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第一章

第9話:税の取り立て

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「パパ、たすけて、パパ」

「お待ちください、どうか、どうかお待ちください」

「じゃまするな、この娘を税の代わりに連れて行く」

「そんな、もう四年分の税をお渡ししているではありませんか。
 五年先の税まで払えだなんて、あまりにもひどすぎます」

「やかましい、アーベントロート公爵が決められたのだ。
 逆らう者は殺すぞ」

 もう見ていられない。
 あまりにもひどすぎる。
 ミヒャエルの手先を皆殺しにしてやる。

「フォルカー、リヒャルダ、仮面をつけるのを忘れるなよ」

「「はい」」

「それと二人は隠れてみていろ。
 二人の正体がバレるとクサーヴァとペトロネラが狙われる。
 俺が危険になったときだけ助けにくればいい」

「「はい……」

 トラウゴットとガンビーノには俺の顔を見せて復讐を思い知らせたが、助けた民に俺の顔を覚えられてしまったら、俺が生きている事がバレてしまう。
 全員に復讐する瞬間までは、俺は死んだことになっているほうがいい。
 それに、フォルカーとリヒャルダが生きている事が分かってしまうと、二人の両親が命を狙われるかもしれない。

「まて、五年分もの税を先払いさせるなんてひどすぎるぞ。
 しかもまだ幼い子供を奴隷にしようとするなど人のやることじゃない。
 民を、女子供を苦しめるような奴はぜったいにゆるさねぇえ。
 てめえら人間じゃねぇえ、ぶち殺してやる」

「お前は何者だ!
 あ、ガンビーノ様を殺した盗賊だな。
 殺せ、盗賊を殺せば公爵が金をくれるぞ」

 バカが、まったく剣術の訓練をしていない奴に俺が負けるかよ。
 そんな遅い動きで俺を殺せるわけがないぞ。

「ウギャアッ」

 トラウゴットやガンビーノのような、家族の前で娘や妻をなぶり者にした者は、同じようになぶり殺しにするが、こいつらは一撃で心臓を貫く。
 どれほど数が多くてもかんたんに勝てるが、まだ幼い子供たちが見ている。
 子供たちが悪夢を見ないように、きれいに殺さないとな。

「ウギャアッ」

 俺が本気で戦えば、百人程度の兵士なんて二分もかからずに殺せる。

「うわぁああああん、パパ、パパ、パパ」

「ありがとうございます、ありがとうござます。
 おかげさまで娘を奴隷にされずにすみました」

「いや、いや、人間として当然のことをしただけだよ」

「でもあなた、公爵家に逆らってどうやっていきていくの。
 また公爵家の兵がやってくるわ。
 シルバーマスク様の助けがいつも間に合うとは限らないわよ」

 おい、おい、おい、いつの間にか俺の事をシルバーマスクと呼んでるぞ。
 確かに銀のマスクをして民を助けていたけど、安直すぎるだろう。
 だが女の言う通りだ、いつも俺が助けにこられるとはかぎらない。

 大賢者、この民を助ける方法を教えろ

 ピロロロロ

 お金を渡して他国に逃がします。
 愛が10612になりました。
 
 大賢者、お金を手に入れる方法を教えろ

 ピロロロロ

 魔術で宝石を創りだします。
 愛が10611になりました。
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