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第一章
第10話:魔物
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「ネコヤシキ殿、馬車から出られないでください」
場所の外で護衛の騎士達が騒いでいる。
騎士長だと名乗った奴が馬車の中にいる俺に声をかけてくる。
内容から魔物が出たのだとは分かったが、どうすればいいのか分からない。
ステータス的には俺が1番強いのは分かっている。
だがそれは数字だけの事で、心は最弱なのだ。
隠れてやり過ごすことができるのなら、それが1番だ。
俺は恐る恐る馬車の窓から魔物を見てみた。
「ステータスオープン」
「ミアズマドッグ」
瘴体:基礎/レベル10
職業:魔物/レベル3
:HP/10/10
:MP/10/10
注 :瘴気から生まれる魔物
「戦闘スキル」
牙:レベル3
犬のような姿をした魔物が10頭ほどいる。
馬車を護る騎士は22騎いるし、ステータスも魔物より高い。
これなら安心できると思ったのだが、違った。
ミアズマドッグは騎士ではなく馬を狙ったのだ。
それも騎士の脚だけを狙って噛みついていた。
「ヒィヒヒヒヒヒィン」
馬達が痛みに耐えきれずに悲鳴をあげた。
中にはミアズマドッグから逃げようと激しく暴れて棹立ちになる馬までいた。
騎士達も必死で馬を操ろうとしたが、中には失敗する騎士もいる。
そんな騎士は落馬して起きる事ができない。
小説を書く時に調べた事があるが、重い鎧を着た騎士が落馬すると、首の骨を折って死ぬことがあるらしい。
鎌倉幕府を開いた源頼朝も落馬で死んでいたはずだ。
それでも騎士の中には馬を操りミアズマドッグを斃す猛者もいた。
長い槍を上手く操り、的確にミアズマドッグを刺し貫いている。
ステータスを確認した時に、槍術と馬術が比較的高かった騎士だ。
中には弓でミアズマドッグを射抜く騎士もいたが、その騎士は弓術と馬術が比較的高かったと思う。
「ネコヤシキ殿、直ぐに全滅させます、安心していただきたい」
もう1人の騎士長が声をかけてきた。
俺に護衛には近衛騎士隊から20騎が選抜されたと聞いている。
普通の騎士団なら騎士1人に従騎士10人が配下に置かれるのだが、近衛騎士隊は優秀な騎士だけで編制されていると説明があった。
だから騎士長も10人の騎士に1人いる。
20人の騎士だから騎士長も2人だ。
変な競争意識を持ってスキを作らないで欲しいモノだ。
俺の心配など関係なく、馬上に残る優秀な騎士が直ぐに10匹のミアズマドッグを斃したが、瘴気でできている身体は黒い煙となって消えてしまった。
後には何も残らず、倒れた騎士と逃げ損ねた軍馬がいるだけだ。
食用にできる体も残らなければ、ドロップ品もない。
これでは戦っても何も得るモノがない。
魔物に対応するために民の中から兵士が動員されればされるほど、この国で作られる作物の量が減り、食糧難が起きてしまうだろう。
この国の苦しい状況が俺にも理解できた。
「逃げた軍馬は口笛で呼び戻せ。
魔物がいなくなっていたら戻ってくるはずだ」
1人の騎士長が命令している。
「負傷した者は馬車の御者台と後衛台に乗せろ。
乗せきれない負傷者は、荷馬車に乗せるんだ」
もう1人の騎士長が命令している。
負傷者がいるのに俺の馬車に一緒に乗せて欲しいと言わないのは、俺の事を勇者の仲間だと思っているからだろうか。
それとも、心の病で人と一緒にいられないからだろう。
そんな事を思ってしまうと、気持ちが底まで落ち込んでしまう。
「ニャーーーン」
サクラが心配してくれている。
気分を高めないといけないと思うのだが……
場所の外で護衛の騎士達が騒いでいる。
騎士長だと名乗った奴が馬車の中にいる俺に声をかけてくる。
内容から魔物が出たのだとは分かったが、どうすればいいのか分からない。
ステータス的には俺が1番強いのは分かっている。
だがそれは数字だけの事で、心は最弱なのだ。
隠れてやり過ごすことができるのなら、それが1番だ。
俺は恐る恐る馬車の窓から魔物を見てみた。
「ステータスオープン」
「ミアズマドッグ」
瘴体:基礎/レベル10
職業:魔物/レベル3
:HP/10/10
:MP/10/10
注 :瘴気から生まれる魔物
「戦闘スキル」
牙:レベル3
犬のような姿をした魔物が10頭ほどいる。
馬車を護る騎士は22騎いるし、ステータスも魔物より高い。
これなら安心できると思ったのだが、違った。
ミアズマドッグは騎士ではなく馬を狙ったのだ。
それも騎士の脚だけを狙って噛みついていた。
「ヒィヒヒヒヒヒィン」
馬達が痛みに耐えきれずに悲鳴をあげた。
中にはミアズマドッグから逃げようと激しく暴れて棹立ちになる馬までいた。
騎士達も必死で馬を操ろうとしたが、中には失敗する騎士もいる。
そんな騎士は落馬して起きる事ができない。
小説を書く時に調べた事があるが、重い鎧を着た騎士が落馬すると、首の骨を折って死ぬことがあるらしい。
鎌倉幕府を開いた源頼朝も落馬で死んでいたはずだ。
それでも騎士の中には馬を操りミアズマドッグを斃す猛者もいた。
長い槍を上手く操り、的確にミアズマドッグを刺し貫いている。
ステータスを確認した時に、槍術と馬術が比較的高かった騎士だ。
中には弓でミアズマドッグを射抜く騎士もいたが、その騎士は弓術と馬術が比較的高かったと思う。
「ネコヤシキ殿、直ぐに全滅させます、安心していただきたい」
もう1人の騎士長が声をかけてきた。
俺に護衛には近衛騎士隊から20騎が選抜されたと聞いている。
普通の騎士団なら騎士1人に従騎士10人が配下に置かれるのだが、近衛騎士隊は優秀な騎士だけで編制されていると説明があった。
だから騎士長も10人の騎士に1人いる。
20人の騎士だから騎士長も2人だ。
変な競争意識を持ってスキを作らないで欲しいモノだ。
俺の心配など関係なく、馬上に残る優秀な騎士が直ぐに10匹のミアズマドッグを斃したが、瘴気でできている身体は黒い煙となって消えてしまった。
後には何も残らず、倒れた騎士と逃げ損ねた軍馬がいるだけだ。
食用にできる体も残らなければ、ドロップ品もない。
これでは戦っても何も得るモノがない。
魔物に対応するために民の中から兵士が動員されればされるほど、この国で作られる作物の量が減り、食糧難が起きてしまうだろう。
この国の苦しい状況が俺にも理解できた。
「逃げた軍馬は口笛で呼び戻せ。
魔物がいなくなっていたら戻ってくるはずだ」
1人の騎士長が命令している。
「負傷した者は馬車の御者台と後衛台に乗せろ。
乗せきれない負傷者は、荷馬車に乗せるんだ」
もう1人の騎士長が命令している。
負傷者がいるのに俺の馬車に一緒に乗せて欲しいと言わないのは、俺の事を勇者の仲間だと思っているからだろうか。
それとも、心の病で人と一緒にいられないからだろう。
そんな事を思ってしまうと、気持ちが底まで落ち込んでしまう。
「ニャーーーン」
サクラが心配してくれている。
気分を高めないといけないと思うのだが……
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