上 下
6 / 11

第6話:王と姫騎士、闘いの幕開け。

しおりを挟む
「それは許さん、決闘を絶対に許さん!
 王太子には詫びさせると申しておる。
 ログレス公爵家とレティシアが納得する詫びをさせる、条件を申してみよ」

「ヴェロニカ王女殿下はどうなるのですか?
 ヴェロニカ王女殿下など、どうでもよいとお考えなのですか?」

「ヴェロニカは我が娘だ、トライガの姉だ、親姉弟の事に口出し無用!」

 親馬鹿で、今まで王太子に好き勝手させていましたが、ヴェロニカ王女の件を上手く言い逃れたところ見ると、国王も完全な馬鹿ではないようですね。
 ですが私とログレス公爵家の事は言い逃れさせませんよ。

 ここに父上がいたら、名誉を金や領地に代えてしまったかもしれませんが、王太子が私とログレス公爵家を貶めるために開いた舞踏会です、父上は招かれていません。

「賢明な国王陛下ならば既に御分りの上で仰っているのでしょうが、名誉を傷つけられ方が、その回復の条件を口にするなど、卑しくはしたない事です。
 常日頃より私の事を、踊り子の血が流れた卑しくはしたない貴族にあるまじき娘と罵り続けた王太子殿下です。
 そのような卑しくはしたない事を強調して、更に私とログレス公爵家の名誉を傷つけるような、恥知らずな真似はなされますまい。
 まして一国の国王陛下が、名誉を金銭や領土で買おうなどという、恥知らず極まりない事を口になされるはずがありませんよね」

「うぬぬぬぬぬ、レティシア、余に喧嘩を売っているのか!」

「恐れながら申し上げます。
 御覧の通り、思慮の足りない王太子殿下に喧嘩を売られたのは私でございます。
 ですから買わせていただきました。
 国王陛下も喧嘩を売ってくださるのでしたら、よろこんで買わせていただきます。
 いかがなされますか?」

 流石に剣を向けたら不敬罪で騎士達が集まって来るでしょう。
 でも、王が喧嘩を売ってきたのだから、買わせていただくのが臣下の道でしょう。
 いや、違うのかな?

 どうも、長年の我慢で精神がおかしくなっているのかもしれませんね。
 この場で大笑いしたくなりました。

 国王が真っ青になっています。
 この場で私に殺されると思っているのでしょうか?
 流石に私でも、先に剣を抜いて国王を殺したりはしません。

 国王が先に剣を抜いて、私に斬りかかるまでは待ちます。
 早く剣を抜いてくれないかな?

 それとも、ここにいる貴族や護衛の騎士に、私を斬るように命じますかね?
 まあ、そんな所でしょうね。

 いかに怒り狂っていても、自分が剣で私に勝てない事は、国王も十分理解しているはずです。

 そうなると乱戦になりますね。
 中にはそれなりに腕の立つ騎士もいます。
 私も何時かは疲れて戦えなくなってしまいます。

 最初に王太子を殺しておかないと、後悔する事なってしまいます。
 確実に殺しておきましょう。
 お、国王が真っ赤になりましたね、私を殺す決断ができたのでしょうか?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜

ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。 護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。 がんばれ。 …テンプレ聖女モノです。

逆行転生した侯爵令嬢は、自分を裏切る予定の弱々婚約者を思う存分イジメます

黄札
恋愛
侯爵令嬢のルーチャが目覚めると、死ぬひと月前に戻っていた。 ひと月前、婚約者に近づこうとするぶりっ子を撃退するも……中傷だ!と断罪され、婚約破棄されてしまう。婚約者の公爵令息をぶりっ子に奪われてしまうのだ。くわえて、不貞疑惑まででっち上げられ、暗殺される運命。 目覚めたルーチャは暗殺を回避しようと自分から婚約を解消しようとする。弱々婚約者に無理難題を押しつけるのだが…… つよつよ令嬢ルーチャが冷静沈着、鋼の精神を持つ侍女マルタと運命を変えるために頑張ります。よわよわ婚約者も成長するかも? 短いお話を三話に分割してお届けします。 この小説は「小説家になろう」でも掲載しています。

婚約破棄させようと王子の婚約者を罠に嵌めるのに失敗した男爵令嬢のその後

春野こもも
恋愛
王子に婚約破棄をしてもらおうと、婚約者の侯爵令嬢を罠に嵌めようとして失敗し、実家から勘当されたうえに追放された、とある男爵令嬢のその後のお話です。 『婚約破棄でみんな幸せ!~嫌われ令嬢の円満婚約解消術~』(全2話)の男爵令嬢のその後のお話……かもしれません。ですがこの短編のみでお読みいただいてもまったく問題ありません。 コメディ色が強いので、上記短編の世界観を壊したくない方はご覧にならないほうが賢明です(>_<) なろうラジオ大賞用に1000文字以内のルールで執筆したものです。 ふわりとお読みください。

婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです

秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。 そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。 いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが── 他サイト様でも掲載しております。

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

天才少女は旅に出る~婚約破棄されて、色々と面倒そうなので逃げることにします~

キョウキョウ
恋愛
ユリアンカは第一王子アーベルトに婚約破棄を告げられた。理由はイジメを行ったから。 事実を確認するためにユリアンカは質問を繰り返すが、イジメられたと証言するニアミーナの言葉だけ信じるアーベルト。 イジメは事実だとして、ユリアンカは捕まりそうになる どうやら、問答無用で処刑するつもりのようだ。 当然、ユリアンカは逃げ出す。そして彼女は、急いで創造主のもとへ向かった。 どうやら私は、婚約破棄を告げられたらしい。しかも、婚約相手の愛人をイジメていたそうだ。 そんな嘘で貶めようとしてくる彼ら。 報告を聞いた私は、王国から出ていくことに決めた。 こんな時のために用意しておいた天空の楽園を動かして、好き勝手に生きる。

逆行令嬢は聖女を辞退します

仲室日月奈
恋愛
――ああ、神様。もしも生まれ変わるなら、人並みの幸せを。 死ぬ間際に転生後の望みを心の中でつぶやき、倒れた後。目を開けると、三年前の自室にいました。しかも、今日は神殿から一行がやってきて「聖女としてお出迎え」する日ですって? 聖女なんてお断りです!

あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します

矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜 言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。 お互いに気持ちは同じだと信じていたから。 それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。 『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』 サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。 愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。

処理中です...