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第二章

第53話:築城

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 リカルド王太子は食糧の生産を中止して、ライラとローザとバートランドとコンラッドのために築城した。

 最初に築城したのは、フィエン公爵家が裏切った時に、第四騎士団が拠点としたフィエン公爵領と王家直轄領の境界線に築いた、野戦陣地のある場所だった。
 旧フィエン公爵領をベッカー宮中伯と分け持つ関係からも、ベッカー宮中伯が魔王軍を防ぎきれなかった時の防衛からも、堅牢な城が必要な場所だった。
 ただ堅牢というだけなら野戦陣地でも十分なのだが、バートランドが公爵として君臨する城としては物足らなかった。

 だからリカルド王太子は魔力に糸目をつけずに壮麗で堅牢な城を作った。
 ライラとバートランドの近衛騎士と近衛徒士が守備する本丸と二ノ丸。
 第四騎士団が駐屯し続けるための三ノ丸。
 レイラ第三皇女と共にやってくる志願兵達から徒士団と自警団を設立し、彼らが安心して住み暮らす事の出来る四ノ丸と総構えを、わずか一日で創り上げた。

 そしてその中心部に、百八個の大きな魔晶石を埋め込んだ穀物成長促進魔法陣を据えて、ライラとバートランドを家臣領民が二人を敬うように仕向けた。
 城の名称はライラの爵位からカウリー城とした。

 次に築城したのは、北の魔境からの攻撃に備える場所だった。
 ここにはアクス城とアイル城の護りが魔王軍に突破された時のために、すでに野戦陣地が築かれ第二騎士団が駐屯していた。
 ここもただ堅牢というだけならもう十分なのだが、コンラッドが公爵として君臨する城としては物足らなかった。

 ここでもリカルド王太子は魔力に糸目をつけずに壮麗で堅牢な城を作った。
 ローザとコンラッドの近衛騎士と近衛徒士が守備する本丸と二ノ丸。
 第二騎士団が駐屯し続けるための三ノ丸。
 レイラ第三皇女と共にやってくる志願兵達から徒士団と自警団を設立し、彼らが安心して住み暮らす事の出来る四ノ丸と総構えをわずか一日で創り上げた。
 外見も基本構造もカウリー城と全く同じで、これがリカルド王太子の二人への公平な愛情なのかもしれないが、二人がどう受け止めることか……

 ローザの爵位からダドリー城と名付けられた本丸の中心部にも、百八個の大きな魔晶石を埋め込んだ穀物成長促進魔法陣を据えて、ライラとバートランドを家臣領民が敬うように仕向けた。

 だが、城は完成しても、リカルド王太子は四人を別々に暮らさせる気はなかった。
 家族はできるだけ同じ家で暮らして情愛を育てた方がいいという事を、前世の記憶と知識から得ていたのだ。
 五人は状況に応じて移動しながら寝食を共にした。
 
「王太子騎士団」
近衛騎士団:フェルデ男爵・騎士団長
     :アルメニック近衛騎士隊長兼第一徒士団団長
     :ヴィクター近衛騎士隊長兼第二徒士団団長
     :アルバート近衛騎士隊長兼第三徒士団団長
     :リチャード近衛騎士隊長兼第四徒士団団長
第一騎士団:ベッカー宮中伯バーツ卿
フィエン城:騎士団と元傭兵が半々
第二騎士団:アクス城伯クバント卿
アクス城 :元傭兵が主力
第三騎士団:騎士団と元フィエン公爵家将兵半々
アイル城 :アイル・元フィエン公爵家騎士団長
第四騎士団:ラウンデル男爵・遊撃部隊(ライラとローザの護衛)
第一徒士団:アルメニック近衛騎士隊長兼第一徒士団団長
第二徒士団:ヴィクター近衛騎士隊長兼第二徒士団団長
「ウェルズリー王国徒士団」
第一徒士団:ウェルズリー城・フランシス子爵・徒士団長
「王国騎士団」
第一騎士団:国内東
第二騎士団:国内北
第三騎士団:国内南
第四騎士団:国内西
第五騎士団:王都
「カウリー伯爵領」ライラとバートランドのための領地
カウリー城:王国第四騎士団駐屯
     :王太子第一徒士団駐屯
     :王太子第三徒士団駐屯
「ダドリー伯爵領」ローザとコンラッドのため領地
ダドリー城:王国第二騎士団駐屯
     :王太子第二徒士団駐屯
     :王太子第四徒士団駐屯
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