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悪魔と神

14話

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「これは王家に伝わる伝説の武具だ。
 これを装備してオートヴィル王国に乗り込む。
 この伝説の装備なら、魔王に操られることはないだろう」

 エドアルド殿下はマネル王家に伝わる伝説に武具を見せてくれました。
 魔王と戦う時のために伝わっているという王家の秘宝です。
 そのような大切なものを、私に貸し与えてくださるのです。
 ありがたくて涙がこぼれました。
 ですが絶対にお断りしなければいけないこともあります。

「ありがとうございます。
 エドアルド殿下の御優しい心には感謝の言葉もありません。
 ですが、武具はお借り出来ますが、殿下の助太刀は御断りさせていただきます。
 殿下を危険にさらすわけにはまいりません。
 そのような事を御願いするのは、民に対する裏切りです。
 殿下の御優しい思いやりと武具だけいただきます」

「そうはいかないよ。
 パオラの私と民を想ってくれる気持ちはうれしいけれど、その思いを黙って受けてしまうようでは、今度は私が人ではなくなってしまう。
 この国の王太子として危険から身を遠ざける責任があるのは確かだが、同時に率先して敵を斃す責任もあるのだよ。
 特に今回は、普通の人間では手も足も出ない魔王が相手だ。
 魔王と戦える武具を持つ王家の者が、率先して戦わねばならないのだよ。
 どうせいつかは魔王と戦わなければいけないのだ。
 ならば今なのだよ。
 愛するパオラを護りつつ、パオラの恩人も救いだせる。
 今この時が、私が剣をとる時なのだよ」

 うれしかったです。
 エドアルド殿下は、私を大切にしてくださるばかりか、私の恩人も見捨てずに助けてくださろうとしています。
 しかも私が遠慮しないでいいように、正当な理由を伝えてくださいます。
 マネル王国の貴族士族国民ならば、違う見方や考えがあるかもしれませんが。
 私にはエドアルド殿下に甘えてもいいと思えます。
 そのような言葉を選んで話してくださったのでしょう。

「ただ気を付けて欲しいことがある。
 例え見知った相手でも、信頼できる相手でも、その者の言う事を鵜呑みにせず、常に警戒して欲しいのだ。
 それはレベッカという恩人だけではない。
 ずっと私の側についていた、マネル王家に仕える顔見知りの家臣や召使もだ。
 オートヴィル王国に入りこんだ密偵全てが連絡を絶っている。
 殺された可能性だけでなく、魔王に籠絡されてる可能性も、魔王に操られてる可能性もあるのだ」

 恐ろしい話です!
 アンドレアとミーアの暗殺を成功させた、凄腕の密偵が全滅させらたのです。
 いえ、取り込まれている可能性すらあるというのです。
 彼らがエドアルド殿下と私に剣を向けてくるというのです。
 この状態で、本当にエドアルド殿下に助力してもらってもいいのでしょうか?
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