婚約破棄追追放 神与スキルが謎のブリーダーだったので、王女から婚約破棄され公爵家から追放されました

克全

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第1章

第3話:ブリーダー

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「ステイタス・オープン」

 今日五度目のステイタス確認だ。
 俺の知る限り、この世界の人達はステイタス表を知らない。
 前世でアニメや小説の知識がある、俺だけが知っているのだと思う。

 いや、俺以外にも転生者がいるのなら知っているかもしれない。
 だが、よほどの馬鹿でない限り、転生者である事は秘密にする。
 秘密にして、できるだけ安全を確保したうえで前世の知識を利用する。

「パラメーター1:基本設定」

種族:汎人族
性別:男
年齢:15歳
体格:並
容姿:並

「パラメーター2:能力」

筋力 :69:筋力に関する適性で物理な攻撃や防御、力仕事などに影響
体力 :78:持続力に関する適性でスタミナや耐久力などに大きな影響
知力 :89:知性に関する適性で魔法の習得速度や成功率に大きな影響
精神力:88:精神に関する適性で魔力、精霊力、聖邪力などに影響。
器用 :19:器用さに関する適性で命中率、素早さ、特殊能力取得などに影響
魅力 :34:好悪に影響して精霊魔術の習得や成功率、交渉の成功率に影響
信仰心:01:信心に関する適性で神聖魔術の習得や成功率などに影響

「パラメーター3:魔術属性」

陰属性:01:
陽属性:99:
木属性:00:
火属性:00:
土属性:00:
金属性:00:
水属性:99:

「パラメーター4:感覚力」

視覚:68:目に映るものを判別する能力と適性。
音覚:01:音を判別する能力と適性。
触覚:99:触れたものを判別する能力と適性。
味覚:99:味を判別する能力と適性。
嗅覚:99:匂いを判別する能力と適性。
六感:99:魔力などエネルギーを判別する能力と適性

「パラメーター6:神与スキル」

【ブリーダー】テイマーの最上位スキル
【ブリーディング・アイ】最高の繁殖組み合わせを見抜く

 ★★★★★★

「【ブリーディング・アイ】」

 愛竜に跨った状態で、愛竜と厩舎にいる竜達との相性を確認する。
 冒険者ギルドで飼われていたり預けられたりしている竜達との相性を診る。
 劣等血統か並血統しかいない、良血統や優良血統がいない。

 ブリーダーのスキルは戦闘力がない、ないが、もの凄くロマンがある。
 少しでも競馬をした事のある人間なら、繁殖して良い馬を生ませたいと思う。
 俺も……前世で競走馬育成ゲームにのめり込んで廃人になりかけた。

 だから、ブリーダースキルを神与される前から密かに軍竜を育てていた。
 迷ったが、馬よりも竜の方が強くてステイタスも高いから馬ではなく竜を飼った。
 軍竜は一頭三千万アル、大雑把な計算だが日本円に直すと三十億円はする。

 だからこそ、手元に置けない状態では何時誰に盗まれるか分からない。
 少々の騎士や冒険者よりも軍竜の方が強いのだが、竜専門の盗人がいる。
 日本円で三十億もするのだ、命懸けで狙う奴がいるのは当然だ。

 だが、ブリーディング・アイで確認した範囲では、同等の子供を得るのも難しい。
 五年間手塩にかけて訓練してきたから強くなった軍竜だ、元の血統は悪い。
 繁殖に使うには血筋が悪いのだろう。

 とはいえ、今は買った時の二百倍もの価値になっている。
 軍用ではない普通に乗るだけの乗竜や調教されていない駄竜とは桁が違う。
 この価値を維持するためにも、良い繁殖相手を見つけないといけない。

 商業ギルドの厩舎でもブリーディング・アイを使っている。
 その時も九割は劣等血統で一割が並血統だった。
 繁殖させたら九割の確率で親よりも劣る子供が生まれるのだから、笑ってしまう。

 何よりも笑ってしまうのは、ブリーディング・アイが人間にも使える事だ。
 廃人の一歩手前までゲームにのめり込んだ事がある俺だ。
 神与スキルを与えられたら、色々試すのは当たり前だろう?

