30 / 83
第一章
第25話:変化
しおりを挟む
「小さな体では全員公平に相手してあげられない。
大きくなっても大丈夫なら、全員を抱きしめてあげられるが、どうする」
俺は子供達の代表者に聞いてみた。
俺自身がやりたいわけではないが、サクラがやりたがっている。
サクラは大きな体になって子供達を抱きしめたいと思っているのだ。
その想いを知っていて、何も言わず何もしない事など俺には無理だ。
「お願します、小さな子供達がとても寂しがっているんです」
子供達の代表は難しい言葉が使えるのだろう。
話す言葉がとても聞き取り易い。
彼女もまだ13歳くらいだろうに、数百人の子供達を代表している。
この孤児院に来ているのは王国直轄領だけの孤児だ。
しかも助けてくれる親族が誰1人いない子だけだ。
それなのに数百人もいるなんて……
「ニャーーーン」
サクラに「早くしてよ」とお願いされてしまった。
「サクラも自分で魔術が使えるじゃないか」という言葉は込みこむ。
俺を1人前にしたいサクラの親心に文句など言えない。
「チェンジキングアイスタイガー」
俺の呪文と同時にサクラがキングアイスタイガーに変化した。
幻影でキングアイスタイガーに見えているだけではない。
本当に身体が大きくなり、姿形が変わっているのだ。
キングアイスタイガーの大きな体なら、十数人に大きな子供が抱きついても大丈夫だし、十数人の小さな子供を柔らかなお腹で抱きしめる事もできる。
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
子供達が一斉にキングアイスタイガーになったサクラに殺到したが、今のサクラならビクともせずに受け止めてやることができる。
「ウォン、ウォン」
野太くなってしまった声で、羨ましそうに見ている小さな子に声をかけている。
多いな子供達が先に抱きついてしまったので、小さな子がサクラに近づけないのだが、それはサクラの本意ではない。
サクラの母性は小さく弱い子に対してこそ強く働いている。
「さあ、小さい子にお腹の方を開けてあげなさい。
大きな子は背中の方に抱きつきなさい」
「「「「「はい」」」」」
俺の言葉に素直に従う子供達が不憫だった。
俺も含めて、俺の記憶にある子供はもっとワガママだった。
この子達は、ワガママが許されない事を身に染みて知っているのだ。
大きな子ほど、辛く哀しい経験が多いのだろう。
こちらが哀しくなってしまうくらい素直にお腹側を空けてくれた。
「ウォーン、ウォーン」
サクラが「貴男もお兄ちゃんなら子供達を抱きしめてあげなさい」と命じてくる。
サクラから見れば、俺もこの子達も同じ子供なのだ。
俺はサクラの長男坊で、この子達は弟妹になるのだ。
思いっきり恥ずかしいが、断る事など絶対にできない。
ここは羞恥心を捨ててやるしかない。
「今から俺も姿を見せるかから、今抱きつけていない子は俺の方に来なさい。
ただし、言っておくがサクラは雌だが俺は雄だからな。
チェンジキングアイスタイガー」
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
キングアイスタイガーの姿になった俺の方にも子供達が殺到してきた。
しかし1番年長の子達が上手く順番を守らせて公平に抱きつけるようにしている。
この子達は別に時間を作って抱きしめてあげないといけないな。
大きくなっても大丈夫なら、全員を抱きしめてあげられるが、どうする」
俺は子供達の代表者に聞いてみた。
俺自身がやりたいわけではないが、サクラがやりたがっている。
サクラは大きな体になって子供達を抱きしめたいと思っているのだ。
その想いを知っていて、何も言わず何もしない事など俺には無理だ。
「お願します、小さな子供達がとても寂しがっているんです」
子供達の代表は難しい言葉が使えるのだろう。
話す言葉がとても聞き取り易い。
彼女もまだ13歳くらいだろうに、数百人の子供達を代表している。
この孤児院に来ているのは王国直轄領だけの孤児だ。
しかも助けてくれる親族が誰1人いない子だけだ。
それなのに数百人もいるなんて……
「ニャーーーン」
サクラに「早くしてよ」とお願いされてしまった。
「サクラも自分で魔術が使えるじゃないか」という言葉は込みこむ。
俺を1人前にしたいサクラの親心に文句など言えない。
「チェンジキングアイスタイガー」
俺の呪文と同時にサクラがキングアイスタイガーに変化した。
幻影でキングアイスタイガーに見えているだけではない。
本当に身体が大きくなり、姿形が変わっているのだ。
キングアイスタイガーの大きな体なら、十数人に大きな子供が抱きついても大丈夫だし、十数人の小さな子供を柔らかなお腹で抱きしめる事もできる。
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
子供達が一斉にキングアイスタイガーになったサクラに殺到したが、今のサクラならビクともせずに受け止めてやることができる。
「ウォン、ウォン」
野太くなってしまった声で、羨ましそうに見ている小さな子に声をかけている。
多いな子供達が先に抱きついてしまったので、小さな子がサクラに近づけないのだが、それはサクラの本意ではない。
サクラの母性は小さく弱い子に対してこそ強く働いている。
「さあ、小さい子にお腹の方を開けてあげなさい。
大きな子は背中の方に抱きつきなさい」
「「「「「はい」」」」」
俺の言葉に素直に従う子供達が不憫だった。
俺も含めて、俺の記憶にある子供はもっとワガママだった。
この子達は、ワガママが許されない事を身に染みて知っているのだ。
大きな子ほど、辛く哀しい経験が多いのだろう。
こちらが哀しくなってしまうくらい素直にお腹側を空けてくれた。
「ウォーン、ウォーン」
サクラが「貴男もお兄ちゃんなら子供達を抱きしめてあげなさい」と命じてくる。
サクラから見れば、俺もこの子達も同じ子供なのだ。
俺はサクラの長男坊で、この子達は弟妹になるのだ。
