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第一章
第42話:謀略の決断
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リカルド王太子は妻子を護るために一つの決断を下した。
十分準備整えた上でのことで、勝算はあったが簡単に決断出来た事ではない。
帝王学を修めた部分と妻子を猛愛する部分がせめぎ合った結果だった。
最終的には理想主義な王太子の部分が負けたのだ。
「武器と防具の用意は万全か」
「万全とまでは言えませんが、硬い魔樹製の棍棒と魔竹製の槍は用意できました」
リカルド王太子に幼い頃から付けられていた側近の一人、フェルデ近衛騎士隊長とラウンデル近衛騎士隊長ほどの剣の腕はないものの、忠誠心では二人にも比肩するほどの近衛騎士隊長が答える。
リカルド王太子が心から信頼できる者の一人だ。
それが卑怯卑劣な謀略であろうと、リカルド王太子のためなら断じて行う騎士。
もちろんその前に十分に理由を聞き、必要なら諫言直言をしたうえで、リカルド王太子のためになる、必要だと確認した上でのことだが。
「ウェルズリー王国の盗賊団は統合できたか」
「はい、いつでもノウェル辺境伯領に攻撃を開始できます」
リカルド王太子の言葉に自信満々で答える。
「盗賊団の連中は何かおかしいと感じていないのか。
我が国に襲いかかるなど、自殺行為なのはバカでも分かるだろう」
「はい、それくらいの事は盗賊団の連中も理解できています。
同時にこのままでは自分達の国が滅ぶことも理解しています。
義賊とまで言えるような連中ではありませんが、それでも元は貧民です。
今さら殿下の義勇軍には参加できなくても、心の中にわずかな正義はあります。
ノウェル辺境伯領の村を襲う事で、殿下が堂々とウェルズリー王国に宣戦布告が行え、民が助かると言ったら全員賛同しました。
まあ、それは表向きの理由で、内心は豊かな村を襲いたいというのが本音です。
もうウェルズリー王国内に盗賊団が襲えるような村は存在しません。
ノウェル辺境伯領の村を襲ったら他国に逃げる事で話がついています」
盗賊団の考えは人間の二面性そのモノだった。
本音と建て前、善と悪のはざまで生きて、最後は自分の命を最優先する。
本な人間の本性が現れた、身勝手極まりない計画だったが、そうなるように仕向けたのは他の誰でもないリカルド王太子だった。
そんな謀略をリカルド王太子の命令だと誰にも悟られないように、万が一の時には自分や欲望の為にやったと、罪を背負う事を覚悟してやってくれる側近がいる。
「すまんな、頼む」
「お任せください」
忠臣がリカルド王太子の謀略を諫める事なく認めて力を貸す理由。
それこそが盗賊団に話した建前、民を助けるためだった。
他の誰が言っても信じてもらえない護るためという話も、リカルド王太子が積み重ねてきた行動があれば、信じてもらえるのだ。
確かにリカルド王太子には本気で民を助けたいという心もあるが、同時に人族の国の襲撃に備えるための緩衝地帯が欲しいという心もあった。
むしろ今のリカルド王太子には妻子を護りたいという心の方が強いくらいだった。
十分準備整えた上でのことで、勝算はあったが簡単に決断出来た事ではない。
帝王学を修めた部分と妻子を猛愛する部分がせめぎ合った結果だった。
最終的には理想主義な王太子の部分が負けたのだ。
「武器と防具の用意は万全か」
「万全とまでは言えませんが、硬い魔樹製の棍棒と魔竹製の槍は用意できました」
リカルド王太子に幼い頃から付けられていた側近の一人、フェルデ近衛騎士隊長とラウンデル近衛騎士隊長ほどの剣の腕はないものの、忠誠心では二人にも比肩するほどの近衛騎士隊長が答える。
リカルド王太子が心から信頼できる者の一人だ。
それが卑怯卑劣な謀略であろうと、リカルド王太子のためなら断じて行う騎士。
もちろんその前に十分に理由を聞き、必要なら諫言直言をしたうえで、リカルド王太子のためになる、必要だと確認した上でのことだが。
「ウェルズリー王国の盗賊団は統合できたか」
「はい、いつでもノウェル辺境伯領に攻撃を開始できます」
リカルド王太子の言葉に自信満々で答える。
「盗賊団の連中は何かおかしいと感じていないのか。
我が国に襲いかかるなど、自殺行為なのはバカでも分かるだろう」
「はい、それくらいの事は盗賊団の連中も理解できています。
同時にこのままでは自分達の国が滅ぶことも理解しています。
義賊とまで言えるような連中ではありませんが、それでも元は貧民です。
今さら殿下の義勇軍には参加できなくても、心の中にわずかな正義はあります。
ノウェル辺境伯領の村を襲う事で、殿下が堂々とウェルズリー王国に宣戦布告が行え、民が助かると言ったら全員賛同しました。
まあ、それは表向きの理由で、内心は豊かな村を襲いたいというのが本音です。
もうウェルズリー王国内に盗賊団が襲えるような村は存在しません。
ノウェル辺境伯領の村を襲ったら他国に逃げる事で話がついています」
盗賊団の考えは人間の二面性そのモノだった。
本音と建て前、善と悪のはざまで生きて、最後は自分の命を最優先する。
本な人間の本性が現れた、身勝手極まりない計画だったが、そうなるように仕向けたのは他の誰でもないリカルド王太子だった。
そんな謀略をリカルド王太子の命令だと誰にも悟られないように、万が一の時には自分や欲望の為にやったと、罪を背負う事を覚悟してやってくれる側近がいる。
「すまんな、頼む」
「お任せください」
忠臣がリカルド王太子の謀略を諫める事なく認めて力を貸す理由。
それこそが盗賊団に話した建前、民を助けるためだった。
他の誰が言っても信じてもらえない護るためという話も、リカルド王太子が積み重ねてきた行動があれば、信じてもらえるのだ。
確かにリカルド王太子には本気で民を助けたいという心もあるが、同時に人族の国の襲撃に備えるための緩衝地帯が欲しいという心もあった。
むしろ今のリカルド王太子には妻子を護りたいという心の方が強いくらいだった。
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