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第三章:謀略
第52話:突き
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1627年11月3日:江戸城中奥:柳生左門友矩14歳
「左門、ああああ、もっと、もっと強く痛くして!」
もっと強く痛くしてと言いながら、上様の方が積極的だ。
拙者を上向きにさせておいて、上様が積極的に乗ってこられた。
更に上体を倒して口を吸われるのだ。
俗にいう本茶臼という睦み合いなのだが、上様の状態が良くなっている。
最初は常にけつを差し出して責められる事を好まれていた。
それが今では自分から攻める事が好きになられた。
このまま受けから立ちになっていただければ、最悪の状態からは逃れられる。
攻める事が快感になれば、女性ともできるようになるかもしれない。
女性に張り型を持たせて互いに攻めさせれば、あるいは……
「左門、私だけに任せないで!」
慌ててはいけない、今は上様から攻められるようになられたのを喜ぶのだ。
下手に急いで逆戻りしてしまったら何の意味もない。
今は互いに攻め合う事に集中するのだ。
「くぅううううう、いい、いい、痛くてすごくいい!」
快感を伴う痛みか……拙者も頭が痛い。
大御台所様の死を暴き、大御所様を捕らえるのに大きな貢献をした。
その事に間違いはないし、褒美ももらって当然なのだが、あまりに多過ぎる。
一番強敵であろう尾張徳川家を見張れという意味なのは分かる。
だが、だからと言って、取り潰した美濃高須藩五万三千七百石全てを加増するのはやり過ぎだ。
これがまだ出羽上山藩四万石から一万三千七百石加増を受けての転封なら分かる。
美濃高須藩五万三千七百石分を丸々加増するのは、総目付である父上の功績を併せたとして、幾ら何でもやり過ぎだ。
「あっ、あっ、あっ、あっ、ちょうだい、早く頂戴」
上様が腰を激しく揺さぶられる。
拙者も奉仕したいのだが、望まれる前にやると拒絶されてしまう。
ようやくけつで受け入れるだけでなく、陽棍に奉仕される事も認められるようになったのだから、慌てて台無しにしてはいけない!
完全受けから脱却させた全小姓の努力を、拙者が無にするわけにはいかない。
「あああああ!」
上様が拙者の上に突っ伏された。
気を失ってしまわれたのかもしれない。
これで拙者も少し休む事ができる。
領主となった以上、衆道や小姓の務めだけに集中する事などできない。
水害の多い美濃高須藩を預かるのは結構大変なのだ。
国入りできるのなら直接見て差配もできるのだが、上様が側を離れるのを許してくださらないから、家臣に任せるしかない。
陪臣でしかない者達だと、隣接する大名からの嫌がらせに抵抗できない事がある。
美濃高須藩が隣接しているのは尾張徳川家だ。
将軍の座を狙っている尾張徳川家だから、上様の寵愛を受けている衆道小姓としては、とても難しい対応に迫られる。
恐らく上様は、尾張藩から拙者に手を出させて戦の大義名分を手に入れる気だ。
上様から見れば正当な大義名分でも、大名旗本は同じように思わない。
拙者が上様の寵臣で、非常識な出世をしている事は誰でも知っているのだ。
寵臣への過剰な愛情による理不尽な宣戦布告だと思われてしまう。
尾張徳川家から見れば、拙者は総目付となった柳生但馬守の次男で、上様の耳目となるべく藤堂和泉守から多数の伊賀者を譲り受けている。
尾張藩を調べて取り潰すために、隣接する美濃高須藩五万三千七百石を与えられたと警戒するのが当然だ。
いや、単に警戒するだけでなく、何かあれば難癖をつけて攻め滅ぼす。
気の強い尾張大納言ならそれくらいの事は平気でやる。
今尾張大納言と尾張藩を自重させているのは藤堂和泉守だ。
東照神君が心から信じ、徳川家の先陣を務めさせると断言された藤堂家だ。
