110 / 127
第三章
第110話:凋落の元勇者ロイド
しおりを挟む
「グッハッア、毒か、口に毒を仕込んでやがったのか。
腐れ女が外道な真似しやがって」
ロイドは自分の事を棚に上げて罵り声をあげていた。
局部を喰い千切られ、そこから猛毒が身体中に流れ込んでいた。
このままでは確実に死ぬ、そう言う状況に追い込まれていた。
「くそ、クソ、糞、これも効かねぇのかよ。
エルナ、どこにいるエルナ、さっさと俺様を治しやがれ」
猜疑心の強いロイドは武器と解毒剤は肌身離さず持っていた。
だが効果が強く汎用性のあるはずの解毒剤がどれも効果を表さない。
刺客を放った者は特殊な毒を使っていたのだ。
南部でもごく限られ地域でしか取れない特殊な毒だった。
だからロイドは手持ちの体力回復薬を飲んで時間稼ぎをしつつ、聖女を騙る治癒術士のエルナを探していた。
「なによ、今日は女どもを手懐ける日でしょ。
私に構ってないで向うで……
キャアアアア、ロイド、ロイド、ロイド」
最初はロイドの姿も見ずに嫉妬丸出しで話していたエルナだった。
だがあまりにロイドの様子がおかしいので視線を向けた。
そこには局所を噛み千切られ毒に犯され、脂汗を流すロイドがいた。
エルナは直ぐに解毒魔術を使った。
だがエルナの魔術では一度で全て毒に対応はできなかった。
二度三度四度と色んな解毒魔術を使うことになった。
直ぐに効果を表さないので、途中で体力回復の魔術を使う必要もあった。
ようやく多少効果がある解毒魔術が分かったが、それも一度では効果がなかった。
二度三度四度と同じ魔術を使わなければいけなかった。
ロイドはエルナの能力不足に苛立っていた。
アセリカなら一度で解毒を成功させていただろう。
いつもならそんな感情を表情に出すようなロイドではない。
だが昔からの仲間四人に裏切られ苛立っていた。
媚薬で完全に支配していたはずの女に殺されかけた。
そんな状況がロイドを精神的に追い込んでいたのだろう。
「なによ、そんな顔して、私がいなければ死んでいたのよ。
この恩知らず、なんだかんだ言って、私とアセリカを比べているんでしょう」
まだ毒が残っていたのか、それとも痛みと苦しみの所為か、ロイドは湧き上がる怒りを抑えられなかった。
アセリカと比べて苛立っていた事を言い当てられたからかもしれない。
まだ局所の治療が完治していないのに我慢できなかった。
「やかましいわ、この役立たずが」
ロイドは持っていた剣でエルナを斬り殺してしまった。
頭から股にかけて一刀両断していた。
これがロイドの支配を崩壊させてしまった。
ロイドが血塗れ姿でエルナを探し回る姿は、四将軍に裏切られ著しく低下していたロイドの信用を地の底まで落として。
その状態で最後に残った勇者パーティーのエルナを自分の手で斬り殺したのだ。
ロイドが支配する城と都市に残っていた将兵にもう駄目だと思わせてしまった。
彼らは一斉に城から逃げだした。
腐れ女が外道な真似しやがって」
ロイドは自分の事を棚に上げて罵り声をあげていた。
局部を喰い千切られ、そこから猛毒が身体中に流れ込んでいた。
このままでは確実に死ぬ、そう言う状況に追い込まれていた。
「くそ、クソ、糞、これも効かねぇのかよ。
エルナ、どこにいるエルナ、さっさと俺様を治しやがれ」
猜疑心の強いロイドは武器と解毒剤は肌身離さず持っていた。
だが効果が強く汎用性のあるはずの解毒剤がどれも効果を表さない。
刺客を放った者は特殊な毒を使っていたのだ。
南部でもごく限られ地域でしか取れない特殊な毒だった。
だからロイドは手持ちの体力回復薬を飲んで時間稼ぎをしつつ、聖女を騙る治癒術士のエルナを探していた。
「なによ、今日は女どもを手懐ける日でしょ。
私に構ってないで向うで……
キャアアアア、ロイド、ロイド、ロイド」
最初はロイドの姿も見ずに嫉妬丸出しで話していたエルナだった。
だがあまりにロイドの様子がおかしいので視線を向けた。
そこには局所を噛み千切られ毒に犯され、脂汗を流すロイドがいた。
エルナは直ぐに解毒魔術を使った。
だがエルナの魔術では一度で全て毒に対応はできなかった。
二度三度四度と色んな解毒魔術を使うことになった。
直ぐに効果を表さないので、途中で体力回復の魔術を使う必要もあった。
ようやく多少効果がある解毒魔術が分かったが、それも一度では効果がなかった。
二度三度四度と同じ魔術を使わなければいけなかった。
ロイドはエルナの能力不足に苛立っていた。
アセリカなら一度で解毒を成功させていただろう。
いつもならそんな感情を表情に出すようなロイドではない。
だが昔からの仲間四人に裏切られ苛立っていた。
媚薬で完全に支配していたはずの女に殺されかけた。
そんな状況がロイドを精神的に追い込んでいたのだろう。
「なによ、そんな顔して、私がいなければ死んでいたのよ。
