79 / 83
第二章
第74話:責任転嫁と密告
しおりを挟む
俺は自分を守るために責任を押し付けることにした。
押し付ける相手は決まっている。
こんな事態になるきっかけを作ったリード侯爵だ。
彼女がコンラディン王家に属国の話しをしなければ、こんなことになっていない。
自分のやって事の責任はキッチリととってもらう。
最初はザマア見ろと思っていたのだが、日に日にやつれていくリード侯爵を見ていると、何か悪い事をやっている気になってしまった。
「リード侯爵、何も全部自分でやろうと思わなくていい。
適任者がいるのならその者に任せればいい」
俺がそう言うと、リード侯爵はその場に崩れ落ちてしまった。
俺が思っていた以上に責任感に苦しんでいたようだ。
女性に責任を押し付け過ぎた事に心から罪悪感を感じてしまった。
こんな事なら最初から担当を決めて責任を分散させておけばよかった。
心から反省したので、リード侯爵には最終決済だけをしてもらう事にした。
大臣制を取り入れて担当ごとに責任を背負わせることにしたのだ。
その人材はコンラディン王国とヴァロア王国に出させた。
「それと、属国は独自に責任を取らせればいいから。
侵略や謀略をするような奴がいたら、眠らせて強制労働させるから」
今更の言葉なのだが、リード侯爵の役目は俺に代わって竜帝国の政治を行う事だ。
とは言っても、属国の隅々にまで口だするような役目ではない。
俺が絶対に認められない事を禁止してやらせないようにする事。
俺が絶対にやりたい事をを命じて推進していく事。
何かあった時の全責任を背負う事だ。
実際に属国内で政治を行うのは、属国の王であり権力者だ。
ただ困った事に、結構多くの王や権力者が俺を甘く見ていた。
形だけ臣従して食料を騙し取る気だった奴が以外と多かった。
俺が絶対にやれと言った奴隷解放をやらない属国が思ったいて以上に多かった。
内心俺をバカにしていたのか、奴隷という単語を年季奉公という単語に変えただけで、奴隷と同じ地位と待遇を続けやがった。
本気で腹が立ったが、それでも殺人を犯すことはできなかった。
俺自身が思っていた以上に殺人への忌避感は強かった。
そこで食料配給役に現地に止めていた竜に憑依して、国王と権力者にエリアパーフェクトスリーパーをかけて眠らせてやった。
「アリステア、後の事は頼むわ。
人間を脅かして2度と竜が舐められないようにするには、飛竜よりもお前の方が適任だから、思いっきり脅かしてくれ」
「任せとけ」
徐々に親しさが増しているアリステアが悪い顔をして引き受けてくれた。
アリステアが悪乗りするくらい本気で脅かしてくれたら、もう2度と竜を騙そうとする人間は出ないと思ったのだが、人間の愚かさは想像以上だった。
自分達なら騙せると思って、陰に隠れて俺の命令を守らない奴が結構な数いた。
それでもアリステアのお陰で激減していると思うから、人間の良識を信じていたら、本当に良識のある人間の苦しみは今以上だっただろう。
しかたないので、いい言い方をすれば目安箱制度、悪い言い方をすれば密告制度を取り入れることにした。
属国の王や権力者の悪事を、現地に駐屯させている竜に伝えるように民に広めた。
それから悪事を企む者が激減したのだから、人間とは度し難い生き物である。
押し付ける相手は決まっている。
こんな事態になるきっかけを作ったリード侯爵だ。
彼女がコンラディン王家に属国の話しをしなければ、こんなことになっていない。
自分のやって事の責任はキッチリととってもらう。
最初はザマア見ろと思っていたのだが、日に日にやつれていくリード侯爵を見ていると、何か悪い事をやっている気になってしまった。
「リード侯爵、何も全部自分でやろうと思わなくていい。
適任者がいるのならその者に任せればいい」
俺がそう言うと、リード侯爵はその場に崩れ落ちてしまった。
俺が思っていた以上に責任感に苦しんでいたようだ。
女性に責任を押し付け過ぎた事に心から罪悪感を感じてしまった。
こんな事なら最初から担当を決めて責任を分散させておけばよかった。
心から反省したので、リード侯爵には最終決済だけをしてもらう事にした。
大臣制を取り入れて担当ごとに責任を背負わせることにしたのだ。
その人材はコンラディン王国とヴァロア王国に出させた。
「それと、属国は独自に責任を取らせればいいから。
侵略や謀略をするような奴がいたら、眠らせて強制労働させるから」
今更の言葉なのだが、リード侯爵の役目は俺に代わって竜帝国の政治を行う事だ。
とは言っても、属国の隅々にまで口だするような役目ではない。
俺が絶対に認められない事を禁止してやらせないようにする事。
俺が絶対にやりたい事をを命じて推進していく事。
何かあった時の全責任を背負う事だ。
実際に属国内で政治を行うのは、属国の王であり権力者だ。
ただ困った事に、結構多くの王や権力者が俺を甘く見ていた。
形だけ臣従して食料を騙し取る気だった奴が以外と多かった。
俺が絶対にやれと言った奴隷解放をやらない属国が思ったいて以上に多かった。
内心俺をバカにしていたのか、奴隷という単語を年季奉公という単語に変えただけで、奴隷と同じ地位と待遇を続けやがった。
本気で腹が立ったが、それでも殺人を犯すことはできなかった。
俺自身が思っていた以上に殺人への忌避感は強かった。
そこで食料配給役に現地に止めていた竜に憑依して、国王と権力者にエリアパーフェクトスリーパーをかけて眠らせてやった。
「アリステア、後の事は頼むわ。
人間を脅かして2度と竜が舐められないようにするには、飛竜よりもお前の方が適任だから、思いっきり脅かしてくれ」
「任せとけ」
徐々に親しさが増しているアリステアが悪い顔をして引き受けてくれた。
アリステアが悪乗りするくらい本気で脅かしてくれたら、もう2度と竜を騙そうとする人間は出ないと思ったのだが、人間の愚かさは想像以上だった。
自分達なら騙せると思って、陰に隠れて俺の命令を守らない奴が結構な数いた。
それでもアリステアのお陰で激減していると思うから、人間の良識を信じていたら、本当に良識のある人間の苦しみは今以上だっただろう。
しかたないので、いい言い方をすれば目安箱制度、悪い言い方をすれば密告制度を取り入れることにした。
属国の王や権力者の悪事を、現地に駐屯させている竜に伝えるように民に広めた。
それから悪事を企む者が激減したのだから、人間とは度し難い生き物である。
2
お気に入りに追加
474
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~
うみ
ファンタジー
恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。
いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。
モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。
そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。
モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。
その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。
稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。
『箱を開けるモ』
「餌は待てと言ってるだろうに」
とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる