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第一章
第32話:妊娠
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「本当か、二人とも同時とは、これは吉兆以外の何物でもない。
これでフィフス王国は魔王軍を撃退できるぞ」
リカルド王太子は、ライラとローザが身籠った事を心から喜んでいた。
同時に、父王や重臣がこの妊娠を苦々しく思っている事も理解していた。
公妾は渋々認めても、リカルド王太子がセント・ジオン皇国の皇女より先に子供を作らないように配慮するだろうと、それくらいの常識はあるだろうと考えていることくらいは理解していた。
確かに元々のリカルド王太子にはそれくらいの配慮はできていた。
だが妻子を持つことなく死んでいった前世の記憶が、子供を欲していた。
「ありがとうございます、殿下、心から喜んでくださってうれしいです」
ライラは心から安堵していた。
リカルド王太子が避妊に気をつけないので、子供を産んでもいいのだとは思っていたが、もしかしたら殿下に避妊に知識がない可能性もあった。
何より、セント・ジオン皇国との政治的軍事的な問題から、子供と認めずに里子に出される可能性も考慮していた。
認められるとしても、後々大きな問題になる事も理解していた。
「私も正直安心しました、堕胎しろと言われるかもしれないと覚悟していました」
比較的悪舌なローザは、遠回しにというか分かり難いという言うべきか、国王や皇帝と争うことになる大問題を、どうするのかというという事を聞いてきた。
ローザはいざとなったらライラと二人で他国に逃げる覚悟もしていた。
最初傭兵としてフィフス王国に来た二人は、肩を並べて魔王軍と戦ったこともあれば、命を預けて背後を任せて戦ったこともあった。
だからこそ、二人同時に妊娠するように調節したのだ。
「そんな事は絶対にしないし、誰にもさせない。
そんな事をしようとする者がいれば、剣を取って二人と子供を護る。
セント・ジオン皇国に対しても、皇女を正室として迎えても、二人との関係は続けるし、子供には爵位を与えると伝えてある。
それが皇女の輿入れ前であろうと後であろうと関係ない」
二人はリカルド王太子の言葉に安心したが、同時に油断してもいなかった。
リカルド王太子がどう思っていようと、フィフス王国とセント・ジオン皇国が同じように思っているとは限らないし、約束を守るとも限らない。
お腹の子供を護るためなら、どんな手段も厭わないと考えていた。
それはリカルド王太子の前世の想いも同じだった。
それは王太子として育ったリカルドの政治的配慮を上回っていた。
「必要とあれば、どこの誰であろうと叩き潰して殺す。
最悪の場合は、二人を連れて別の大陸に逃げる。
私の妻と子供を殺そうとする者を護る気など毛頭ない」
これでフィフス王国は魔王軍を撃退できるぞ」
リカルド王太子は、ライラとローザが身籠った事を心から喜んでいた。
同時に、父王や重臣がこの妊娠を苦々しく思っている事も理解していた。
公妾は渋々認めても、リカルド王太子がセント・ジオン皇国の皇女より先に子供を作らないように配慮するだろうと、それくらいの常識はあるだろうと考えていることくらいは理解していた。
確かに元々のリカルド王太子にはそれくらいの配慮はできていた。
だが妻子を持つことなく死んでいった前世の記憶が、子供を欲していた。
「ありがとうございます、殿下、心から喜んでくださってうれしいです」
ライラは心から安堵していた。
リカルド王太子が避妊に気をつけないので、子供を産んでもいいのだとは思っていたが、もしかしたら殿下に避妊に知識がない可能性もあった。
何より、セント・ジオン皇国との政治的軍事的な問題から、子供と認めずに里子に出される可能性も考慮していた。
認められるとしても、後々大きな問題になる事も理解していた。
「私も正直安心しました、堕胎しろと言われるかもしれないと覚悟していました」
比較的悪舌なローザは、遠回しにというか分かり難いという言うべきか、国王や皇帝と争うことになる大問題を、どうするのかというという事を聞いてきた。
ローザはいざとなったらライラと二人で他国に逃げる覚悟もしていた。
最初傭兵としてフィフス王国に来た二人は、肩を並べて魔王軍と戦ったこともあれば、命を預けて背後を任せて戦ったこともあった。
だからこそ、二人同時に妊娠するように調節したのだ。
「そんな事は絶対にしないし、誰にもさせない。
そんな事をしようとする者がいれば、剣を取って二人と子供を護る。
セント・ジオン皇国に対しても、皇女を正室として迎えても、二人との関係は続けるし、子供には爵位を与えると伝えてある。
それが皇女の輿入れ前であろうと後であろうと関係ない」
二人はリカルド王太子の言葉に安心したが、同時に油断してもいなかった。
リカルド王太子がどう思っていようと、フィフス王国とセント・ジオン皇国が同じように思っているとは限らないし、約束を守るとも限らない。
お腹の子供を護るためなら、どんな手段も厭わないと考えていた。
それはリカルド王太子の前世の想いも同じだった。
それは王太子として育ったリカルドの政治的配慮を上回っていた。
「必要とあれば、どこの誰であろうと叩き潰して殺す。
最悪の場合は、二人を連れて別の大陸に逃げる。
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