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第一章
第33話:妊娠・ペンドラ国王視点
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ここまでやるとは、よほど覚悟をしているのは分かるが、リカルドは本当に有力貴族や大臣達がそれを見逃すと思っているのか。
あの優等生のリカルドが、まさか本気で国を割る決断をしているはずがない。
剣を取って戦うというのは脅しだけのはずだと、少なくとも有力貴族や大臣達はそう考えているだろう。
リカルドが口でどう言っていても、二人の公妾を殺してしまえば諦めると、有力貴族や大臣達は考えるだろうが、本当にそうなるのか。
婚約者と親友に裏切られたリカルドが、人間嫌いになっていたとしたら……
「リカルドの公妾に手を出した者は絶対に許さん。
リカルドだけでなく、余も敵に回すと思え。
いや、この国の全ての民を敵に回し、領民に殺されると思え」
余がこれほど脅かして命令しようとも、独断専行する者がいるだろう。
元傭兵の公妾ごとき、殺しても大したことはないと考える者が必ずいる。
余も以前ならそう考えて刺客を送っていた。
だが、今のリカルド相手にそのような事をすれば、かろうじて保たれているリカルドの精神が崩壊してしまうかもしれない。
今のリカルドが余や大臣達に剣を向けたら、王国騎士団のうち何人が余や大臣に味方するだろうか……
「リカルドに使者を送る、お前だ、お前が使者となれ。
もし大臣や有力貴族から取り消し命令があったら、それはその者が謀叛を企んでいるから、その場で斬って捨てよ、これは勅命である」
「はっ、承りました」
今この場で近衛騎士に勅命を下せば、大臣や有力騎士でも邪魔できないだろう。
それに、近衛騎士の大半は余よりもリカルドの命令を優先するからな。
「有力貴族や大臣の中には、余が命じても公妾を殺そうとする者がいる。
王やリカルドの命令に背くような者は、自由に殺してよい。
殺した謀叛人の領地は、魔王軍との戦いの為に王太子領とすればいい。
そう伝えるのだ、いいか」
余がここまで言い切るとは思っていなかったのだろう、皆驚いている。
これで少しは抑止力になるとは思うが、それでもやる者はでてくるだろう。
ここで公妾と腹の子を殺せば、皇国の覚えがよくなり、皇国の影響力を背景に今以上の権力を手に入れる事ができると思っている。
その力があれば、余やリカルドなど黙らせる事ができると思っているのだ。
忌々しいことだが、皇国と大公国の支援がなければ、この国を保つのが難しいのが現実なのだ。
「お任せください、私が途中で死ぬ事になろうと、必ず誰かが殿下にお伝えします。
いえ、私が死んだ時点で、敵の正体が明らかになるでしょう。
もう二度と殿下の苦しまれる姿は見たくありません。
その為ならこの命など安いモノでです」
近衛騎士団は常に最前線に出ていた訳ではないが、交代でリカルドの護衛についていたから、親しく声をかけられた者も多い。
余の近くにもいたから、国難にもかかわらず遊興にふける大臣や有力貴族の姿も見ていたからな、憎々しげに視線を送るのも当然だろう。
いや、この近衛騎士は命懸けで自分が攻撃されるように誘っているのだ。
あの優等生のリカルドが、まさか本気で国を割る決断をしているはずがない。
剣を取って戦うというのは脅しだけのはずだと、少なくとも有力貴族や大臣達はそう考えているだろう。
リカルドが口でどう言っていても、二人の公妾を殺してしまえば諦めると、有力貴族や大臣達は考えるだろうが、本当にそうなるのか。
婚約者と親友に裏切られたリカルドが、人間嫌いになっていたとしたら……
「リカルドの公妾に手を出した者は絶対に許さん。
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いや、この国の全ての民を敵に回し、領民に殺されると思え」
余がこれほど脅かして命令しようとも、独断専行する者がいるだろう。
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余も以前ならそう考えて刺客を送っていた。
だが、今のリカルド相手にそのような事をすれば、かろうじて保たれているリカルドの精神が崩壊してしまうかもしれない。
今のリカルドが余や大臣達に剣を向けたら、王国騎士団のうち何人が余や大臣に味方するだろうか……
「リカルドに使者を送る、お前だ、お前が使者となれ。
もし大臣や有力貴族から取り消し命令があったら、それはその者が謀叛を企んでいるから、その場で斬って捨てよ、これは勅命である」
「はっ、承りました」
今この場で近衛騎士に勅命を下せば、大臣や有力騎士でも邪魔できないだろう。
それに、近衛騎士の大半は余よりもリカルドの命令を優先するからな。
「有力貴族や大臣の中には、余が命じても公妾を殺そうとする者がいる。
王やリカルドの命令に背くような者は、自由に殺してよい。
殺した謀叛人の領地は、魔王軍との戦いの為に王太子領とすればいい。
そう伝えるのだ、いいか」
余がここまで言い切るとは思っていなかったのだろう、皆驚いている。
これで少しは抑止力になるとは思うが、それでもやる者はでてくるだろう。
ここで公妾と腹の子を殺せば、皇国の覚えがよくなり、皇国の影響力を背景に今以上の権力を手に入れる事ができると思っている。
その力があれば、余やリカルドなど黙らせる事ができると思っているのだ。
忌々しいことだが、皇国と大公国の支援がなければ、この国を保つのが難しいのが現実なのだ。
「お任せください、私が途中で死ぬ事になろうと、必ず誰かが殿下にお伝えします。
いえ、私が死んだ時点で、敵の正体が明らかになるでしょう。
もう二度と殿下の苦しまれる姿は見たくありません。
その為ならこの命など安いモノでです」
近衛騎士団は常に最前線に出ていた訳ではないが、交代でリカルドの護衛についていたから、親しく声をかけられた者も多い。
余の近くにもいたから、国難にもかかわらず遊興にふける大臣や有力貴族の姿も見ていたからな、憎々しげに視線を送るのも当然だろう。
いや、この近衛騎士は命懸けで自分が攻撃されるように誘っているのだ。
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