 ブリーダースキルが獣や竜専用だと誰が言った?
 人間に使えるのか試してみない方がおかしい。
 王城で失意に落ち込んでいるように見せかけて、多くの人で試した。

 先ずは自分に使えるか試したが、当たり前のように使えた。
 王城にいた貴族達との相性は、九割は劣等血統で一割が並血統だった。
 この世界は代を重ねるほど子供が劣化するのか?

 婚約破棄された俺を慰めてくれる、同病相憐れむ者達の手を取って試した。
 相手に触ってブリーディング・アイを使うと、相手を主に周りにいる人間との繁殖相性、生まれてくる子供の優劣が分かるのだから、とても便利だ。

 誰にも触れずにリーディング・アイを使うと、自分の繁殖相性が分かる。
 竜や家畜を繁殖させるのなら最高のスキルだが……
 心から愛した人と劣血統だったら……子供を作るのが怖くなる。

 冒険者ギルドの厩舎を出て港への道を進む。
 受付の男に言ったように、船でアルへシラス王国に行くように見せかける。
 だが実際には港の手前で東に向かう。

 狭い船の中で乗組員全員に襲われたら確実に殺される。
 精強無比の愛竜達でも、小さな船の上では十分戦えない。
 まして狭くて身動きできない船倉では、十分な力を発揮できない。

 悪知恵の働く異母兄に、国で二番目に権力がある王太女が力を貸しているのだ。
 王侯貴族と国民の大半が敵の回るのは確実だ。
 俺を嫌っていなくても、賞金を積まれたら罪悪感無しに襲って来る。

 船主や船員は買収されているだろう。
 船に乗らなければ海を渡れないから、船主や船員を抑えれば狙った相手、俺を確実に殺せるのだから当然だ。

 魔海の魔獣や魔魚、海竜の相手をしている船員は下手な騎士や兵士よりも強い。
 普通は王侯貴族が相手でも自分達の規範を守って行動する。
 海の男の誇りにかけて王侯貴族の言い成りにはならない。

 だが、タリファ王国だけは敵に回せないのだ。
 海の男の誇りをドブに捨ててでも、タリファ王国とは正面から争えない。

 争ったら、商船の大動脈である東西の海路が閉ざされてしまうのだ!
 タリファ王国の沿岸が通れなくなると、魔海の魔魚や海竜の餌食になる。
 だから、海の男の誇りを泥にまみれさせてもジェフリーズ王家には逆らえない。

 一番魔境が薄く、生きて突破できる可能性が高い西側には多数の敵がいるだろう。
 貴族スキルを持った者が隊を組んでようやく突破できる北側も、少しは見張りがいるだろうが、東側は何の警戒もしていない、事前に調べているから間違いない。

 国民六万人の小国、タリファ王国の騎士団が突破できないだけではない。
 近隣で最強最大の軍事国家、国民三十万人のアルへシラス王国の騎士団が、大損害を出してタリファ王国侵攻を諦めた、それくらい恐ろしい場所、それが大魔境だ。

「よし、行くぞ」

「「「「「クルルルルル!」」」」」

 六頭の軍竜がそろって返事をしてくれる。
 俺が持つ最も価値のあるモノ、それが軍竜だ。
 雄一頭に雌が五頭、若くて安い竜を買って俺が育てた。

 最初に手に入れ、手塩にかけた育てた軍竜が雄だった。
 金銭的に厳しかったが、思い切って有り金全部はたいて手に入れた。
 公爵邸を抜けだして大魔境に狩りに入る時は常に一緒だった。

 運が良かったのか、初めて買った若くて安い竜は予想外に優秀だった。
 値段の割に買った時から優秀で、俺の狩りが一気に楽になり、若竜を買うのに支払った大金を直ぐに取り返しただけでなく、雌の若竜を買えるくらい稼げた。

「竜が追いかけてきたぞ、一気に引き離すぞ」

「「「「「クルルルルル!」」」」」
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