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第一章
第34話:快復薬
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「ネコヤシキ殿、ありがとうございます」
パーカー準男爵が深々と頭を下げてくれる。
見せかけだけではない、心からのお礼だと分かる。
ここまで本気でお礼を言われたら、利用されたと文句も言えない。
「ネコヤシキ殿のお陰で、多くの国民が助かりました。
無理を言っているのは重々承知していました。
私にできるお礼は何でもさせていただきます。
なんなりとお申し付けください」
「いえ、別に改まったお礼などいりません。
これまで通り、人間相手の交渉を全て引き受けてくださればそれで十分です」
「本当にその程度で宜しいのですか、ネコヤシキ殿。
勇者様達もそうですが、異世界の方々は本当に優しく無欲ですね」
いや、別に俺は無欲なわけではない。
真田君達は本当に無欲ないい人だが、俺は単なる対人恐怖症だから。
「ネコヤシキ殿がアリステア様に交渉してくださったお陰で、北方に、いえ、王国に新しい特産物が生まれました。
石炭と泥炭を輸出することができれば、それを対価に穀物を輸入できます。
何よりアリステア様が与えてくださる肉と脂と塩があれば、貧困に苦しむ民もお腹一杯食べることができるようになります。
そうなれば毎年のように国中に流行る疫病も、なくなるかもしれません」
北方だけでなく、国全体が貧しく、ビタミン欠乏症が蔓延していたのだな。
俺やアリステアが表にでれば、全員を治すことができるだろうが、これ以上アリステアが目立つのも問題がある。
俺が冷酷で身勝手な人間なら、平気で見殺しにするか、自分の力を利用して世界制覇でもするのだろうが、俺にはそんな気力も覇気も欲望もない。
だが今も人間の乳呑児を育てているサクラに恥ずかしい生き方だけはできない。
他種族の子供を愛しみ育ててくれるサクラに蔑まれたくはない。
サクラの長男坊として恥かしくない行動をとらなければいけない。
自分やアリステアが表にでる事なく、緊急を要する患者だけでも助ける方法。
真田君達を頼る方法だと、彼らの事だから、どれだけ頼んでも自分達だけの手柄にはせず、俺の手柄も公表してしまうだろう。
しかたがない、多少は目立つが、薬を創る事にしよう。
アリステアがこの世界で疫病だと思われている病を治した事は隠しようがない。
病人や病人を心配する家族が、ここに押し寄せてくるのは目に見えている。
国王に厳しく取り締まるように言っても、命がかかっているから、罰を死刑にでもしなければ、ここに来る事を止めるのは無理だ。
多くの民が治療に来る事を嫌がったアリステアが、快復薬を創り出した事にする。
「肉や脂が国中に行き渡るまでには時間がかかります。
病の民がここに押し寄せてくるのは、アリステア殿が嫌うでしょう。
民が来ないようにするために、快復薬を作ってくれるように交渉してみます」
「本当ですか?!」
「はい、その代わり、王侯貴族や民の厳重に取り締まる事と、快復薬を公平に民に与える事を、国王陛下に交渉してください」
「お任せくださいネコヤシキ殿。
我が命に代えまして必ずご希望通りにいたします」
創薬の魔術はアリステアの知識の中にあったから大丈夫だ。
原料にする素材は、各種ビタミンが豊富なクジラ脂に俺の魔力を加えれば十分だ。
パーカー準男爵が深々と頭を下げてくれる。
見せかけだけではない、心からのお礼だと分かる。
ここまで本気でお礼を言われたら、利用されたと文句も言えない。
「ネコヤシキ殿のお陰で、多くの国民が助かりました。
無理を言っているのは重々承知していました。
私にできるお礼は何でもさせていただきます。
なんなりとお申し付けください」
「いえ、別に改まったお礼などいりません。
これまで通り、人間相手の交渉を全て引き受けてくださればそれで十分です」
「本当にその程度で宜しいのですか、ネコヤシキ殿。
勇者様達もそうですが、異世界の方々は本当に優しく無欲ですね」
いや、別に俺は無欲なわけではない。
真田君達は本当に無欲ないい人だが、俺は単なる対人恐怖症だから。
「ネコヤシキ殿がアリステア様に交渉してくださったお陰で、北方に、いえ、王国に新しい特産物が生まれました。
石炭と泥炭を輸出することができれば、それを対価に穀物を輸入できます。
何よりアリステア様が与えてくださる肉と脂と塩があれば、貧困に苦しむ民もお腹一杯食べることができるようになります。
そうなれば毎年のように国中に流行る疫病も、なくなるかもしれません」
北方だけでなく、国全体が貧しく、ビタミン欠乏症が蔓延していたのだな。
俺やアリステアが表にでれば、全員を治すことができるだろうが、これ以上アリステアが目立つのも問題がある。
俺が冷酷で身勝手な人間なら、平気で見殺しにするか、自分の力を利用して世界制覇でもするのだろうが、俺にはそんな気力も覇気も欲望もない。
だが今も人間の乳呑児を育てているサクラに恥ずかしい生き方だけはできない。
他種族の子供を愛しみ育ててくれるサクラに蔑まれたくはない。
サクラの長男坊として恥かしくない行動をとらなければいけない。
自分やアリステアが表にでる事なく、緊急を要する患者だけでも助ける方法。
真田君達を頼る方法だと、彼らの事だから、どれだけ頼んでも自分達だけの手柄にはせず、俺の手柄も公表してしまうだろう。
しかたがない、多少は目立つが、薬を創る事にしよう。
アリステアがこの世界で疫病だと思われている病を治した事は隠しようがない。
病人や病人を心配する家族が、ここに押し寄せてくるのは目に見えている。
国王に厳しく取り締まるように言っても、命がかかっているから、罰を死刑にでもしなければ、ここに来る事を止めるのは無理だ。
多くの民が治療に来る事を嫌がったアリステアが、快復薬を創り出した事にする。
「肉や脂が国中に行き渡るまでには時間がかかります。
病の民がここに押し寄せてくるのは、アリステア殿が嫌うでしょう。
民が来ないようにするために、快復薬を作ってくれるように交渉してみます」
「本当ですか?!」
「はい、その代わり、王侯貴族や民の厳重に取り締まる事と、快復薬を公平に民に与える事を、国王陛下に交渉してください」
「お任せくださいネコヤシキ殿。
我が命に代えまして必ずご希望通りにいたします」
創薬の魔術はアリステアの知識の中にあったから大丈夫だ。
原料にする素材は、各種ビタミンが豊富なクジラ脂に俺の魔力を加えれば十分だ。
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