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第六章
第74話:属性竜・マイケル視点
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俺達はブルーノさんのお陰で生きていられている。
それが分かっていたら、身勝手な理由でブルーノさんから離れらるはずがない。
だが中には恩知らずな人間もいる。
ブルーノさんから魔剣や魔槍を貸してもらって強くなったのに、桁外れに強くなった自分の力に勘違いした奴がいた。
それほど多いわけではないが、十人少しの連中が孤児院から出ていった。
正確にはダンジョンに狩りに行ったまま戻って来なかったのだ。
まあ、そう言う俺も少しは誘惑された。
だがほんの少しだけで、直ぐに恩知らずにはならないと思えた。
それに、この時期にブルーノさんの側を離れるほど馬鹿ではない。
神が人間に天罰を下そうとしているのだ。
ダンジョン都市の守りが幾ら堅いからと言っても、ブルーノさんの守護よりも強いとはとても思えない。
もし大魔境の属性竜や純血竜が現れたら、ダンジョン都市の守りも簡単に破られると思うのだ。
実際にブルーノさん一人で、セシル城伯の領都城壁どころか更に奥にある領城城壁まで破壊されているのだ。
クレイヴン城伯のダンジョンを守っている領都城壁など簡単に突破されてしまう。
戻って来ない連中はそんな事も分からない馬鹿なのだ。
「お前達は少し後ろに下がっていなさい。
直ぐに属性竜がここにやってくる」
「え、ブルーノさんがなんで、それに、属性竜ですか」
いつの間にか横にブルーノさんが立っていた。
あまりの驚きに口から心臓が飛びだしそうになった。
冒険者達の間では、ブルーノさんは転移魔術が使えるのではないかと、半ば冗談のように噂されていたが、本当に転移魔術が使えたのだ。
だが今の問題はそんな事ではない。
そんな事以上の驚きと恐怖の存在が目の前に現れた。
俺達のような駆けだし冒険者は噂でしか聞いた事のない姿。
地上型の属性竜が魂を凍り付かせるほどの恐ろしい雄叫びをあげてやってきた。
ブルーノさんが自分達の前にいてくださらなかったら、その場にへたり込んでい失禁していただろう。
そう確信できるくらい強大な存在が目の前で雄叫びをあげている。
何か壁があるのか、見えない壁に向かって爪をたて牙で噛みつこうとしている。
人間ではとても勝てない強大な存在を、属性竜をとどめる見えない壁。
そんなモノを創り出せるのはブルーノさんしかいない。
そのブルーノさんがいてくれるからこそ、固まっているとはいえ立っていられる。
それは俺だけではなくこの場にいる者全員だ。
「よく見ておくんだ、この境界から外にはこの属性竜以上に強いモノもいる。
俺の護りはこの境界までしかないからな。
だからこの境界から外には絶対にでるんじゃないぞ」
出ない、絶対に出ない。
それが分かっていたら、身勝手な理由でブルーノさんから離れらるはずがない。
だが中には恩知らずな人間もいる。
ブルーノさんから魔剣や魔槍を貸してもらって強くなったのに、桁外れに強くなった自分の力に勘違いした奴がいた。
それほど多いわけではないが、十人少しの連中が孤児院から出ていった。
正確にはダンジョンに狩りに行ったまま戻って来なかったのだ。
まあ、そう言う俺も少しは誘惑された。
だがほんの少しだけで、直ぐに恩知らずにはならないと思えた。
それに、この時期にブルーノさんの側を離れるほど馬鹿ではない。
神が人間に天罰を下そうとしているのだ。
ダンジョン都市の守りが幾ら堅いからと言っても、ブルーノさんの守護よりも強いとはとても思えない。
もし大魔境の属性竜や純血竜が現れたら、ダンジョン都市の守りも簡単に破られると思うのだ。
実際にブルーノさん一人で、セシル城伯の領都城壁どころか更に奥にある領城城壁まで破壊されているのだ。
クレイヴン城伯のダンジョンを守っている領都城壁など簡単に突破されてしまう。
戻って来ない連中はそんな事も分からない馬鹿なのだ。
「お前達は少し後ろに下がっていなさい。
直ぐに属性竜がここにやってくる」
「え、ブルーノさんがなんで、それに、属性竜ですか」
いつの間にか横にブルーノさんが立っていた。
あまりの驚きに口から心臓が飛びだしそうになった。
冒険者達の間では、ブルーノさんは転移魔術が使えるのではないかと、半ば冗談のように噂されていたが、本当に転移魔術が使えたのだ。
だが今の問題はそんな事ではない。
そんな事以上の驚きと恐怖の存在が目の前に現れた。
俺達のような駆けだし冒険者は噂でしか聞いた事のない姿。
地上型の属性竜が魂を凍り付かせるほどの恐ろしい雄叫びをあげてやってきた。
ブルーノさんが自分達の前にいてくださらなかったら、その場にへたり込んでい失禁していただろう。
そう確信できるくらい強大な存在が目の前で雄叫びをあげている。
何か壁があるのか、見えない壁に向かって爪をたて牙で噛みつこうとしている。
人間ではとても勝てない強大な存在を、属性竜をとどめる見えない壁。
そんなモノを創り出せるのはブルーノさんしかいない。
そのブルーノさんがいてくれるからこそ、固まっているとはいえ立っていられる。
それは俺だけではなくこの場にいる者全員だ。
「よく見ておくんだ、この境界から外にはこの属性竜以上に強いモノもいる。
俺の護りはこの境界までしかないからな。
だからこの境界から外には絶対にでるんじゃないぞ」
出ない、絶対に出ない。
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