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第一章
第5話:報復
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「魔鷹の知らせは本当か!」
カリュー家の次男でレイティアの次兄グレックは怒鳴りつけるように聞いた。
カリュー家の領近くにまで戻ったレイティア一行は、完全武装したカリュー家と出会うことになった。
カリュー家王都家臣団が送った伝令に魔鷹から事情を知った、次兄グレックと長兄フーバーが不退転の決意で出陣していた。
「本当でございます。
許し難い無礼非礼でございます。
どうか我々もお連れください」
王都家臣団の騎士隊長は無理だと分かっていても願い出てしまった。
自分もコノリー王国を滅ぼす戦いに参加したかった。
だがそんな事は絶対に許されない事だった。
「駄目だ、絶対に駄目だ。
お前達はレイティアを無事に城まで送り届けるのだ」
怒りで血走った眼でグレックが斬り捨てるように言いきった。
グレックはこんな会話をしている時間も惜しかった。
少しでも早く、息一つ分でも早く、コノリー王家を皆殺しにしたかった。
「まあ、フーバーお兄様、グレックお兄様、お久しぶりですね。
お茶でもいただきながら、ゆっくりとお話しませんか?」
レイティアは満面の笑みを浮かべて兄二人に話しかけた。
全く何の屈託もない花のような笑顔だった。
コノリー王国の事などなんとも思っていなかった。
ウィリアム王太子の言動など気にもしていなかった。
羽虫が五月蠅い事くらいで対等に怒る人間がいないのと同じだった。
とりあえず兄二人はレイティアの心が傷ついていない事にひと安心した。
だからと言って心に渦巻く怒りの激情が治まるわけではない。
何があってもコノリー王家を皆殺しにする思いに変わりはない。
だがレイティアの誘いを断る事には湧き上がるような申し訳なさがあった。
「ごめんな、レイティア。
どうしてもやらなければいけない大切な役目があるのだよ。
それが終わったら直ぐに城に戻って一緒にお茶を飲ませてもらうよ。
なあ、グレック」
内心の激情を抑えて冷静に復讐する事ができるフーバーが、まだ怒りの感情を持て余しているグレックに声をかけた。
「お、おお、直ぐに役目を終えて城にもどるぞ」
「そうですか、残念ですわ。
でも御役目なら仕方ありませんね。
では城でお茶会用の菓子を焼いてお待ちしておりますわ、兄上様方」
「「おお、楽しみにしているぞ」」
フーバーとグレックがさっきよりも急いでコノリー王国の王都に向かった。
復讐も大切だったが、それ以上にレイティアとのお茶会が大切だった。
レイティアを長く待たせるなど考えられない。
だから拷問などの時間のかかる方法は全部白紙に戻された。
フーバーとグレックは鬼神のような強さを見せつけ、素手で城壁を砕いて王城内に入り、城内の王侯貴族を皆殺しにした。
あとは家臣達に任せて自分達の城に戻り、レイティアとのお茶会を愉しんだ。
残された家臣達は徹底的な調査をして復讐を果たした。
レイティアがウィリアム王太子に婚約破棄を言い渡されて僅か十日で、コノリー王国はこの世からなくなりカリュー家の支配地となった。
カリュー家の次男でレイティアの次兄グレックは怒鳴りつけるように聞いた。
カリュー家の領近くにまで戻ったレイティア一行は、完全武装したカリュー家と出会うことになった。
カリュー家王都家臣団が送った伝令に魔鷹から事情を知った、次兄グレックと長兄フーバーが不退転の決意で出陣していた。
「本当でございます。
許し難い無礼非礼でございます。
どうか我々もお連れください」
王都家臣団の騎士隊長は無理だと分かっていても願い出てしまった。
自分もコノリー王国を滅ぼす戦いに参加したかった。
だがそんな事は絶対に許されない事だった。
「駄目だ、絶対に駄目だ。
お前達はレイティアを無事に城まで送り届けるのだ」
怒りで血走った眼でグレックが斬り捨てるように言いきった。
グレックはこんな会話をしている時間も惜しかった。
少しでも早く、息一つ分でも早く、コノリー王家を皆殺しにしたかった。
「まあ、フーバーお兄様、グレックお兄様、お久しぶりですね。
お茶でもいただきながら、ゆっくりとお話しませんか?」
レイティアは満面の笑みを浮かべて兄二人に話しかけた。
全く何の屈託もない花のような笑顔だった。
コノリー王国の事などなんとも思っていなかった。
ウィリアム王太子の言動など気にもしていなかった。
羽虫が五月蠅い事くらいで対等に怒る人間がいないのと同じだった。
とりあえず兄二人はレイティアの心が傷ついていない事にひと安心した。
だからと言って心に渦巻く怒りの激情が治まるわけではない。
何があってもコノリー王家を皆殺しにする思いに変わりはない。
だがレイティアの誘いを断る事には湧き上がるような申し訳なさがあった。
「ごめんな、レイティア。
どうしてもやらなければいけない大切な役目があるのだよ。
それが終わったら直ぐに城に戻って一緒にお茶を飲ませてもらうよ。
なあ、グレック」
内心の激情を抑えて冷静に復讐する事ができるフーバーが、まだ怒りの感情を持て余しているグレックに声をかけた。
「お、おお、直ぐに役目を終えて城にもどるぞ」
「そうですか、残念ですわ。
でも御役目なら仕方ありませんね。
では城でお茶会用の菓子を焼いてお待ちしておりますわ、兄上様方」
「「おお、楽しみにしているぞ」」
フーバーとグレックがさっきよりも急いでコノリー王国の王都に向かった。
復讐も大切だったが、それ以上にレイティアとのお茶会が大切だった。
レイティアを長く待たせるなど考えられない。
だから拷問などの時間のかかる方法は全部白紙に戻された。
フーバーとグレックは鬼神のような強さを見せつけ、素手で城壁を砕いて王城内に入り、城内の王侯貴族を皆殺しにした。
あとは家臣達に任せて自分達の城に戻り、レイティアとのお茶会を愉しんだ。
残された家臣達は徹底的な調査をして復讐を果たした。
レイティアがウィリアム王太子に婚約破棄を言い渡されて僅か十日で、コノリー王国はこの世からなくなりカリュー家の支配地となった。
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