大阪の豊臣を滅ぼした後は、尾張徳川家と紀伊徳川家の監視役でもある。
両徳川家が将軍家に謀叛を企てようとしても、紀伊徳川家は藤堂和泉守を滅ぼさなければ紀伊から江戸に進軍する事ができない。
尾張徳川家も将軍家に謀叛を企てる場合は背後に藤堂和泉守がいる。
江戸の進軍しようとしたら、留守にした尾張を藤堂和泉守に攻め落とされる。
両家の間に藤堂和泉守がいる限り、どちらかが藤堂和泉守に備えなければならず、競争相手が江戸を滅ぼし将軍に成るのを指をくわえて眺める事になる。
いや、藤堂和泉守に攻め滅ぼされているかもしれないのだ。
だから普通なら絶対に将軍の座を狙っている両家が手を結ぶことはない。
しかしながら、ここに駿河大納言様が加わると違ってくる。
尾張か紀伊が藤堂和泉守を抑え、駿河大納言様と江戸の攻め込む事ができる。
駿河大納言様だけなら忠輝公が抑えて下さるだろう。
箱根の関を越させるような事はないだろう。
だが駿河大納言様と尾張大納言が手を組み、江戸に攻め込んで来たら……
それを恐れての美濃高須藩五万三千七百石なのだろう。
尾張藩の十分の一に過ぎない領地ではあるが、多くの伊賀者を抱えている。
合戦になれば乱暴狼藉で尾張藩をきりきり舞いさせてやれる。
尾張大納言に本拠地の混乱を見捨てて江戸に進む決断力があるか?
拙者の伊賀者だけでなく、藤堂和泉守の伊賀者も加わるのだ。
そう簡単に追い詰められた駿河大納言様に味方する事はできないだろう。
「左門、何を休んでいるの?
もっとよ、もっと激しく責めて!
左門が痛くしてくれないのなら、堀田か酒井にしてもらうわよ!」
上様が小狡くなられた。
以前はしりを差し出してひたすら哀願されるだけだったのに、今では堀田と酒井の名前を出して要求をするようになられた。
「しかたありませんね、もう少しだけですよ。
これ以上やったら上様の腸を突き破ってしまいます」
「突き破ってもいいからもっと強く痛くして頂戴!」
「左門、ああああ、もっと、もっと強く痛くして!」
もっと強く痛くしてと言いながら、上様の方が積極的だ。
拙者を上向きにさせておいて、上様が積極的に乗ってこられた。
更に上体を倒して口を吸われるのだ。
俗にいう本茶臼という睦み合いなのだが、上様の状態が良くなっている。
最初は常にけつを差し出して責められる事を好まれていた。
それが今では自分から攻める事が好きになられた。
このまま受けから立ちになっていただければ、最悪の状態からは逃れられる。
攻める事が快感になれば、女性ともできるようになるかもしれない。
女性に張り型を持たせて互いに攻めさせれば、あるいは……
「左門、私だけに任せないで!」
慌ててはいけない、今は上様から攻められるようになられたのを喜ぶのだ。
下手に急いで逆戻りしてしまったら何の意味もない。
今は互いに攻め合う事に集中するのだ。
「くぅううううう、いい、いい、痛くてすごくいい!」
快感を伴う痛みか……拙者も頭が痛い。
大御台所様の死を暴き、大御所様を捕らえるのに大きな貢献をした。
その事に間違いはないし、褒美ももらって当然なのだが、あまりに多過ぎる。
一番強敵であろう尾張徳川家を見張れという意味なのは分かる。
だが、だからと言って、取り潰した美濃高須藩五万三千七百石全てを加増するのはやり過ぎだ。
これがまだ出羽上山藩四万石から一万三千七百石加増を受けての転封なら分かる。
美濃高須藩五万三千七百石分を丸々加増するのは、総目付である父上の功績を併せたとして、幾ら何でもやり過ぎだ。
「あっ、あっ、あっ、あっ、ちょうだい、早く頂戴」
上様が腰を激しく揺さぶられる。
拙者も奉仕したいのだが、望まれる前にやると拒絶されてしまう。
ようやくけつで受け入れるだけでなく、陽棍に奉仕される事も認められるようになったのだから、慌てて台無しにしてはいけない!
