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第二章

第38話:迎撃準備

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 さて、どうしたものだろうな。
 どのタイミングで俺が直接手を下すべきか。
 襲撃者を殺すだけならいつでもできるが、それでは家臣が育たない。
 傭兵団は叩き直したが、騎士団、徒士団、使用人達はまだ手を付けていない。
 今回の襲撃を許したという事を理由にして、徹底的に鍛錬しよう。

「ヴェルナー様、私が指揮を執りましょうか」

 リヒャルダが心配して声をかけてくれる。
 妊娠している可能性があるから、常に愛を確かめたいから、王都に来てからは一瞬たりとも側から離さないようにしている。
 もしかしたら、少しは俺の側を離れて息抜きしたいのかもしれない。
 だが妊娠しているかもしれないのに、俺の目の届かない所に行かせられない。

「だめだ、絶対に俺の側から離さないぞ」

 身勝手と言われようがリヒャルダが息苦しいと思っていようが関係ない。
 大切なリヒャルダはわずかな危険も冒させない。
 実利的な事を言えば、愛を貯めるにもリヒャルダが必要だ。
 いや、だが、リヒャルダに愛想をつかされたら愛がたまらなくなるな。
 そう考えればあまりリヒャルダに身勝手な事も言えないな。

「はい、わかりました。
 常にヴェルナー様の側にいて御守りします」

 こう言ってくれているから大丈夫だとは思うが、気をつけないといけない。
 身勝手過ぎる愛情は愛想をつかされる原因になる事くらいは、俺にだってわかる。
 ここは真摯な言葉でフォローすべきだな。

「俺はリヒャルダの事を心から愛している。
 もしリヒャルダが俺の為に死んでしまったら、俺も後を追って死ぬ。
 だから絶対に死なないで欲しい。
 俺の為に死のうなんて絶対に考えないでくれ」

「はい、ありがとうございます、ヴェルナー様。
 ヴェルナー様を残して先に死ぬようなことはしません」

「うぅわぁアアアア、追いかけろ、館に行かせるな」

 せっかくいい雰囲気になっていたのに、バカが防衛線を突破されやがった。
 索敵魔術の反応だと、傭兵団が第三防衛線を突破されたようだ。
 最初の攻撃が陽動だと分かっていて、次の攻撃を防ぎきれなかったか。
 索敵魔術の反応を見ても明らかに強い敵が混じっている。
 恐らくだが、強襲陽動部隊には普通の傭兵や兵士を使い、俺を殺す本隊に腕利きの突破役戦士と暗殺者を投入したのだろう。

「俺が直接刺客と対峙するけど心配しないでくれ。
 誰であろうと突破できない防御魔術を三重にかけておくから。
 ここまで来させるのは、敵を生きたまま捕縛して黒幕を白状させるためだから。
 リヒャルダは何も心配しないで俺の後ろを護っていてくれ」

「お任せくださいヴェルナー様。
 どんな敵であろうとヴェルナー様の背後を襲わせません」

 こう言っておかないと、どんなに約束していてもリヒャルダは俺の前に出て盾になろうとしてしまうからな。
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