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第一章
第18話:祖父憤怒
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俺は満七歳、当年とって八歳になったが、相も変わらず勉学の日々だ。
今日も爺様に色々と教わっていたが、ちょっといつもと雰囲気が違っている。
国王に肩入れしてエクセター侯爵の鼻を明かしてやろうとしたのだが、それが大失敗してしまって小さくなっていた身体が、今は怒りで膨れ上がっている。
やはり祖父にとってエクセター侯爵家は特別なのだ。
代が変わろうとライバル心が剥き出しになってしまうのだろう。
そんなエクセター侯爵家に乗り換えようとしている国王の背信が許せないのだ。
「本当か、本当に国王陛下はエクセター侯爵と手を結ぶ気なのだな」
祖父がアイザックを厳しく問い詰めている。
祖父にはアイザックの事を流れの影衆だと伝えている。
山国での勢力争いで滅んだ影衆の生き残りで、女子供と老人を連れて逃げている時に、俺が影衆を探していると山衆から聞いてやってきた事にしてある。
そしてエレンバラ男爵家譜代の影衆を作るために、孤児を集めて修行させているという話しを創ったが、祖父は疑うことなく信じてくれている。
「はい、今の我らには老人しかおらず、とても荒事などはできませんが、国王陛下の近くにいる者を金で懐柔して、情報を手に入れる事くらいはできます。
その者達の話しを総合すると、国王陛下はエクセター侯爵を頼りにしております。
エクセター侯爵の力を背景に王都に戻り、カンリフ騎士家と対抗しながら政治を行おうとしていると思われます」
「それはいい、そんな事はどうでもいい事だ。
問題はエクセター侯爵の力を借りる代償が我が家だと言う事だ。
本当に国王陛下は、我が家をエクセター侯爵に売り渡したのか」
「エレンバラ男爵家の為にやっていると言うのでしょが、それは表向きだけの事です。
エレンバラ男爵家の家督を御隠居様のお子様の誰かにして、その方にエクセター侯爵に従うように命じになられる計画です。
男爵家の戦力の半分は、国王陛下の戦力としてお子様のお一人がお預かりになる。
もう半分はご当主に成られた方が率いてエクセター侯爵に従う。
そういう取り決めになっているそうでございます」
「おのれ、おのれ、おのれ、儂の命がけの忠誠を踏みにじりおって。
もう国王でも主君でもないわ、殺してやる、今直ぐ離宮を襲って攻め殺してやる」
「まあ、まあ、まあ、まあ、待てよ、爺様。
まずはアイザックの話しを最後まで聞こうではないか。
それで、叔父上方は国王陛下の考えをご存じで、俺を殺す事を承諾しているのか」
「いいえ、ジャック様達は男爵閣下からの支援を心から感謝されておられます。
王都周辺で激しい戦いを続ける間も妻子がこの男爵領で何不自由なく暮らせます。
王国男爵家の分家に過ぎない自分達が皇国士族から妻を迎えられたのも、男爵閣下のお陰だと心から感謝されておられます。
ですので、国王陛下も他の側近方も、男爵閣下を殺してからジャック様達に全てを話す予定でございます。
先に話すと、ご隠居様や男爵閣下打ち明けられると思っているのです。
そのために、今は遠く離れた戦場の監軍として派遣されているのです」
祖父から安心している感情が伝わってくる。
自分の息子達が、家督を奪うために可愛がっている孫を殺す。
叔父が利益に眼が眩んで兄の息子を殺すなど、生き地獄だからな。
それを叔父達の善良さで避けられたのなら、これに勝る事はないな。
できる限りの待遇を用意して迎えようじゃないか。
「そうか、ならば叔父達には国王陛下とエクセター侯爵の陰謀を伝えよう。
そのうえで、それでも国王陛下に忠誠を尽くすのか、男爵家に戻って騎士として仕えてくれるのか、叔父達自身に選んでもらう。
もし国王陛下に忠誠を尽くすと言われても、俺は恨まんし、支援も続ける」
「それでいいのか、ハリー」
「構わんよ、爺様。
忠誠を尽くした相手を見捨てられないのは、爺様を見ていればわかる。
叔父上達の子供が、一人でも我が家の騎士として働いてくれれば十分だ」
「すまん、本当にすまん、全部儂のせいだ。