思いっきり恥ずかしいが、断る事など絶対にできない。
ここは羞恥心を捨ててやるしかない。
「今から俺も姿を見せるかから、今抱きつけていない子は俺の方に来なさい。
ただし、言っておくがサクラは雌だが俺は雄だからな。
チェンジキングアイスタイガー」
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
キングアイスタイガーの姿になった俺の方にも子供達が殺到してきた。
しかし1番年長の子達が上手く順番を守らせて公平に抱きつけるようにしている。
この子達は別に時間を作って抱きしめてあげないといけないな。
1
お気に入りに追加
474
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした
新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。
「ヨシュア……てめえはクビだ」
ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。
「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。
危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。
一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。
彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。
異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~
夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。
しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。
とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。
エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。
スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。
*小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み
【完結】底辺冒険者の相続 〜昔、助けたお爺さんが、実はS級冒険者で、その遺言で七つの伝説級最強アイテムを相続しました〜
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
試験雇用中の冒険者パーティー【ブレイブソード】のリーダーに呼び出されたウィルは、クビを宣言されてしまう。その理由は同じ三ヶ月の試験雇用を受けていたコナーを雇うと決めたからだった。
ウィルは冒険者になって一年と一ヶ月、対してコナーは冒険者になって一ヶ月のド新人である。納得の出来ないウィルはコナーと一対一の決闘を申し込む。
その後、なんやかんやとあって、ウィルはシェフィールドの町を出て、実家の農家を継ぐ為に乗り合い馬車に乗ることになった。道中、魔物と遭遇するも、なんやかんやとあって、無事に生まれ故郷のサークス村に到着した。
無事に到着した村で農家として、再出発しようと考えるウィルの前に、両親は半年前にウィル宛てに届いた一通の手紙を渡してきた。
手紙内容は数年前にウィルが落とし物を探すのを手伝った、お爺さんが亡くなったことを知らせるものだった。そして、そのお爺さんの遺言でウィルに渡したい物があるから屋敷があるアポンタインの町に来て欲しいというものだった。
屋敷に到着したウィルだったが、彼はそこでお爺さんがS級冒険者だったことを知らされる。そんな驚く彼の前に、伝説級最強アイテムが次々と並べられていく。
【聖龍剣・死喰】【邪龍剣・命喰】【無限収納袋】【透明マント】【神速ブーツ】【賢者の壺】【神眼の指輪】
だが、ウィルはもう冒険者を辞めるつもりでいた。そんな彼の前に、お爺さんの孫娘であり、S級冒険者であるアシュリーが現れ、遺産の相続を放棄するように要求してきた。
ドロップキング 〜 平均的な才能の冒険者ですが、ドロップアイテムが異常です。 〜
出汁の素
ファンタジー
アレックスは、地方の騎士爵家の五男。食い扶持を得る為に13歳で冒険者学校に通い始めた、極々一般的な冒険者。
これと言った特技はなく、冒険者としては平凡な才能しか持たない戦士として、冒険者学校3か月の授業を終え、最低ランクHランクの認定を受け、実地研修としての初ダンジョンアタックを冒険者学校の同級生で組んだパーティーでで挑んだ。
そんなアレックスが、初めてモンスターを倒した時に手に入れたドロップアイテムが異常だった。
のちにドロップキングと呼ばれる冒険者と、仲間達の成長ストーリーここに開幕する。
第一章は、1カ月以内に2人で1000体のモンスターを倒せば一気にEランクに昇格出来る冒険者学校の最終試験ダンジョンアタック研修から、クラン設立までのお話。
第二章は、設立したクラン アクア。その本部となる街アクアを中心としたお話。
第三章は、クラン アクアのオーナーアリアの婚約破棄から始まる、ドタバタなお話。
第四章は、帝都での混乱から派生した戦いのお話(ざまぁ要素を含む)。
1章20話(除く閑話)予定です。
-------------------------------------------------------------
書いて出し状態で、1話2,000字~3,000字程度予定ですが、大きくぶれがあります。
全部書きあがってから、情景描写、戦闘描写、心理描写等を増やしていく予定です。
下手な文章で申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる