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第一章
第25話:変化
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「小さな体では全員公平に相手してあげられない。
大きくなっても大丈夫なら、全員を抱きしめてあげられるが、どうする」
俺は子供達の代表者に聞いてみた。
俺自身がやりたいわけではないが、サクラがやりたがっている。
サクラは大きな体になって子供達を抱きしめたいと思っているのだ。
その想いを知っていて、何も言わず何もしない事など俺には無理だ。
「お願します、小さな子供達がとても寂しがっているんです」
子供達の代表は難しい言葉が使えるのだろう。
話す言葉がとても聞き取り易い。
彼女もまだ13歳くらいだろうに、数百人の子供達を代表している。
この孤児院に来ているのは王国直轄領だけの孤児だ。
しかも助けてくれる親族が誰1人いない子だけだ。
それなのに数百人もいるなんて……
「ニャーーーン」
サクラに「早くしてよ」とお願いされてしまった。
「サクラも自分で魔術が使えるじゃないか」という言葉は込みこむ。
俺を1人前にしたいサクラの親心に文句など言えない。
「チェンジキングアイスタイガー」
俺の呪文と同時にサクラがキングアイスタイガーに変化した。
幻影でキングアイスタイガーに見えているだけではない。
本当に身体が大きくなり、姿形が変わっているのだ。
キングアイスタイガーの大きな体なら、十数人に大きな子供が抱きついても大丈夫だし、十数人の小さな子供を柔らかなお腹で抱きしめる事もできる。
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
子供達が一斉にキングアイスタイガーになったサクラに殺到したが、今のサクラならビクともせずに受け止めてやることができる。
「ウォン、ウォン」
野太くなってしまった声で、羨ましそうに見ている小さな子に声をかけている。
多いな子供達が先に抱きついてしまったので、小さな子がサクラに近づけないのだが、それはサクラの本意ではない。
サクラの母性は小さく弱い子に対してこそ強く働いている。
「さあ、小さい子にお腹の方を開けてあげなさい。
大きな子は背中の方に抱きつきなさい」
「「「「「はい」」」」」
俺の言葉に素直に従う子供達が不憫だった。
俺も含めて、俺の記憶にある子供はもっとワガママだった。
この子達は、ワガママが許されない事を身に染みて知っているのだ。
大きな子ほど、辛く哀しい経験が多いのだろう。
こちらが哀しくなってしまうくらい素直にお腹側を空けてくれた。
「ウォーン、ウォーン」
サクラが「貴男もお兄ちゃんなら子供達を抱きしめてあげなさい」と命じてくる。
サクラから見れば、俺もこの子達も同じ子供なのだ。
俺はサクラの長男坊で、この子達は弟妹になるのだ。
思いっきり恥ずかしいが、断る事など絶対にできない。
ここは羞恥心を捨ててやるしかない。
「今から俺も姿を見せるかから、今抱きつけていない子は俺の方に来なさい。
ただし、言っておくがサクラは雌だが俺は雄だからな。
チェンジキングアイスタイガー」
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
キングアイスタイガーの姿になった俺の方にも子供達が殺到してきた。
しかし1番年長の子達が上手く順番を守らせて公平に抱きつけるようにしている。
この子達は別に時間を作って抱きしめてあげないといけないな。
大きくなっても大丈夫なら、全員を抱きしめてあげられるが、どうする」
俺は子供達の代表者に聞いてみた。
俺自身がやりたいわけではないが、サクラがやりたがっている。
サクラは大きな体になって子供達を抱きしめたいと思っているのだ。
その想いを知っていて、何も言わず何もしない事など俺には無理だ。
「お願します、小さな子供達がとても寂しがっているんです」
子供達の代表は難しい言葉が使えるのだろう。
話す言葉がとても聞き取り易い。
彼女もまだ13歳くらいだろうに、数百人の子供達を代表している。
この孤児院に来ているのは王国直轄領だけの孤児だ。
しかも助けてくれる親族が誰1人いない子だけだ。
それなのに数百人もいるなんて……
「ニャーーーン」
サクラに「早くしてよ」とお願いされてしまった。
「サクラも自分で魔術が使えるじゃないか」という言葉は込みこむ。
俺を1人前にしたいサクラの親心に文句など言えない。
「チェンジキングアイスタイガー」
俺の呪文と同時にサクラがキングアイスタイガーに変化した。
幻影でキングアイスタイガーに見えているだけではない。
本当に身体が大きくなり、姿形が変わっているのだ。
キングアイスタイガーの大きな体なら、十数人に大きな子供が抱きついても大丈夫だし、十数人の小さな子供を柔らかなお腹で抱きしめる事もできる。
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
子供達が一斉にキングアイスタイガーになったサクラに殺到したが、今のサクラならビクともせずに受け止めてやることができる。
「ウォン、ウォン」
野太くなってしまった声で、羨ましそうに見ている小さな子に声をかけている。
多いな子供達が先に抱きついてしまったので、小さな子がサクラに近づけないのだが、それはサクラの本意ではない。
サクラの母性は小さく弱い子に対してこそ強く働いている。
「さあ、小さい子にお腹の方を開けてあげなさい。
大きな子は背中の方に抱きつきなさい」
「「「「「はい」」」」」
俺の言葉に素直に従う子供達が不憫だった。
俺も含めて、俺の記憶にある子供はもっとワガママだった。
この子達は、ワガママが許されない事を身に染みて知っているのだ。
大きな子ほど、辛く哀しい経験が多いのだろう。
こちらが哀しくなってしまうくらい素直にお腹側を空けてくれた。
「ウォーン、ウォーン」
サクラが「貴男もお兄ちゃんなら子供達を抱きしめてあげなさい」と命じてくる。
サクラから見れば、俺もこの子達も同じ子供なのだ。
俺はサクラの長男坊で、この子達は弟妹になるのだ。
思いっきり恥ずかしいが、断る事など絶対にできない。
ここは羞恥心を捨ててやるしかない。
「今から俺も姿を見せるかから、今抱きつけていない子は俺の方に来なさい。
ただし、言っておくがサクラは雌だが俺は雄だからな。
チェンジキングアイスタイガー」
「「「「「うわぁあああああ」」」」」
キングアイスタイガーの姿になった俺の方にも子供達が殺到してきた。
しかし1番年長の子達が上手く順番を守らせて公平に抱きつけるようにしている。
この子達は別に時間を作って抱きしめてあげないといけないな。
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