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第二章
第73話:不本意
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不本意である、不本意である、不本意である。
何故こんな事になってしまったのだ。
さっさと逃げ出したいのに、逃げられない。
逃げだせば多くの人が死ぬと分かっているから、逃げだせない。
人間嫌いなのに、逃げだせないしがらみができてしまった。
糞みたいな俺でも、かっこをつけてみせたい人間ができてしまった。
サクラ母さんと弟妹達、真田君達には見栄を張りたくなってしまった。
コンラディン王国の大半を支配下に置き、王家直轄領を保護国にした直後は、不本意な所もあったが、嫌な事は摂政を押し付けたリード侯爵とコンラディン王家に全部押し付けたから、実質的には食糧さえ配っていればよかった。
だが、愚かにもしつこくコンラディン王家に手出しする隣国王家がいたのだ。
やっと国を背負う重圧から解放されたヴィクトリア王女を、再び苦しい生活に戻すわけにはいかないので、その腐れ王家に乗り込んだ。
エリアパーフェクトスリーパーで王城にいた者を全員眠らせて、人質にして強制労働させた事で、問題が出てきてしまった。
大陸中で魔物被害からの食糧難が蔓延しており、生き残るために隣国に攻め込んで食糧を確保しようとする国が現われ、戦国時代となっていた。
戦乱の世の中になれば、才能で底辺から成り上がり者もいる。
大陸を統一するような名君や覇王が現れる事もある。
すでに頭角を現し名声を得ている王もいたのだが、そんな王の1人が、覇道を捨てて俺に臣従の使者を送ってきてしまったのだ。
「飛竜様、どうか我が国をお救いください。
我が国の王は家臣国民の命を何より大切にしております。
決して大陸に覇を唱えたい訳ではありません。
隣国に攻め込んだのも、国民を餓死させないための苦渋の選択でした。
その証拠に、飛竜様が食料を与えてくださるのなら、臣従させていただきます。
どうかコンラディン王国のように属国にしてください」
全権大使が土下座しかねないほど平身低頭懇願した。
大陸統一をするかもしれないと、多く人々から評価されている王の1人が、竜に頭を下げて臣下にしてくれというのだ。
よほど覚悟がなければできない事だと思った。
例え政略だとしても、なかなかやれる事ではないと感心した。
あの時、断ったらどうなっていたんだろうと考えた事もある。
だが断れば、王が国民を食わすために侵略戦争を続けるのは目に見えていた。
それが分かっていて断る根性もなければ非情さもない。
しかたなく臣従を受け入れたのだが、それが雪崩現象になってしまった。
考えてくれれば分かると思うのだが、それでなくても強大な隣国が竜国の属国になったら、どの国も攻め滅ぼされるかもしれないと恐怖するのが普通なのだ。
侵攻を防ごうと思えば、同じ主君、竜に仕えて侵攻されないようにするしかない。
新たに竜に臣従する国が現れたら、その国と国境を接する国も慌てて竜に臣従して侵攻されないようにする。
結局俺は大陸の大半を属国化することになってしまった。
あれほど嫌だった責任を背負わされてしまった。
断りたいのに断れなかった。
逃げ出したいのに逃げ出せなかった。
このままでは円形脱毛症が再発してしまう。
何とか誰かにこの責任を押し付けられないかと考えるのが当然だ。
何故こんな事になってしまったのだ。
さっさと逃げ出したいのに、逃げられない。
逃げだせば多くの人が死ぬと分かっているから、逃げだせない。
人間嫌いなのに、逃げだせないしがらみができてしまった。
糞みたいな俺でも、かっこをつけてみせたい人間ができてしまった。
サクラ母さんと弟妹達、真田君達には見栄を張りたくなってしまった。
コンラディン王国の大半を支配下に置き、王家直轄領を保護国にした直後は、不本意な所もあったが、嫌な事は摂政を押し付けたリード侯爵とコンラディン王家に全部押し付けたから、実質的には食糧さえ配っていればよかった。
だが、愚かにもしつこくコンラディン王家に手出しする隣国王家がいたのだ。
やっと国を背負う重圧から解放されたヴィクトリア王女を、再び苦しい生活に戻すわけにはいかないので、その腐れ王家に乗り込んだ。
エリアパーフェクトスリーパーで王城にいた者を全員眠らせて、人質にして強制労働させた事で、問題が出てきてしまった。
大陸中で魔物被害からの食糧難が蔓延しており、生き残るために隣国に攻め込んで食糧を確保しようとする国が現われ、戦国時代となっていた。
戦乱の世の中になれば、才能で底辺から成り上がり者もいる。
大陸を統一するような名君や覇王が現れる事もある。
すでに頭角を現し名声を得ている王もいたのだが、そんな王の1人が、覇道を捨てて俺に臣従の使者を送ってきてしまったのだ。
「飛竜様、どうか我が国をお救いください。
我が国の王は家臣国民の命を何より大切にしております。
決して大陸に覇を唱えたい訳ではありません。
隣国に攻め込んだのも、国民を餓死させないための苦渋の選択でした。
その証拠に、飛竜様が食料を与えてくださるのなら、臣従させていただきます。
どうかコンラディン王国のように属国にしてください」
全権大使が土下座しかねないほど平身低頭懇願した。
大陸統一をするかもしれないと、多く人々から評価されている王の1人が、竜に頭を下げて臣下にしてくれというのだ。
よほど覚悟がなければできない事だと思った。
例え政略だとしても、なかなかやれる事ではないと感心した。
あの時、断ったらどうなっていたんだろうと考えた事もある。
だが断れば、王が国民を食わすために侵略戦争を続けるのは目に見えていた。
それが分かっていて断る根性もなければ非情さもない。
しかたなく臣従を受け入れたのだが、それが雪崩現象になってしまった。
考えてくれれば分かると思うのだが、それでなくても強大な隣国が竜国の属国になったら、どの国も攻め滅ぼされるかもしれないと恐怖するのが普通なのだ。
侵攻を防ごうと思えば、同じ主君、竜に仕えて侵攻されないようにするしかない。
新たに竜に臣従する国が現れたら、その国と国境を接する国も慌てて竜に臣従して侵攻されないようにする。
結局俺は大陸の大半を属国化することになってしまった。
あれほど嫌だった責任を背負わされてしまった。
断りたいのに断れなかった。
逃げ出したいのに逃げ出せなかった。
このままでは円形脱毛症が再発してしまう。
何とか誰かにこの責任を押し付けられないかと考えるのが当然だ。
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