この恩知らず、なんだかんだ言って、私とアセリカを比べているんでしょう」
まだ毒が残っていたのか、それとも痛みと苦しみの所為か、ロイドは湧き上がる怒りを抑えられなかった。
アセリカと比べて苛立っていた事を言い当てられたからかもしれない。
まだ局所の治療が完治していないのに我慢できなかった。
「やかましいわ、この役立たずが」
ロイドは持っていた剣でエルナを斬り殺してしまった。
頭から股にかけて一刀両断していた。
これがロイドの支配を崩壊させてしまった。
ロイドが血塗れ姿でエルナを探し回る姿は、四将軍に裏切られ著しく低下していたロイドの信用を地の底まで落として。
その状態で最後に残った勇者パーティーのエルナを自分の手で斬り殺したのだ。
ロイドが支配する城と都市に残っていた将兵にもう駄目だと思わせてしまった。
彼らは一斉に城から逃げだした。
0
お気に入りに追加
210
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
追放された聖女の悠々自適な側室ライフ
白雪の雫
ファンタジー
「聖女ともあろう者が、嫉妬に狂って我が愛しのジュリエッタを虐めるとは!貴様の所業は畜生以外の何者でもない!お前との婚約を破棄した上で国外追放とする!!」
平民でありながらゴーストやレイスだけではなくリッチを一瞬で倒したり、どんな重傷も完治してしまうマルガレーテは、幼い頃に両親と引き離され聖女として教会に引き取られていた。
そんな彼女の魔力に目を付けた女教皇と国王夫妻はマルガレーテを国に縛り付ける為、王太子であるレオナルドの婚約者に据えて、「お妃教育をこなせ」「愚民どもより我等の病を治療しろ」「瘴気を祓え」「不死王を倒せ」という風にマルガレーテをこき使っていた。
そんなある日、レオナルドは居並ぶ貴族達の前で公爵令嬢のジュリエッタ(バスト100cm以上の爆乳・KかLカップ)を妃に迎え、マルガレーテに国外追放という死刑に等しい宣言をしてしまう。
「王太子殿下の仰せに従います」
(やっと・・・アホ共から解放される。私がやっていた事が若作りのヒステリー婆・・・ではなく女教皇と何の力もない修道女共に出来る訳ないのにね~。まぁ、この国がどうなってしまっても私には関係ないからどうでもいいや)
表面は淑女の仮面を被ってレオナルドの宣言を受け入れたマルガレーテは、さっさと国を出て行く。
今までの鬱憤を晴らすかのように、着の身着のままの旅をしているマルガレーテは、故郷である幻惑の樹海へと戻っている途中で【宮女狩り】というものに遭遇してしまい、大国の後宮へと入れられてしまった。
マルガレーテが悠々自適な側室ライフを楽しんでいる頃
聖女がいなくなった王国と教会は滅亡への道を辿っていた。
真実の愛に婚約破棄を叫ぶ王太子より更に凄い事を言い出した真実の愛の相手
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式が終わると突然王太子が婚約破棄を叫んだ。
反論する婚約者の侯爵令嬢。
そんな侯爵令嬢から王太子を守ろうと、自分が悪いと言い出す王太子の真実の愛のお相手の男爵令嬢は、さらにとんでもない事を口にする。
そこへ………
◇テンプレ婚約破棄モノ。
◇ふんわり世界観。
◇なろうにも上げてます。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ボロ雑巾な伯爵夫人、やっと『家族』を手に入れました。~旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます2~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
第二夫人に最愛の旦那様も息子も奪われ、挙句の果てに家から追い出された伯爵夫人・フィーリアは、なけなしの餞別だけを持って大雨の中を歩き続けていたところ、とある男の子たちに出会う。
言葉汚く直情的で、だけど決してフィーリアを無視したりはしない、ディーダ。
喋り方こそ柔らかいが、その実どこか冷めた毒舌家である、ノイン。
12、3歳ほどに見える彼らとひょんな事から共同生活を始めた彼女は、人々の優しさに触れて少しずつ自身の居場所を確立していく。
====
●本作は「ボロ雑巾な伯爵夫人、旦那様から棄てられて、ギブ&テイクでハートフルな共同生活を始めます。」からの続き作品です。
前作では、二人との出会い~同居を描いています。
順番に読んでくださる方は、目次下にリンクを張っておりますので、そちらからお入りください。
※アプリで閲覧くださっている方は、タイトルで検索いただけますと表示されます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる