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裏切りの王都編

7話

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「この門は死守しなさい!
 民を護るのは貴族士族の役目です。
 レネオス公爵家令嬢カチュア様を護る、騎士の強さを誇りを卑怯卑劣な盗賊どもに見せつけてやりなさい!」

「「「「「おう!」」」」」

 見え透いた嘘ですが、民には真実に聞こえるかもしれません。
 ここは演じ切るしかありません。
 相手は盗賊などではありません。
 鍛え抜かれた刺客です。
 並大抵の敵ではありません。
 死を覚悟して戦わなければいけません。

 それに、我々にも有利な点もあります。
 彼らは私たちがこの街を逃げ出すと考えていたはずです。
 王国方面と学院方面の両方に罠を張っているはずです。
 兵力も三分割しているでしょう。
 街の防壁前で迎撃するとは思っていなかったでしょう。

 防壁前ならば、背後を気にする必要がなくなります。
 敵は正面か横からしか攻撃できません。
 横も斜め後ろを心配しなくてすみます。
 
 さらに言えば、敵は朝まで待てないはずです。
 この地の領主が軍勢を派遣するでしょう。
 王家の刺客であろうと、レネオス公爵家の刺客であろうと、この襲撃が表に出る事は避けたいはずです。
 時間は私たちの味方なのです。

 先に襲撃を受けましたが、後の先は取れました。
 有利ななったはずでした。
 ですが、ここの力量の差が激し過ぎました。
 我が家の騎士でなんとか互角。
 我が家の従士では全く歯が立ちません。

 徐々に味方が斃れていきます。
 刺客らしく、剣や矢に毒を塗っているのでしょう。
 完全防御の板金鎧を装備した、動きもいい騎士ならばなんとか防御します。
 ですが従士では、装備も動きも騎士に劣ります。
 次々と味方従士が斃れ数を減らしていくのです。

「カチュア様。
 レイラ様。
 我々が討ってでます」

「味方を気にして焦ってはいけませんよ。
 騎士も従士も主君のために死ぬことこそ誇りなのです。
 最良のタイミングで動きなさい」

「「「「「はい!」」」」」

 敵の増援が集まり、ギリギリ護りを保っていた騎士の防衛線が突破されました。
 敵には驕りがあったのでしょう。
 前回の襲撃とは違う敵だったのか?
 同じ敵でも連絡が悪いのか?
 何人かは逃がしたと思っていましたが、前回の襲撃犯を皆殺しにできたのか?

 刺客たちは戦闘侍女を甘く見ていました。
 カチュアと私を護るだけだと思い込んでいたのです。
 戦闘侍女たちはその程度の力量ではないのです。
 代々のレネオス公爵夫人が束ねる裏の者たち。
 レネオス公爵家の刺客団こそ戦闘侍女たちなのです。
 
 ライリーのようなモノには引き継ぐことなどできないので、孫の誰かに引き継がせる気だったレネオス公爵家の切り札。
 彼女たちが逆撃に転じたのです!
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