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第三章

66話

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「御嬢様の想いを御聞きした上で、厳しい事を申し上げさして頂きます。
 以前にも申し上げましたが、殿下には身勝手な所が御有りです。
 自らの劣情を優先して、御嬢様に無理無体を強いる所が御有りです。
 今回の急な勅命も、殿下の無理無体からだと、公爵閣下から連絡がございました。
 どうか殿下の事よりも、御自身と公爵家の事を御考え下さい」

 やはりそう思っているのですね。
 リリアンならそう考えてくれると思っていました。
 他の戦闘侍女もそう考えてくれているのでしょう。
 その考えを無理矢理変える事は、生き戻る前の私と同じになってしまいますね。

「分かりました。
 私の事を一番に考えてくれるのはとてもうれしいです。
 でも二番目でいいので、殿下の事も考えて下さい。
 御願いします」

「御嬢様の願いでしたら仕方ありません。
 御嬢様を殿下よりも優先していいのでしたら、御嬢様に迷惑をかけてばかりですが、殿下の事も考えさせていただきます」

 よかった。
 これで殿下とリリアンが争う事はなくなるでしょう。
 生き戻る前のリリアンに比べてたら、今のリリアンは少し怒りっぽくなっている気がします。
 以前は私が身勝手でしたから、私を諫める事に力を入れていたので、殿下に対する敵愾心が育たなかったのかもしれません。

「リリアン殿。
 刺客を確保しました。
 どういたしましょう?」

「ビルバイン城に滞在して取り調べます。
 絶対に自殺させないように」

「承りました」

 私達は、またしても領境にあるビルバイン城に長期滞在する事になりました。
 国境に常駐している優秀な伝令を使い、刺客に襲われた事を王都に知らせました。
 伝書鳩も王都に飛ばしましたが、敵が準備万端整えていたら、伝書鳩を襲う鷹を準備しているかもしれません。
 確実に連絡を送るには、二重三重の連絡方法が必要です。

 私はケガをしたふりをしています。
 リリアンの指示に従う事にしました。
 リリアンが直接刺客を尋問をするには、領外へ出る訳にはいかないからです。
 報復の刺客を送るにも、領内にいるうちでなければ、人数がそろいません。

 ビルバイン城に滞在している間に、王都から多くの情報が届きました。
 信じたくない話ですが、国王陛下と王太子殿下が、何者かに媚薬で操られていると言うのです。
 警戒厳重なはずの王宮で、そのような事ができるなど、信じ難い事です。
 王太子殿下には兄上をはじめ、優秀な側近が厳重に御守りしていました。
 陛下はそれ以上に厳重な護りが配されているはずです。
 それが簡単に破られるなんて、この国はどうなってしまうのでしょうか?
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