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第二章
第74話:責任転嫁と密告
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俺は自分を守るために責任を押し付けることにした。
押し付ける相手は決まっている。
こんな事態になるきっかけを作ったリード侯爵だ。
彼女がコンラディン王家に属国の話しをしなければ、こんなことになっていない。
自分のやって事の責任はキッチリととってもらう。
最初はザマア見ろと思っていたのだが、日に日にやつれていくリード侯爵を見ていると、何か悪い事をやっている気になってしまった。
「リード侯爵、何も全部自分でやろうと思わなくていい。
適任者がいるのならその者に任せればいい」
俺がそう言うと、リード侯爵はその場に崩れ落ちてしまった。
俺が思っていた以上に責任感に苦しんでいたようだ。
女性に責任を押し付け過ぎた事に心から罪悪感を感じてしまった。
こんな事なら最初から担当を決めて責任を分散させておけばよかった。
心から反省したので、リード侯爵には最終決済だけをしてもらう事にした。
大臣制を取り入れて担当ごとに責任を背負わせることにしたのだ。
その人材はコンラディン王国とヴァロア王国に出させた。
「それと、属国は独自に責任を取らせればいいから。
侵略や謀略をするような奴がいたら、眠らせて強制労働させるから」
今更の言葉なのだが、リード侯爵の役目は俺に代わって竜帝国の政治を行う事だ。
とは言っても、属国の隅々にまで口だするような役目ではない。
俺が絶対に認められない事を禁止してやらせないようにする事。
俺が絶対にやりたい事をを命じて推進していく事。
何かあった時の全責任を背負う事だ。
実際に属国内で政治を行うのは、属国の王であり権力者だ。
ただ困った事に、結構多くの王や権力者が俺を甘く見ていた。
形だけ臣従して食料を騙し取る気だった奴が以外と多かった。
俺が絶対にやれと言った奴隷解放をやらない属国が思ったいて以上に多かった。
内心俺をバカにしていたのか、奴隷という単語を年季奉公という単語に変えただけで、奴隷と同じ地位と待遇を続けやがった。
本気で腹が立ったが、それでも殺人を犯すことはできなかった。
俺自身が思っていた以上に殺人への忌避感は強かった。
そこで食料配給役に現地に止めていた竜に憑依して、国王と権力者にエリアパーフェクトスリーパーをかけて眠らせてやった。
「アリステア、後の事は頼むわ。
人間を脅かして2度と竜が舐められないようにするには、飛竜よりもお前の方が適任だから、思いっきり脅かしてくれ」
「任せとけ」
徐々に親しさが増しているアリステアが悪い顔をして引き受けてくれた。
アリステアが悪乗りするくらい本気で脅かしてくれたら、もう2度と竜を騙そうとする人間は出ないと思ったのだが、人間の愚かさは想像以上だった。
自分達なら騙せると思って、陰に隠れて俺の命令を守らない奴が結構な数いた。
それでもアリステアのお陰で激減していると思うから、人間の良識を信じていたら、本当に良識のある人間の苦しみは今以上だっただろう。
しかたないので、いい言い方をすれば目安箱制度、悪い言い方をすれば密告制度を取り入れることにした。
属国の王や権力者の悪事を、現地に駐屯させている竜に伝えるように民に広めた。
それから悪事を企む者が激減したのだから、人間とは度し難い生き物である。
押し付ける相手は決まっている。
こんな事態になるきっかけを作ったリード侯爵だ。
彼女がコンラディン王家に属国の話しをしなければ、こんなことになっていない。
自分のやって事の責任はキッチリととってもらう。
最初はザマア見ろと思っていたのだが、日に日にやつれていくリード侯爵を見ていると、何か悪い事をやっている気になってしまった。
「リード侯爵、何も全部自分でやろうと思わなくていい。
適任者がいるのならその者に任せればいい」
俺がそう言うと、リード侯爵はその場に崩れ落ちてしまった。
俺が思っていた以上に責任感に苦しんでいたようだ。
女性に責任を押し付け過ぎた事に心から罪悪感を感じてしまった。
こんな事なら最初から担当を決めて責任を分散させておけばよかった。
心から反省したので、リード侯爵には最終決済だけをしてもらう事にした。
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その人材はコンラディン王国とヴァロア王国に出させた。
「それと、属国は独自に責任を取らせればいいから。
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今更の言葉なのだが、リード侯爵の役目は俺に代わって竜帝国の政治を行う事だ。
とは言っても、属国の隅々にまで口だするような役目ではない。
俺が絶対に認められない事を禁止してやらせないようにする事。
俺が絶対にやりたい事をを命じて推進していく事。
何かあった時の全責任を背負う事だ。
実際に属国内で政治を行うのは、属国の王であり権力者だ。
ただ困った事に、結構多くの王や権力者が俺を甘く見ていた。
形だけ臣従して食料を騙し取る気だった奴が以外と多かった。
俺が絶対にやれと言った奴隷解放をやらない属国が思ったいて以上に多かった。
内心俺をバカにしていたのか、奴隷という単語を年季奉公という単語に変えただけで、奴隷と同じ地位と待遇を続けやがった。
本気で腹が立ったが、それでも殺人を犯すことはできなかった。
俺自身が思っていた以上に殺人への忌避感は強かった。
そこで食料配給役に現地に止めていた竜に憑依して、国王と権力者にエリアパーフェクトスリーパーをかけて眠らせてやった。
「アリステア、後の事は頼むわ。
人間を脅かして2度と竜が舐められないようにするには、飛竜よりもお前の方が適任だから、思いっきり脅かしてくれ」
「任せとけ」
徐々に親しさが増しているアリステアが悪い顔をして引き受けてくれた。
アリステアが悪乗りするくらい本気で脅かしてくれたら、もう2度と竜を騙そうとする人間は出ないと思ったのだが、人間の愚かさは想像以上だった。
自分達なら騙せると思って、陰に隠れて俺の命令を守らない奴が結構な数いた。
それでもアリステアのお陰で激減していると思うから、人間の良識を信じていたら、本当に良識のある人間の苦しみは今以上だっただろう。
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属国の王や権力者の悪事を、現地に駐屯させている竜に伝えるように民に広めた。
それから悪事を企む者が激減したのだから、人間とは度し難い生き物である。
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