王が刺客を送り込んで来たら、儂が刺し違えてでも防いでやる。
いや、王をこの手で刺し殺してやる」
今日も爺様に色々と教わっていたが、ちょっといつもと雰囲気が違っている。
国王に肩入れしてエクセター侯爵の鼻を明かしてやろうとしたのだが、それが大失敗してしまって小さくなっていた身体が、今は怒りで膨れ上がっている。
やはり祖父にとってエクセター侯爵家は特別なのだ。
代が変わろうとライバル心が剥き出しになってしまうのだろう。
そんなエクセター侯爵家に乗り換えようとしている国王の背信が許せないのだ。
「本当か、本当に国王陛下はエクセター侯爵と手を結ぶ気なのだな」
祖父がアイザックを厳しく問い詰めている。
祖父にはアイザックの事を流れの影衆だと伝えている。
山国での勢力争いで滅んだ影衆の生き残りで、女子供と老人を連れて逃げている時に、俺が影衆を探していると山衆から聞いてやってきた事にしてある。
そしてエレンバラ男爵家譜代の影衆を作るために、孤児を集めて修行させているという話しを創ったが、祖父は疑うことなく信じてくれている。
「はい、今の我らには老人しかおらず、とても荒事などはできませんが、国王陛下の近くにいる者を金で懐柔して、情報を手に入れる事くらいはできます。
その者達の話しを総合すると、国王陛下はエクセター侯爵を頼りにしております。
エクセター侯爵の力を背景に王都に戻り、カンリフ騎士家と対抗しながら政治を行おうとしていると思われます」
「それはいい、そんな事はどうでもいい事だ。
問題はエクセター侯爵の力を借りる代償が我が家だと言う事だ。
本当に国王陛下は、我が家をエクセター侯爵に売り渡したのか」
「エレンバラ男爵家の為にやっていると言うのでしょが、それは表向きだけの事です。
エレンバラ男爵家の家督を御隠居様のお子様の誰かにして、その方にエクセター侯爵に従うように命じになられる計画です。
男爵家の戦力の半分は、国王陛下の戦力としてお子様のお一人がお預かりになる。
もう半分はご当主に成られた方が率いてエクセター侯爵に従う。
そういう取り決めになっているそうでございます」
「おのれ、おのれ、おのれ、儂の命がけの忠誠を踏みにじりおって。
もう国王でも主君でもないわ、殺してやる、今直ぐ離宮を襲って攻め殺してやる」
「まあ、まあ、まあ、まあ、待てよ、爺様。
まずはアイザックの話しを最後まで聞こうではないか。
それで、叔父上方は国王陛下の考えをご存じで、俺を殺す事を承諾しているのか」
「いいえ、ジャック様達は男爵閣下からの支援を心から感謝されておられます。
王都周辺で激しい戦いを続ける間も妻子がこの男爵領で何不自由なく暮らせます。
王国男爵家の分家に過ぎない自分達が皇国士族から妻を迎えられたのも、男爵閣下のお陰だと心から感謝されておられます。
ですので、国王陛下も他の側近方も、男爵閣下を殺してからジャック様達に全てを話す予定でございます。
先に話すと、ご隠居様や男爵閣下打ち明けられると思っているのです。
そのために、今は遠く離れた戦場の監軍として派遣されているのです」
祖父から安心している感情が伝わってくる。
自分の息子達が、家督を奪うために可愛がっている孫を殺す。
叔父が利益に眼が眩んで兄の息子を殺すなど、生き地獄だからな。
それを叔父達の善良さで避けられたのなら、これに勝る事はないな。
できる限りの待遇を用意して迎えようじゃないか。
「そうか、ならば叔父達には国王陛下とエクセター侯爵の陰謀を伝えよう。
そのうえで、それでも国王陛下に忠誠を尽くすのか、男爵家に戻って騎士として仕えてくれるのか、叔父達自身に選んでもらう。
もし国王陛下に忠誠を尽くすと言われても、俺は恨まんし、支援も続ける」
「それでいいのか、ハリー」
「構わんよ、爺様。
忠誠を尽くした相手を見捨てられないのは、爺様を見ていればわかる。
叔父上達の子供が、一人でも我が家の騎士として働いてくれれば十分だ」
「すまん、本当にすまん、全部儂のせいだ。
王が刺客を送り込んで来たら、儂が刺し違えてでも防いでやる。
いや、王をこの手で刺し殺してやる」
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