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第一章
第85話:温情処罰
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皇紀2223年・王歴227年・初夏・フリーマン地方
「俺はとても寛大な領主だから、俺の領地に攻め込み、善良な民を殺して富や土地を奪おうとした、悪逆非道なお前達に自分の生き方を選ばせてやる。
強盗と殺人未遂の罪で死刑になるのが一つの道だ。
お前達の教祖が説いているように、死ねば天国に行けるのだから本望だろう。
二つ目の道は、アザエル教団の教えを広めるために、異国に行く事だ。
お前達が害された人々や、殺された人々の遺族を助けなければいけないから、お前達を異国に売って少しでも資金をえるのだ、分かったか。
教祖の教えを異国にまで広められるのだから、お前達も嬉しいだろう。
もう三つ目の道は、自分の教え以外を信じる者は犯しても殺していい、富も土地も奪っても構わないと言う、悪魔の教えを捨てて真の神を信じるかだ。
真の神を信じて、この地に残って土地を耕し、誰も害する事なく平和に暮らす。
四つ目の道は、悪魔の教えを捨てるのは同じだが、自分達が慈悲深い神の使徒ではなかった事を認めて、兵士として人を殺す事で富を得る事だ。
お前達が選べるのはこの四つの道だ、寛大な俺に感謝するがいい」
「悪魔、お前は悪魔だ、神罰を受けて死ぬがいい」
生き残っていた数少ない聖堂騎士らしい男が俺を罵りやがった。
この時点で生き延びているという事は、女子供を護ろうともせず、逃げ隠れしていた卑怯者か、教祖の遠縁で権力を振り回していた奴だろう。
「この者は悪魔の教えを信じて死にたいらしい」
「御意」
俺の言いたい事を悟った百人隊長が、剣を振るって狂信者の頭を叩き潰してくれたので、頭が痛くなるような甲高い声から解放された。
「教祖の名誉を汚すような罵りを口にしなくても、天国に行きたい者はそう言ってくれれば、直ぐに送ってやるぞ。
異国に行って教祖の教えを広めたい者も、そう言ってくれれば湊に異国の奴隷商人が来ているから、直ぐに送ってやる、遠慮するな」
俺の意を悟ってくれた百人隊長が、反抗的な目で俺を睨んでいた男女八人ほどを順番に剣で撲殺してくれた。
少しずつ自分が殺される番が近づいて来るのは、勢いと興奮に任せて戦場で戦うのとは全く違う、本能的な死への恐怖があるのだろう。
「ヒィイイイイ、捨てます、捨てます、捨てますから命ばかりは御許しを」
「捨てます、教祖の教えを捨てます、だから殺さないで」
「金が、金が欲しくて教えを信じているふりをしていただけないんです」
「死にたくなかったのです、殺されたくなくて信じたふりをしていたのです」
「信じたふりをしなければ生きていけなかったんです、信じてください」
「真の神を信じます、だからここで暮らさせてください」
「俺はなにも信じない、だから兵士にしてください、お願いします」
俺は狂信者共の希望に沿って将来を選ばせてやったが、目を見て俺を騙そうとしていると感じた奴は、異国に奴隷として売り払う事にした。
別に俺の勘が間違っていても構わない。
元々処刑が当然の罪を犯した連中なのだから、異国に奴隷として送られたとしても、命を助けるだけで十分以上の温情を与えているのだから。
「俺はとても寛大な領主だから、俺の領地に攻め込み、善良な民を殺して富や土地を奪おうとした、悪逆非道なお前達に自分の生き方を選ばせてやる。
強盗と殺人未遂の罪で死刑になるのが一つの道だ。
お前達の教祖が説いているように、死ねば天国に行けるのだから本望だろう。
二つ目の道は、アザエル教団の教えを広めるために、異国に行く事だ。
お前達が害された人々や、殺された人々の遺族を助けなければいけないから、お前達を異国に売って少しでも資金をえるのだ、分かったか。
教祖の教えを異国にまで広められるのだから、お前達も嬉しいだろう。
もう三つ目の道は、自分の教え以外を信じる者は犯しても殺していい、富も土地も奪っても構わないと言う、悪魔の教えを捨てて真の神を信じるかだ。
真の神を信じて、この地に残って土地を耕し、誰も害する事なく平和に暮らす。
四つ目の道は、悪魔の教えを捨てるのは同じだが、自分達が慈悲深い神の使徒ではなかった事を認めて、兵士として人を殺す事で富を得る事だ。
お前達が選べるのはこの四つの道だ、寛大な俺に感謝するがいい」
「悪魔、お前は悪魔だ、神罰を受けて死ぬがいい」
生き残っていた数少ない聖堂騎士らしい男が俺を罵りやがった。
この時点で生き延びているという事は、女子供を護ろうともせず、逃げ隠れしていた卑怯者か、教祖の遠縁で権力を振り回していた奴だろう。
「この者は悪魔の教えを信じて死にたいらしい」
「御意」
俺の言いたい事を悟った百人隊長が、剣を振るって狂信者の頭を叩き潰してくれたので、頭が痛くなるような甲高い声から解放された。
「教祖の名誉を汚すような罵りを口にしなくても、天国に行きたい者はそう言ってくれれば、直ぐに送ってやるぞ。
異国に行って教祖の教えを広めたい者も、そう言ってくれれば湊に異国の奴隷商人が来ているから、直ぐに送ってやる、遠慮するな」
俺の意を悟ってくれた百人隊長が、反抗的な目で俺を睨んでいた男女八人ほどを順番に剣で撲殺してくれた。
少しずつ自分が殺される番が近づいて来るのは、勢いと興奮に任せて戦場で戦うのとは全く違う、本能的な死への恐怖があるのだろう。
「ヒィイイイイ、捨てます、捨てます、捨てますから命ばかりは御許しを」
「捨てます、教祖の教えを捨てます、だから殺さないで」
「金が、金が欲しくて教えを信じているふりをしていただけないんです」
「死にたくなかったのです、殺されたくなくて信じたふりをしていたのです」
「信じたふりをしなければ生きていけなかったんです、信じてください」
「真の神を信じます、だからここで暮らさせてください」
「俺はなにも信じない、だから兵士にしてください、お願いします」
俺は狂信者共の希望に沿って将来を選ばせてやったが、目を見て俺を騙そうとしていると感じた奴は、異国に奴隷として売り払う事にした。
別に俺の勘が間違っていても構わない。
元々処刑が当然の罪を犯した連中なのだから、異国に奴隷として送られたとしても、命を助けるだけで十分以上の温情を与えているのだから。
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