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第六章

第77話:無尽蔵

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 正直な話、この世界の神の力が測れない。
 孤児院を襲うダンジョンモンスターの数が全く減らない。
 二十四時間絶え間なく襲い掛かってくる。
 もしかしたらこの世界の神は俺よりも魔力量があるのかもしれない。
 そう思ってしまったら、溢れ出てくる不安に居ても立っても居られない。
 だからどうしても行動がとても慎重になってしまう。

 だから今まで試してこなかった事をやってみた。
 魔核、魔石や魔晶石と呼ばれる魔力を貯めておくモノだ。
 普通は魔獣や魔族と呼ばれるモノを殺して手に入れる。
 今もいくら狩っても無尽蔵に湧いてくるモンスター斃して手に入れている。
 今の状態なら魔石や魔晶石程度ならいくらでも手に入る。
 魔力も魔法袋化した魔力器官に全部蓄えている。

 だがそれだけでは安心できないのだ。
 俺だけが無尽蔵の魔力を持っていても、二カ所同時には存在できない。
 俺だけならミュンを最優先して他を切り捨てればいい。
 だけどそれではミュンの心が壊れてしまうかもしれない。
 優し過ぎるミュンは、自分以外の者が殺されることに耐えられないかもしれない。

 だから守れる人間は全部守らなければいけない。
 切り捨てたいが切り捨てられない人間がいる。
 ここのいる孤児や冒険者達がそうだ。
 最初は俺が個人的な正義感を満たすために助けたのが始まりだ。
 俺が助けなければとうの昔に殺されていた連中だ。
 だから自分の力が及ばなければ切り捨てる事に躊躇はない。
 だがミュンが哀しみ心を痛めるのなら見殺しにはできない。

 それでもミュンを助けるためにどうしても必要ならば切り捨てる。
 しかしその前にできる限りの努力をしなければいけない。
 心痛めるミュンの姿を見てしまったら、俺の豆腐メンタルが壊れてしまう。
 他の者を見捨てても平気でいられるのに、ミュンだけは別格なのだ。
 何故こんなにミュンの虜になってしまったのか自分に問いかけてみた。

 答えはとても簡単だった。
 自分がどうしても手に入れたかった理想の姿、それがミュンなのだ。
 全く損得を考えずに正義を貫くことができる性格。
 無償の愛で自分を投げ捨てて他人を助けることができる。
 俺が成りたくても成れない理想の人間、それがミュンなのだ。
 だからこそミュンのためなら何でもしてあげたくなる。

 今まで手に入れた中で最大の魔宝石と同じ物を創り出す。
 その為の試行錯誤を厭わない。
 一つ目の方法は鉱石、宝石を創り出す時に一緒に魔力を込めてみる。
 二つ目の方法は捕らえた魔獣に魔力を流して魔力器官に魔力を貯めさせる。
 三つ目の方法は捕らえた魔獣の魔力器官を半分だけ切り取って、残った魔力器官が元の大きさまで戻るか試してみる。
 四つ目の方法は屑魔石を融合させて魔晶石や魔宝石に変化させてみる。
 試行錯誤は成果をあげた。
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