よい異世界召喚に巻き込まれましたが、殺された後でした。

克全

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第二章

第69話:自由奔放

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(ケケケッ、カカカッ、ニャニャニャッ、ケケケッ、カカカッ、ニャニャニャッ)

 サクラが嬉々として魔物を狩っている。
 喜びの声をあげながら、縦横無尽に魔物を狩っていく。
 1度殺し尽くしたと思っても、時間が経つとまた魔物が湧いてくる。
 人間には命に係わる災厄なのだろうが、サクラには格好の遊びになっている。
 それと不思議なモノで、竜に憑依していても心話だと元のサクラの声になる。
 元々のサクラの声を聞くととても安心できるからうれしい。

 こんな時のサクラには余計な言葉はかけない方がいい。
 飽きるまで狩りをさせてあげる事が何よりの親孝行であり、主人のなすべき事だ。
 お猫様の遊びの邪魔をするなど、猫の主人として失格だ。
 ただ遊びが激しくなり過ぎて、周りに被害が及ばないように見守るのも主人の役目だから、新しい竜に憑依するたびに俺も移動しなければいけない。

 サクラはとても自由な性格をしているから、1カ所に留まったりはしない。
 1頭の竜で満足もしない。
 北方の竜の墓場からコンラディン王国領まで、超高速移動を繰り返す。
 その時に俺が想像もしていなかった事をやってくれた。
 足の遅い地竜に憑依して、魔術を使って超高速移動をしたのだ。
 俺が一生懸命走らせて移動したのはバカの行いだった。

 お陰で新たな移動方法を思いつくことができた。
 飛竜や火竜などの空を飛べる竜種であろうと、飛行せずに超高速移動させれば、高所恐怖症に悩まされる事はないのだ。
 我慢するのは、人間を畏怖させるときに城の上を滞空する時だけでいいのだ。
 それ以外の時は、しっかりと脚をつけていればいいのだ。

(ニャーーーン、ニャオ、ニャオォ、ニャーーーン、ニャオ、ニャオォ)

 またも不意を突かれてしまった。
 サクラに「卵が産みたい」とお願いされてしまった。
 魂が抜けてしまっている竜の屍でも、リサシテイションで蘇らせて、リジューヴァネイションで若返らせれば、俺達が憑依さえすれば生きているのと同じ状態になる。
 だから卵を産ませる事も不可能ではない。

 キングアイスタイガーなどの肉食陸上生物だと、産んだ子供が人間を襲う可能性もあるが、飛行可能な竜種なら、成長した後で別大陸に送れば知り合いの人間を襲う事はないし、無人島に送れば人間自体を襲う事もない。
 いや、よく考えれば竜種でなくてもいいのだ。
 陸上種の肉食獣であろうと、超高速移動や転移の魔術を使えば、成長してから他の大陸に送ることができる。
 人間の入って来れないような大森林に放してあげればいい。

(サクラ、本当に竜の卵でいいのかい。
 ネコ種の子供を産んでもいいんだよ。
 寒冷地の雪と氷の中を探せば、魂の抜けたネコ種の亡骸があるはずだよ。
 その亡骸を蘇らせたら、子供を産む事だってできるよ)

(ニャーーーン、ニャオ、ニャオォ、ニャーーーン、ニャオ、ニャオォ)
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