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21話
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「遠慮することはない。
王家に対する恩は、俺の受けた理不尽な命令で帳消しだ!
いや、いっそ叛旗を翻そう!
今ならほとんどの貴族士族が賛同してくれる。
敵対していた貴族士族も、ヴァルナの力で潰されるか大人しくなっている。
今を置いて好機はない」
父上の決断を聞いて、私は自重に次いで忠誠も捨てました。
あれほど忠誠心の厚かった父上がここまで申されるのです。
遠征軍での苦労は私の想像を超えているのでしょう。
実際問題、父上が率いて行かれた将兵の半数が異国に屍を晒しました。
ヴィリアーズ伯爵家の領民のうち、半数が家族を失ったことになります。
一家の大黒柱である夫を失った妻や、父親を失った子供達は、これから生活が成り立たない可能性があります。
これ以上将兵を傷つけるわけにはいかないので、私は単騎で王宮に乗り込み、マッテオ国王以下の全ての王族を皆殺しにしました。
すでに王太子と半数の王族を殺していましたが、今回で根絶やしにしました。
父上の戴冠していただこうと思ったいたのですが、拒否されてしまいました。
父上は私に女王に成れと言われるのです。
よくよく話し合ったら、父上が王位についた場合、後々兄上と私の間で王位継承争いが勃発すると申されるのです。
腹に叛意を隠し持つ者が、兄弟姉妹を争うわせて漁夫の利を得ようとすると申されるのです。
それに、実際に王や王太子の首を取ったのは私で、父上や兄上を異国から生きて帰ってこられるようにしたのも私なので、兄上を甘やかすことなく、王位につく方が一族を幸せにすると叱られました。
だから、遠慮せずに王位に就きました。
異国で苦労した貴族士族を助けてあげたかったのですが、責任は前王家にある上に、財源に限りがあります。
前王家が度々申し付けていた国役を免除することくらいしかできませんでした。
無理して領地や権限を与えると、王家の力が低下し過ぎて、将来謀叛をにつながる可能性もありのです。
涙を呑んで貴族士族家に対する支援は行わず、遠征軍に参加した将兵が死んで、寡婦や孤児となった者を、王家の召使として雇うことにしました。
旧デヴァルー王国領内が落ち着いたら、ラムリー王国の宮殿に単騎乗り込み、フラヴィオ王以下の全王族を皆殺しにしました。
都合四度に渡る国境軍城の争奪戦で、私の強さと姿かたちは嫌というほど覚えていたのでしょう。
私の併合宣言に文句を言う貴族士族は一人もいませんでした。
私は旧デヴァルー王国領とラムリー王国領に渡る広大な王国の女王となりました。
ですがこれ以上版図を広げる気はありません。
戦争で苦しむのは庶民です。
私はアウロラと静かに暮らせればいいのです。
王家に対する恩は、俺の受けた理不尽な命令で帳消しだ!
いや、いっそ叛旗を翻そう!
今ならほとんどの貴族士族が賛同してくれる。
敵対していた貴族士族も、ヴァルナの力で潰されるか大人しくなっている。
今を置いて好機はない」
父上の決断を聞いて、私は自重に次いで忠誠も捨てました。
あれほど忠誠心の厚かった父上がここまで申されるのです。
遠征軍での苦労は私の想像を超えているのでしょう。
実際問題、父上が率いて行かれた将兵の半数が異国に屍を晒しました。
ヴィリアーズ伯爵家の領民のうち、半数が家族を失ったことになります。
一家の大黒柱である夫を失った妻や、父親を失った子供達は、これから生活が成り立たない可能性があります。
これ以上将兵を傷つけるわけにはいかないので、私は単騎で王宮に乗り込み、マッテオ国王以下の全ての王族を皆殺しにしました。
すでに王太子と半数の王族を殺していましたが、今回で根絶やしにしました。
父上の戴冠していただこうと思ったいたのですが、拒否されてしまいました。
父上は私に女王に成れと言われるのです。
よくよく話し合ったら、父上が王位についた場合、後々兄上と私の間で王位継承争いが勃発すると申されるのです。
腹に叛意を隠し持つ者が、兄弟姉妹を争うわせて漁夫の利を得ようとすると申されるのです。
それに、実際に王や王太子の首を取ったのは私で、父上や兄上を異国から生きて帰ってこられるようにしたのも私なので、兄上を甘やかすことなく、王位につく方が一族を幸せにすると叱られました。
だから、遠慮せずに王位に就きました。
異国で苦労した貴族士族を助けてあげたかったのですが、責任は前王家にある上に、財源に限りがあります。
前王家が度々申し付けていた国役を免除することくらいしかできませんでした。
無理して領地や権限を与えると、王家の力が低下し過ぎて、将来謀叛をにつながる可能性もありのです。
涙を呑んで貴族士族家に対する支援は行わず、遠征軍に参加した将兵が死んで、寡婦や孤児となった者を、王家の召使として雇うことにしました。
旧デヴァルー王国領内が落ち着いたら、ラムリー王国の宮殿に単騎乗り込み、フラヴィオ王以下の全王族を皆殺しにしました。
都合四度に渡る国境軍城の争奪戦で、私の強さと姿かたちは嫌というほど覚えていたのでしょう。
私の併合宣言に文句を言う貴族士族は一人もいませんでした。
私は旧デヴァルー王国領とラムリー王国領に渡る広大な王国の女王となりました。
ですがこれ以上版図を広げる気はありません。
戦争で苦しむのは庶民です。
私はアウロラと静かに暮らせればいいのです。
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