完全受けから脱却させた全小姓の努力を、拙者が無にするわけにはいかない。
「あああああ!」
上様が拙者の上に突っ伏された。
気を失ってしまわれたのかもしれない。
これで拙者も少し休む事ができる。
領主となった以上、衆道や小姓の務めだけに集中する事などできない。
水害の多い美濃高須藩を預かるのは結構大変なのだ。
国入りできるのなら直接見て差配もできるのだが、上様が側を離れるのを許してくださらないから、家臣に任せるしかない。
陪臣でしかない者達だと、隣接する大名からの嫌がらせに抵抗できない事がある。
美濃高須藩が隣接しているのは尾張徳川家だ。
将軍の座を狙っている尾張徳川家だから、上様の寵愛を受けている衆道小姓としては、とても難しい対応に迫られる。
恐らく上様は、尾張藩から拙者に手を出させて戦の大義名分を手に入れる気だ。
上様から見れば正当な大義名分でも、大名旗本は同じように思わない。
拙者が上様の寵臣で、非常識な出世をしている事は誰でも知っているのだ。
寵臣への過剰な愛情による理不尽な宣戦布告だと思われてしまう。
尾張徳川家から見れば、拙者は総目付となった柳生但馬守の次男で、上様の耳目となるべく藤堂和泉守から多数の伊賀者を譲り受けている。
尾張藩を調べて取り潰すために、隣接する美濃高須藩五万三千七百石を与えられたと警戒するのが当然だ。
いや、単に警戒するだけでなく、何かあれば難癖をつけて攻め滅ぼす。
気の強い尾張大納言ならそれくらいの事は平気でやる。
今尾張大納言と尾張藩を自重させているのは藤堂和泉守だ。
東照神君が心から信じ、徳川家の先陣を務めさせると断言された藤堂家だ。
大阪の豊臣を滅ぼした後は、尾張徳川家と紀伊徳川家の監視役でもある。
両徳川家が将軍家に謀叛を企てようとしても、紀伊徳川家は藤堂和泉守を滅ぼさなければ紀伊から江戸に進軍する事ができない。
尾張徳川家も将軍家に謀叛を企てる場合は背後に藤堂和泉守がいる。
江戸の進軍しようとしたら、留守にした尾張を藤堂和泉守に攻め落とされる。
両家の間に藤堂和泉守がいる限り、どちらかが藤堂和泉守に備えなければならず、競争相手が江戸を滅ぼし将軍に成るのを指をくわえて眺める事になる。
いや、藤堂和泉守に攻め滅ぼされているかもしれないのだ。
だから普通なら絶対に将軍の座を狙っている両家が手を結ぶことはない。
しかしながら、ここに駿河大納言様が加わると違ってくる。
尾張か紀伊が藤堂和泉守を抑え、駿河大納言様と江戸の攻め込む事ができる。
駿河大納言様だけなら忠輝公が抑えて下さるだろう。
箱根の関を越させるような事はないだろう。
だが駿河大納言様と尾張大納言が手を組み、江戸に攻め込んで来たら……
それを恐れての美濃高須藩五万三千七百石なのだろう。
尾張藩の十分の一に過ぎない領地ではあるが、多くの伊賀者を抱えている。
合戦になれば乱暴狼藉で尾張藩をきりきり舞いさせてやれる。
尾張大納言に本拠地の混乱を見捨てて江戸に進む決断力があるか?
拙者の伊賀者だけでなく、藤堂和泉守の伊賀者も加わるのだ。
そう簡単に追い詰められた駿河大納言様に味方する事はできないだろう。
「左門、何を休んでいるの?
もっとよ、もっと激しく責めて!
左門が痛くしてくれないのなら、堀田か酒井にしてもらうわよ!」
上様が小狡くなられた。
以前はしりを差し出してひたすら哀願されるだけだったのに、今では堀田と酒井の名前を出して要求をするようになられた。
「しかたありませんね、もう少しだけですよ。
これ以上やったら上様の腸を突き破ってしまいます」
「突き破ってもいいからもっと強く痛くして頂戴!」
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