7 / 29
6話
しおりを挟む
「オードリーが望んだ通り、顔に大ケガをしたという噂を流しておいたぞ」
父が満面の笑みで話しかけてきます。
全てが順調に進んでいるのでしょう。
私のクランが魔境やダンジョンで狩ってくる獣や魔獣の素材で、ポルワース伯爵領内は空前の好景気です。
領都には多くの商人が支店を出し、腕利きの職人が移民してきています。
グレイスも王太子の婚約者に決まりました。
父はこの世の春を謳歌しています。
「ありがとうございます。
お陰様で煩わしい社交界に出席せずにすんでおります。
ただ近隣の魔境やダンジョンの獲物が減少しております。
遠征したいのですが、許可していただけますか?」
困ったものです。
即断即決してくれません。
ここは私の望み通りするところでしょう。
私を怒らせてしまって、私が家出したらどうするつもりなのでしょうか?
今の私なら、たとえ顔に醜い傷があろうと、正室に望む家は多いのですよ。
それが理解でいないのでしょうか?
「分かった!
分かったから出て行かないでくれ!
ただ、無茶はしないでくれ!
無理に奥深くに入る必要などないのだぞ。
命を失ったり、大ケガをしたりしたら、何にもならないのだぞ。
少々獲物の数が減ろうと、長く安全に狩りを続けることが肝要なのだぞ。
分かってくれるな?」
ずいぶんと保守的ですね。
ですかそれも貴族家の当主なら仕方ありません。
家を守り次代に引き継がせるのが貴族家当主の役割ですからね。
ですが私には関係ありません。
私には私の望みがあります。
よき伴侶を探し出す事が、私の最大の望みです。
五回も婚約破棄され野垂れ死にしたのです。
今生こそは幸せな結婚をして、可愛い我が子をこの手に抱きたいです!
今なら家同士の都合ではなく、私は恋した相手と結婚できるのです。
そうできるように今日まで努力してきたのです。
適当な男で妥協するつもりはありません。
私から見て最高の男を夫にしたいです。
最低でも私と同等の、できれば私以上の強い男から選びたいです。
ただ戦闘力が強いだけでなく、性根も強く正しい男でないと、一生を共にしたいとは思えません。
ですがそのためには、男の本質を見極めなければいけません。
そのためには、命ギリギリの状態での行動を見なければ判断できません。
誰だって普段は自分を偽り装っているのです。
美しく表現すれば、理想の自分であろうと、仮面を被って努力しているのです。
ですがその努力も、命がかかった場面では仮面がはがれるのです。
だからこれと思う男とパーティーを組んで、命懸けの狩りをするのです!
父が満面の笑みで話しかけてきます。
全てが順調に進んでいるのでしょう。
私のクランが魔境やダンジョンで狩ってくる獣や魔獣の素材で、ポルワース伯爵領内は空前の好景気です。
領都には多くの商人が支店を出し、腕利きの職人が移民してきています。
グレイスも王太子の婚約者に決まりました。
父はこの世の春を謳歌しています。
「ありがとうございます。
お陰様で煩わしい社交界に出席せずにすんでおります。
ただ近隣の魔境やダンジョンの獲物が減少しております。
遠征したいのですが、許可していただけますか?」
困ったものです。
即断即決してくれません。
ここは私の望み通りするところでしょう。
私を怒らせてしまって、私が家出したらどうするつもりなのでしょうか?
今の私なら、たとえ顔に醜い傷があろうと、正室に望む家は多いのですよ。
それが理解でいないのでしょうか?
「分かった!
分かったから出て行かないでくれ!
ただ、無茶はしないでくれ!
無理に奥深くに入る必要などないのだぞ。
命を失ったり、大ケガをしたりしたら、何にもならないのだぞ。
少々獲物の数が減ろうと、長く安全に狩りを続けることが肝要なのだぞ。
分かってくれるな?」
ずいぶんと保守的ですね。
ですかそれも貴族家の当主なら仕方ありません。
家を守り次代に引き継がせるのが貴族家当主の役割ですからね。
ですが私には関係ありません。
私には私の望みがあります。
よき伴侶を探し出す事が、私の最大の望みです。
五回も婚約破棄され野垂れ死にしたのです。
今生こそは幸せな結婚をして、可愛い我が子をこの手に抱きたいです!
