――ずっと、あなたの、リトリィです」
こつん。
額に軽い衝撃。
目の端のほうで、何かが放物線を描いて落ちていく。
――胡桃……らしきもの?
思わず目を上げると、今度はいつのまにかリトリィの背後に回り込んだナリクァンさんが、黒いオーラをまとった怖い笑顔で、腕を広げてはそれを縮める仕草を繰り返していた。
――ちゃんと両腕で抱きしめろ、というジェスチャーらしかった。
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