今なら家同士の都合ではなく、私は恋した相手と結婚できるのです。
そうできるように今日まで努力してきたのです。
適当な男で妥協するつもりはありません。
私から見て最高の男を夫にしたいです。
最低でも私と同等の、できれば私以上の強い男から選びたいです。
ただ戦闘力が強いだけでなく、性根も強く正しい男でないと、一生を共にしたいとは思えません。
ですがそのためには、男の本質を見極めなければいけません。
そのためには、命ギリギリの状態での行動を見なければ判断できません。
誰だって普段は自分を偽り装っているのです。
美しく表現すれば、理想の自分であろうと、仮面を被って努力しているのです。
ですがその努力も、命がかかった場面では仮面がはがれるのです。
だからこれと思う男とパーティーを組んで、命懸けの狩りをするのです!
29
お気に入りに追加
1,757
あなたにおすすめの小説
クズな義妹に婚約者を寝取られた悪役令嬢は、ショックのあまり前世の記憶を思い出し、死亡イベントを回避します。
無名 -ムメイ-
恋愛
クズな義妹に婚約者を寝取られ、自殺にまで追い込まれた悪役令嬢に転生したので、迫りくる死亡イベントを回避して、義妹にざまぁしてやります。
7話で完結。
転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。
柚木ゆず
恋愛
前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。
だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。
信用していたのに……。
酷い……。
許せない……!。
サーシャの復讐が、今幕を開ける――。
まったく心当たりのない理由で婚約破棄されるのはいいのですが、私は『精霊のいとし子』ですよ……?
空月
恋愛
精霊信仰の盛んなクレセント王国。
その王立学園の一大イベント・舞踏会の場で、アリシアは突然婚約破棄を言い渡された。
まったく心当たりのない理由をつらつらと言い連ねられる中、アリシアはとある理由で激しく動揺するが、そこに現れたのは──。
婚約破棄された悪役令嬢は聖女の力を解放して自由に生きます!
白雪みなと
恋愛
王子に婚約破棄され、没落してしまった元公爵令嬢のリタ・ホーリィ。
その瞬間、自分が乙女ゲームの世界にいて、なおかつ悪役令嬢であることを思い出すリタ。
でも、リタにはゲームにはないはずの聖女の能力を宿しており――?
馬鹿王子にはもう我慢できません! 婚約破棄される前にこちらから婚約破棄を突きつけます
白桃
恋愛
子爵令嬢のメアリーの元に届けられた婚約者の第三王子ポールからの手紙。
そこには毎回毎回勝手に遊び回って自分一人が楽しんでいる報告と、メアリーを馬鹿にするような言葉が書きつられていた。
最初こそ我慢していた聖女のように優しいと誰もが口にする令嬢メアリーだったが、その堪忍袋の緒が遂に切れ、彼女は叫ぶのだった。
『あの馬鹿王子にこちらから婚約破棄を突きつけてさしあげますわ!!!』
【完結】小悪魔笑顔の令嬢は断罪した令息たちの奇妙な行動のわけを知りたい
宇水涼麻
恋愛
ポーリィナは卒業パーティーで断罪され王子との婚約を破棄された。
その翌日、王子と一緒になってポーリィナを断罪していた高位貴族の子息たちがポーリィナに面会を求める手紙が早馬にて届けられた。
あのようなことをして面会を求めてくるとは??
断罪をした者たちと会いたくないけど、面会に来る理由が気になる。だって普通じゃありえない。
ポーリィナは興味に勝てず、彼らと会うことにしてみた。
一万文字程度の短め予定。編集改編手直しのため、連載にしました。
リクエストをいただき、男性視点も入れたので思いの外長くなりました。
毎日更新いたします。
【完結】無能な聖女はいらないと婚約破棄され、追放されたので自由に生きようと思います
黒幸
恋愛
辺境伯令嬢レイチェルは学園の卒業パーティーでイラリオ王子から、婚約破棄を告げられ、国外追放を言い渡されてしまう。
レイチェルは一言も言い返さないまま、パーティー会場から姿を消した。
邪魔者がいなくなったと我が世の春を謳歌するイラリオと新たな婚約者ヒメナ。
しかし、レイチェルが国からいなくなり、不可解な事態が起き始めるのだった。
章を分けるとかえって、ややこしいとの御指摘を受け、章分けを基に戻しました。
どうやら、作者がメダパニ状態だったようです。
表紙イラストはイラストAC様から、お借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる